2022-04-30 更新
2020年のカンヌ映画祭では『ドライブ・マイ・カー』が脚本賞など4冠に輝き、2020年のヴェネチア国際映画祭では、共同脚本を手がけた『スパイの妻』が銀獅子賞(監督賞)、そして本作が第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)受賞するなど世界が最も注目する監督のひとりとなり、また日本映画の新しい時代をリードする存在となった濱口竜介。
待望の新作は、「偶然」をテーマに3つの物語が織りなされる初の、そして自身が「このスタイルをライフワークとしたい」と語る「短編集」となった。
親友同士の他愛のない恋バナ、大学教授に教えを乞う生徒、20年ぶりに再会した女友達……。軽快な物語の始まり、日常対話から一転、鳥肌が立つような緊張感とともに引き出される人間の本性、切り取られる人生の一瞬――。
小さな撮影体制でリハーサル・撮影時間を充分に確保し、俳優たちの繊細な表現を丁寧に映した。まるで劇中に流れるシューマンのピアノ曲集『子供の憧憬』のように軽やかかつ精緻で、遊び心に溢れた俳優の演技は必見だ。
日本映画の新時代を感じさせる映画体験が、観るものの心を捉えるだろう。
第一話「魔法(よりもっと不確か)」:
撮影帰りのタクシーの中、モデルの芽衣子(古川琴音)は、仲の良いヘアメイクのつぐみ(玄理)から、彼女が最近会った気になる男性(中島 歩)との惚気話を聞かされる。つぐみが先に下車したあと、ひとり車内に残った芽衣子が運転手に告げた行き先は──。
第二話「扉は開けたままで」:
作家で教授の瀬川(渋川清彦)は、出席日数の足りないゼミ生・佐々木(甲斐翔真)の単位取得を認めず、佐々木の就職内定は取り消しに。逆恨みをした彼は、同級生の奈緒(森 郁月)に色仕掛けの共謀をもちかけ、瀬川にスキャンダルを起こさせようとする。
第三話「もう一度」:
高校の同窓会に参加するため仙台へやってきた夏子(占部房子)は、仙台駅のエスカレーターであや(河井青葉)とすれ違う。お互いを見返し、あわてて駆け寄る夏子とあや。20年ぶりの再会に興奮を隠しきれず話し込むふたりの関係性に、やがて想像し得なかった変化が訪れる。
(2021年、日本、上映時間:121分)
キャスト&スタッフ
監督・脚本:濱口竜介
プロデューサー:高田 聡
撮影:飯岡幸子
出演:古川琴音、中島 歩、玄理、渋川清彦、森 郁月、甲斐翔真、占部房子、河井青葉ほか
配給
Incline
Bunkamuraル・シネマほか全国公開中!
■ オフィシャル・サイト: https://guzen-sozo.incline.life/ (外部サイト)
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