2022-06-10 更新
登壇者:小林啓一監督
MC:森 直人(映画評論家)
秋★枝氏による同名人気コミックを、神尾楓珠主演、西野七瀬ヒロインで映画化した『恋は光』が、6月17日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開となる。6月6日(月)、本作の試写会が実施され、小林啓一監督と映画評論家・森 直人氏が登壇した。
「恋とは何か?」を哲学的問答として語っていく本作は、秋★枝氏の原作に沿いながらも、『ももいろそらを』『ぼんとリンちゃん』『逆光の頃』『殺さない彼と死なない彼女』など小林啓一監督の過去作の要素も総合的に加わることで、小林監督ならではの世界観を創り出している。そんな監督だが、脚本づくりに苦労したという。「30稿ほど書き直しました。パターンをいろいろ考えていたんです。原作は7巻でそれを映画化するにあたりグッと短くするために、いろいろなものを凝縮しなければいけなかったので、漫画では何話かに分けてやっていたことを、グッと縮めるための行動をさせるという作業をしました。凝縮する作業をしなければいけなかった一方で、オリジナルキャラクターを登場させることも考えました。東雲のいとこや、東雲に言い寄ってくる先輩とか、北代のことを好きな先輩とか、関係性を複雑にしていったほうがよいのではないかと。ただ書く度にしっくり来なくて……結局何回も書き直して、今に至りました」と語った。
脚本を書くうえで、西条、北代、東雲、宿木、この個性的な4人の位置づけを特に意識したという。そして、これまでのイメージを覆すような個性的なキャラクターを見事に演じたキャストたち。演技指導について「西野さんに関しては、最初、僕の考えていたものと西野さんが考えていた北代像に少しズレがあったんです。撮影2日目が、路面電車のシーンだったのですが、神尾くんとしゃっべている姿を見て、『今の感じでやってみよう』と言ったら、それがものすごくよくて、それから北代像を掴んでもらってブレずにやっていただきました」と振り返る。
恋を定義するという物語を撮るにあたって、スタンダールの恋愛論など様々な文献を読み漁ったという小林監督は、「はじめは自分が得た知識を入れようとしていたのですが、それが余分なものに思えてきました」と話す。ポスタービジュアルにもなっている、「恋とは、誰しもが語れるが誰しもが正しく語れないものである」というコピーは映画冒頭でも提示される言葉であるが、実は小林監督のオリジナルの格言である。「本を読んだり、いろいろな人の意見を聞いたりする中で、“恋”とは何千年も同じ主題で、いろいろな人が思考してきているけれど、みんな勝手なことを言っているだけだなと思ったんです。みんな言っていることはよく分かるけれど、正解ではないような気もする。ということから、この言葉を思いつきました」と格言誕生秘話を明かした。
最後に「劇中で西条も夏目漱石の言葉で『恋とは宇宙的な活力である』と言っていますが、まさにそうだなと思っていて、恋は自分を奮い立たせるもの、ワクワクするもの、普段気にかけないことを気にしてみたりすること、自分が変わるきっかけを与えてくれるものだと思います。どこから湧いてくるか分からない宇宙的な活力が、やはり恋であるのではと思います。今世の中が少し暗い方向に向いていると思いますが、『恋をしたいな』と思うのは前向きな気持ちになっているということなので、ぜひこの映画を観て『恋っていいものだな』と思ってほしいなと思います」と本作に込めた想いを語った。
(オフィシャル素材提供)
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