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2008-02-29 更新
クリスティーナ・リッチ
配給:東京テアトル/デスペラード
3月1日(土)、テアトルタイムズスクエアほか全国順次ロードショー
(C)2006 Tatira Active Filmproduktions GmbH & Co. KG
先祖にかけられた呪いのせいで、豚の鼻と耳を持って生まれた女の子ペネロピ。そんなコンプレックスを抱えながらも不幸を嘆くことなく、ポジティブに自分自身を受け入れ、運命を切り開いていく彼女の姿を描いたキュートなラブ・ストーリー『ペネロピ』のPRのため、主演のクリスティーナ・リッチが来日。記者会見では「あるがままの自分を受け入れてほしい」と女性たちにメッセージを送った。
本当に久しぶりに日本に戻ってこられてうれしいわ。特にこの『ペネロピ』という作品を携えてこられたことがうれしいの。皆さん、今日はお集まりくださってありがとうございます。
実は昨日の晩に到着したばかりなので、まだ久しぶりの東京を目にすることが出来ていないの。東京は常に変化している街だと伺っているので、早く外に出て、どんな風に変わったか見てみたいわ。
まず、彼女の強さに惹かれたわ。一族にかけられた呪いのせいで豚の鼻をもって生まれてきてしまい、25年間家に閉じ込められて育つわけだけど、その呪いを自分の力で破ろうとするのだから。そんな環境に育ったら強くあることは難しいと思うのに、彼女はそんな状況にあっても自分というものを失わず、自分自身を投影するような世界を想像の中で創り出したりもする。そういうところが素晴らしいと思ったの。
それに、この映画自体がもっているメッセージにも惹かれたわ。というのは、最近の映画に登場する女性や外で目にする若い女性のイメージはネガティブなものがすごく多い気がするけど、この映画では、女性にパワフルでポジティブなメッセージを伝えられるということに喜びを感じたの。
リースとの仕事は素晴らしかったわ。実は彼女とは長年の付き合いで、今回の作品は彼女の製作会社が送り出した1本目の映画なの。彼女は他人に対して高いレベルを要求する人なので、それだけに私を主演に考えてくれたことは大きな喜びだったわ。当時彼女はオスカーにノミネートされていたこともあって、とても忙しく、現場にはあまり来られなかったの(註:リース・ウィザースプーンは2005年『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』でアカデミー賞主演女優賞を受賞)。でも、彼女が現場に来ているときには、とっても楽しい時間が過ごせたわ。リースはとても頭が良くて、すごく面白い人なの。ロンドンではあちこち一緒に出かけたわ。
最初に鼻を付けた姿を見たのはスクリーン・テストのときで、そのときはたくさん、候補の鼻があったの。監督と特殊メイク・アーティストのスコット(・ストッダード)が気に入っていたのは、その中でもすごく醜い鼻だった(笑)。穴だらけで、全然可愛らしくなかったの。それを付けたときには、彼ら以外、部屋にいた人たち全員が「ちょっとそれは……」という反応だったわ。私のほうからは「ミス・ピギー(註:ジム・ヘンソンが生み出したマペットの人気キャラクター)のように、もっと可愛いのにしてほしいわ」とお願いして、結局彼らが求めていたものとの間くらいの鼻におさまったの。
付け心地は、そんなに不快ではなかったわ。付ける時間は1時間半かかったけど。撮影中は鼻のことを考えないというルールを自分に課していたの。だって、肌に接着剤で何かがくっついているのは愉快なことではないから。気にし始めるとかきむしりたい衝動に駆られて、頭がおかしくなりそうになったので、その日の撮影が終わる3時間前までは考えないことにしたの。その代わり、一日撮影していたらその日の3時間だけは気にしていいことにしたわ(笑)。
子供の頃はアンデルセンの「みにくいアヒルの子」が一番好きだったの。面白いわ。考えてみたら、この映画と似ているところがあるかも。
実はこの作品に出たいと思った理由の一つが、おとぎ話仕立てだということだったの。長い間おとぎ話的なものをやってみたいと思っていたので、話を聞いたときには興奮したわ。実際脚本を読んでみて、ペネロピというキャラクターが賢くファニーで、とっても愛らしいとも思ったけど、一番驚いたのは話にひねりが加えられていたところなの。それがまた、女性たち、特に若い女性たちに向けたとても大切なメッセージになっているとも思ったわ。自分をあるがまま受け入れてほしい、ありのままの自分を愛してほしい、個性を大切にしてほしいというメッセージがこめられているわね。
彼は本当に素晴らしい俳優さんで、とても献身的だった。全てのシーンに生命を吹き込んでくれたわ。それに何といっても、すごくシンパシーを感じさせる愛らしい目をしていて、キャラクターに魔法のような魅力を与えてくれたと思う。
一番気に入った衣装はウェディング・ドレスね。仕立ても素晴らしかったけど、ウェディングにまつわるものは何でも素敵よね?
実は以前から、今回母親を演じてくださったキャサリン・オハラさんの大ファンだったの。一緒に仕事をしてもとても楽しい方で、演技も途轍もなく面白く、しかも即興が多いので、一緒に演じていても何が飛び出してくるか分からないのよ。ひとりの女性としてもとても素敵な方だけど、彼女はいつだって私の一番好きな女優さんなの。共演した全てのシーンが楽しかったわ。
小さい頃はハロウィーンの日も仕事をしていたわ。だから、すごくおかしな話だけど、普段もほとんどコスチュームに身を包んでいたという感じ(笑)。でも、一度……、そうだわ、数年前にワンダーウーマンとスーパーウーマンを足して2で割ったような扮装をしたことがあったわね。あと、チュチュを着たゴリラだとか(笑)、カルメン・ミランダ(註:ポルトガル生まれのブラジル人で、1920年代から1950年代にハリウッド女優・歌手として大きな人気を博した。)の扮装はしたこともあるわ。それくらいかな。カルメン・ミランダは50年代に人気があって、腕にフルーツを抱えて、キュートなバナナの歌を歌っていたのよ(43年『The Gang's All Here』の中の一シーン)。
ターニング・ポイントになったようなことは特に思い当たらないけど、私がティーンエイジャーだった頃はちょうど、アメリカでインディペンデント映画の人気が出てきて、監督が製作に関してコントロールできるような時代になっていたわ。その前はティーンエイジャーの役に18歳以上の俳優が雇われるのが普通だったから、13歳で一旦仕事をお休みすることが暗黙のルールとしてあったの。仕事がなくなってしまうので。そして、18歳か20歳くらいで復帰ということがとても多かったんだけど、ちょうど私がティーンの頃にインディペンデント映画の人気が出てきて、監督たちも発言権を持つようになった時代に入ったの。そうした監督たちはリアルさを求めていて、ティーンの役はティーンの俳優が演じることにこだわったので、私はとても運が良かったんだけど、演技を続けることができたの。
私が10代後半だった頃というのは、俳優であっても今ほど私生活の部分が注目されるということはなかったわ。だから、普通の10代の子たちと同じように外出して、いろいろな失敗をしてしまったりといった経験を普通にすることができたの。パパラッチに追い回されることなんてなかった。ティーンの頃って、誰でもバカなことをするわよね(笑)? でも私たちの頃はそれがいちいちに記事になることもなかったから。そういう風に注目されていないということが、俳優でない方たちと同じように大人になれた理由じゃないかなと思うの。今は残念ながら、もっと大変な状況で、大人の俳優であっても普段の振舞いや、スーパーに行くだけでも格好に気を使わなければいけなかったり、どこにビデオ・カメラがあるか分からないから、失言をしないように注意しなくてはいけないわ。私が思春期だった頃とはかなり変わってきてしまっているから、特に子役や10代の俳優の方たちにはタフな時代になっているわね。
そうね……今回のペネロピという役は本当に大好きなの。大人になって今すごく感じているのは、できるだけ若い女の子たちのロール・モデルになれるような、彼女たちにインスピレーションを与えられるような作品、あるいは女性たちに向けた映画を作っていきたいと思っているわ。でもそれと同時に、打ち明けると、数ヵ月前『スピード・レイサー(原題)』という作品を撮ったばかりで、今はアクションをすごくやりたいの。
ペネロピはルックスのせいで家に閉じ込められてしまうけど、そんな目に遭いながらも、勇気を持って外の世界に踏み出していく。これは本当に素晴らしいメタファーだと思うわ。つまり、私たちはみんな、大なり小なりコンプレックスを抱えていて、そのコンプレックスに囚われすぎてしまうと、自分の人生を思ったように楽しむことができないものね。そういったことを皆さんには学んでいただきたいの。また、自分自身をあるがままに受け入れてほしいというメッセージもあるわ。それに、ペネロピは白馬に乗った王子様に救われるわけではなくて、自分で自分を救っている。特に小さな女の子たちはみんな、結局は自分自身が“白馬の王子様”になって自分を救うべきなんだと学んでくれたらうれしいわ。
14年ぶり3回目の来日だというクリスティーナ。童顔で小柄のせいもあり、まだティーンのような印象だが、実はもう28歳。少女のようでありながらもセクシーで、フツーの健康的なアメリカン・ガールとは一味違う彼女の魅力に、多くのインディペンデント系監督たちが虜になるのはよく分かる気がした。とってもキュートだけど、女性たちにポジティブなメッセージを伝えている本作は、女の子同士で観に行くのもいいかも?
(文・写真:Maori Matsuura)
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