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2008-03-03 更新
ニコール・キッドマン、ダコタ・ブルー・リチャーズ、クリス・ワイツ監督
配給:ギャガ・コミュニケーションズ×松竹
3月1日(土)、丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
TM & (C) MMVII NEW LINE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
世界中でベストセラーを記録しているフィリップ・プルマンのファンタジー「ライラの冒険」シリーズが、ついに映画化! 三部作の幕開けとなる『ライラの冒険 黄金の羅針盤』は、世界37ヵ国でNo.1大ヒット、アカデミー賞視覚効果賞を受賞。本作の日本公開を前に、ライラ役に大抜擢された新星ダコタ・ブルー・リチャーズと、妊娠中ながら来日を果たしたニコール・キッドマン、クリス・ワイツ監督が記者会見に出席した。
クリス・ワイツ監督:(日本語で)皆様、よろしくお願いします。(英語で)今日はお集まりいただき、また映画に関心を持ってくださいまして、本当にありがとうございます。日本に来られてとてもうれしいです。日本で公開されるということに、ものすごく興奮を感じています。
ダコタ・ブルー・リチャーズ:コンニチハ。……クリスほどうまく言えないわ(笑)。お招き下さってありがとうございます。映画を楽しんでいただけたらうれしいです。
ニコール・キッドマン:コンニチハ。東京には何度も来ているけど、妊娠して来たのは初めてよ(笑)。こんな状態で来られてとてもうれしいわ。(拍手)ドモアリガト。
クリス・ワイツ監督:今回はまず何と言っても、僕は原作の大ファンで、大好きな原作をこのような形で映画にするのは大変な苦労ではあったね。まとめるという作業に一番苦労したわけだが、僕が一番留意したのは的確なトーンを採用することだった。原作者のフィリップ・プルマンさんと何度も話し合いをして、彼にも大変助けられた。それに、キャスティングもものすごく大変だった。ファンの方々はおそらく、自分なりにキャストのイメージがあったはずだが、僕なりのキャスティングをしなくてはいけなかったからね。皆さんを落胆させるわけにはいかなかったわけで、ダコタのような才能を発見できたのも、ニコールに出演を受けていただけたのもすごくラッキーだった。以上が僕の主たる気がかりの種で、視覚効果に関しては、あまり心配していなかったんだ。莫大な費用と時間がかかることは分かっていたし、印象に残るものでもあるはずだけど、人間ドラマの部分がきちんとしていなければ、何もかも台無しだからね。
ダコタ・ブルー・リチャーズ:ライラはどの部分も大好き。その中でも一番好きなところは、彼女ってヒステリックで乱暴なところはあるにしても、その実、とてもスウィートな女の子なの。特に原作では例えば、ジョーダン学寮でお化けを見て怖がったり、悪夢に怯えたりしているんだけど、心を強く持とうと頑張るわね。怖いものなど何もないかのように見せたがっているけど、心の中では怯えてるの。そんなところはとっても可愛らしいと思うわ。
ニコール・キッドマン:まず、コールター夫人という役が本当に好きだったの。本を読み、この企画のプレゼンテーションを受けて、とてもワクワクしたわ。それに、こういう映画で小さな少女……(ダコタのほうを見てニッコリ)若い女の子が主人公というのはとても珍しいことだと思った。この本当に良い役が両方とも女性だというところも気に入ったの(笑)。そこがとても魅力的だった。しっかりしたテーマもあるし。それに、監督がクリスと聞いて「絶対やるわ!」という感じだったわ(笑)。
ニコール・キッドマン:「あなたには出来ない」と言われても耳を貸さないほうがいいわね(笑)。私も、「女優になるには背が高すぎる」だとか「オーストラリア出身だなんて、チャンスはないね」などと散々言われてきたわ。オーストラリアの映画業界はとても小さいので、キャリアは築くのは無理だと言われ続けたの。でも、私の中にはとても大きな情熱があったわ。それこそが必要なものだと思う。ダコタの中にもそういう情熱を感じるの。いろいろなところで断られても批判をされても、そういうことに耐えていけるような強さと、有名になればなったでそこにつきまとうものもあるけど、自分の核をしっかりと持っていることが大事ね。芸術に対する情熱を失わないこと。それがなくなったら、辞めたほうがいいわ。そういう情熱が冷めない限りは決して諦めないで、芸術に身を捧げてほしいと思うの。
ダコタ・ブルー・リチャーズ:確かにグリーン・スクリーンでの撮影は、今回一番大変だったことの一つだわ。というのは、幼い頃から私は何かを想像するより、目の前にあるリアルなものを信じるタイプの子供だったから。それなのに、今回は何もかも想像して演技をしなくちゃいけなかったから、すごく混乱したわ。特にこれは私にとって初めての映画だったわけだから、いずれにせよ、何が何だかわけが分からない状態だった。ただ、そうしたシーンのときには、台詞を読んでくださる方に加えて、ダイモンや鎧熊のパペットを置いてくださったので、それでだいぶ助けていただいたわ。それがなかったら、やれたかどうか……。
ニコール・キッドマン:私は想像の中で生きているタイプだから(笑)。演技を始めた理由の一つも、いろいろなことを容易に想像できたからだわ。実際に存在しないものを頭の中で創り出すのがとっても得意だったの(笑)。これは実生活においては支障になるかもしれないけど、俳優にとっては役立つものだわ。これまでいろいろな映画を撮ってきたので、現場に慣れているというか、カメラがあって大勢のスタッフがいる中で、リラックスはしているんだけど集中するすべを、私は身につけていると思うの。でもやはり、そこには監督がいて私を導いてくれるからこそ、安心して演技ができるということもあるわ。とにかく私は、自分の中で物事を想像してそれを信じることができる。だからグリーン・スクリーンがあってもなくても同じことなの。ただ、私はやっぱり、他の俳優さんがいるほうが好きだわ。声だけというのは辛いわね。俳優が動いているのを見るのが好き。でも、それが出来ないときには、とりあえず現実は置いておいて、想像の中を生きるの。
ニコール・キッドマン:私の子供たち、13歳のコナーと15歳のベラ(イザベラ)はこれを観て、すごく気に入ってくれたわ。お腹の中の赤ん坊にとっては、まだまだ先の話ね……(笑)。私が仕事をしていることで子供たちとの時間が犠牲になることはたくさんあるので、彼らも観て楽しめるし、友達も連れていけるし、プレミアにも出席できる作品というのは、これからも作っていきたいと思っているわ。これまでは大人向けの映画が多かったんだけど、最近では『ムーラン・ルージュ』が若い観客層を獲得できたし、『ハッピー・フィート』は子供たちが観られる映画だった。だから今後はできるだけ、大人向けとこういう子供向けのものを交互にやっていきたいという気持ちがあるの。15歳以下の子供たちが観られる映画を作るのはやっぱりとても楽しいし、役者としても違う技術が必要だから。
クリス・ワイツ監督:僕の一番好きなシーンは、映画の後半のところに出てくる、ダコタとニコールの二人だけのシーンなんだ。それまで映画の中で起きてきたさまざまな出来事の理由が解き明かされる、とても緊迫したエモーショナルなシーンで、すごく気に入っている。何故かというと、特撮やしゃべる動物に全く頼っていない、俳優だけのシーンだからね。今でも思い出すと顔がほころんでくるんだけど、世界の最高峰の女優さんであるニコールと、映画が初めてのダコタという2人の役者の演技力だけでもっている緊迫したシーンだからね。僕はそれを観ると、とても誇りに感じるんだ。この映画の中には素晴らしい特撮のシーンがたくさん登場する。鎧熊の決闘のシーンなども大変素晴らしいだが、僕はそれらのシーンよりもこちらのほうが誇りに思えるんだ。特撮のシーンよりも、俳優だけのシーンをうまく撮るほうがはるかに難しいと今は実感しているからね。
ダコタ・ブルー・リチャーズ:私は監督がおっしゃったシーンもすごく好きだけど、他の子供たちと一緒に登場する最初のシークエンスがすごく気に入っているの。というのは、子供たちが観たときにライラに感情移入できるシーンだと思うから。彼女は友達と大騒ぎしていたり、嘘をついたり話をでっち上げたりしてるけど、こういうのって子供は大好きなのよね。撮影もすごく楽しかった。大勢の子供たちといられた数少ないシーンだったから。
ニコール・キッドマン:私は鎧熊の戦いが好き(笑)。あれこそ戦いよ。自分の演技はいつも観ているけど、あれを観たときは“わぁ~、すごい! どうやって撮ったんだろう?”とビックリしたから。
妊娠5ヵ月ながら、よくぞ来日してくれました、ニコール。黒のエレガントなプラダのドレスの下のお腹は全くと言っていいほど目立っていない。神々しいほどの美貌で、大女優としての貫禄もたっぷりだけど、時々オージー娘の顔をのぞかせるような屈託のない話しぶりが、思いがけず愛らしい。どうしてトムはこんな女性を……と、つい思ってしまったり。新人のダコタ・ブルー・リチャーズは終始ちょっぴり恥ずかしげで、とっても初々しい。三部作全てに出演することになるのだろうが、これからの成長が楽しみだ。
(文・写真:Maori Matsuura)
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