2022-03-26 更新
①新宿武蔵野館:片渕須直(映画監督/『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』)、信友直子監督
②シネスイッチ銀座:池上 彰(ジャーナリスト)、信友直子監督
令和元年度文化庁映画賞・文化記録映画大賞を受賞するなど、高い評価を得たドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』(18)の続編、『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』が、新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷、ポレポレ東中野ほか全国順次公開中。本日3月26日(土)、映画の公開を記念したトークイベントが2会場で実施された。
新宿武蔵野館で行ったトークイベントには、アニメーション映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の片渕須直(映画監督)をゲストに迎え、同じ呉を舞台にした作品というだけではない両作の縁について信友監督と語り合った。信友監督はもともと『ぼけますから』1作目で、『この世界~』のオマージュ・シーンを入れているほど片渕監督の大ファン。また、片渕監督も「『この世界~』の登場人物が、呉で今も生活していたら『ぼけます~』のお父さんお母さんのようになっていたのでは、と以前から感じていた」と明かし、信友監督も感激。綿密な時代考証やリサーチを繰り返し、リアリティをアニメーションに落とし込むことで知られる片渕監督は、「(地元のように)町の様子も分かりますし、お家がどの辺りにあるのかも分かりました」と笑顔でコメントし、さらに「『この世界~』で描いた呉の町にお父さんお母さんの小さなお家が建ち、『ぼけます~』で描かれる信友家の物語に繋がることがとても自然なこととして捉えられる。時の経過が映像になって押し寄せてくる感覚があった」とアニメーションとドキュメンタリーという全く違うジャンルの映像作品ながら両作の繋がりについて語った。
シネスイッチ銀座ではNHK広島放送局呉通信部に在籍していたこともあり、呉の街にも詳しいジャーナリストの池上 彰氏をゲストに迎え、語りも務める信友監督の、現実を冷静に映し出そうとするドキュメンタリー監督としての立場と、実の娘であるというふたつの立場での葛藤についてなど、映画の魅力についてトークを繰り広げた。池上氏は「日本全体が抱える高齢化社会の問題を含みながらも、誰もが受け入れやすい映画」と本作を解説。部屋に辞書がいくつも積み上げられているのが気になったそうで、「お父さんの知識欲はすごいですね!」と池上氏。それを受けて信友監督は「父は今でも新聞3紙を毎日読み、同じ事柄を取り上げていても書き方で見え方が変わることもある。物事を一方から見て判断してはいけないと教えられてきました」と、お父さんの教えについて話した。
信友監督は両会場で「悲しい場面もあるけれど、60年連れ添った父と母の絆は美しく、我が親ながら崇高に見えた。決して暗い映画ではないので、本作を観て明るく爽やかな気持ちになっていただければ」とアピールし、イベントは終了した。
(オフィシャル素材提供)
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