2022-05-18 更新
磯村勇斗、蜷川実花監督
映画『ホリック xxxHOLiC』の公開を記念して5月16日(月)、都内劇場にて上映前のトークイベントが開催。磯村勇斗と蜷川実花監督が登壇し、磯村が演じた映画オリジナルのキャラクターであるアカグモの役作りや撮影の様子についてトークを繰り広げた。
CLAMPの人気漫画を原作にした本作だが、磯村が演じたアカグモは映画唯一のオリジナル・キャラクターであり、ヒトでありながら女郎蜘蛛(吉岡里帆)を崇拝し、手下として暗躍するという役どころ。蜷川監督はアカグモが誕生した背景について「原作のキャラクターがみんな素晴らしく、役割がハッキリしている中で、何巻もある原作を短くまとめる時に、自由に動けるオリジナルのキャラクターがいたらいいなというところからスタートしています。女郎蜘蛛の手下なら、カッコいい男の子がいいんじゃないかと思って(笑)、『こうだったらいいのにな』という思いを詰め込みまくって作りました」と説明。
こうした経緯もあって蜷川監督にとっても思い入れの強いキャラクターとなったが「その熱い思いが現場でも伝わったみたいで、それがそのままプレッシャーになってたと思います……(笑)」と磯村に対し、少し申し訳なさそうに語る。
衣装合わせの段階から、蜷川監督のアカグモへの熱量は凄まじかったそうで、磯村は「乙女でしたね(笑)。『アカグモは私の理想を詰め込んだから!』という話も伝えていただいていて、これは何としてもしっかりと、蜷川さんが求めるものにしなきゃというプレッシャーもありましたが、やってて楽しかったです」とふり返る。
蜷川監督の映画に参加するのは初めてだが、過去に磯村は何度も蜷川監督に被写体として撮影されており「好みや世界観、どういう人物が好きかといった理解はあったので、それを頭に入れながら、アカグモを作っていきました」と述懐。「僕にとっても新たな挑戦でした。色気を出していかないといけないし、ドMであり、ドSであるという二面性もあって、かなりの変態だと思うので(笑)、どう演じようか悩みもありました」と難しさも口にする。
蜷川監督はキャスティングの段階で「磯村くんしかいない」と確信を抱いていたそうで「圧倒的にお芝居が上手なのも知っていたし、写真を撮らせてもらうと、私なりに『こういう顔をするんだな』とか『こういうところがあるんだな』と分かるところがあって、これは絶対に磯村くんが演じているところが“見える”と思えたので、すごくよかったです」と満足そうにうなずく。
特に、撮影で2人が印象的だったとふり返るのが、お寺でアカグモが動きながらセリフを言うシーン。磯村は「この広い空間で、どう演じようか?と思っていたら、実花さんが『舞台だと思っていいから。好きなように動いて』とおっしゃって、僕は(蜷川監督の亡き父親である舞台演出家の)蜷川幸雄さんとご一緒したことはなかったけど、その(演出の)感覚をいま、味わえているのかもしれないって思えました」と同シーンを通じて“世界のニナガワ”の演出を感じたと語る。
蜷川監督もこの言葉にうなずきながら「不思議でしたよね。広いステージを見たとき、私も『舞台みたいだな』と思って、『こうしたらどうかな?』とかやっていくうちに、『あれ? なんか見たことあるぞ、この感じ……』と思えて、『なるほど、(蜷川幸雄の)娘だったんだな』と思った瞬間がありました」と磯村の感覚とシンクロしていたと告白。「あそこは印象深くて、たぶん、間に合っていたら、父は絶対に好きだったろうなと思います。よく、家で『あの子はどう?』とかキャストの話をしてたんですけど、(磯村さんのことが)絶対に好きだったろうなって思いました」としみじみと語った。
磯村は蜷川監督の言葉に「嬉しいです」と笑みを浮かべ、「(蜷川幸雄さんは)こんな感じで演出するのかな?とか、実花さんを通して感じて楽しかったです。稽古している感じでした」と充実した表情を見せた。
神木隆之介、松村北斗といった、年齢の近い俳優陣との共演も、磯村にとっては大いに刺激になったよう。一方で磯村は決して撮影日数が多くはない中で、長ぜりふであったり、難しい演技を求められるシーンが多く、撮影を通じて「気が抜けなかった」とも。そんな中でも、神木らはお構いなしに笑顔で話しかけてきたり、ふざけて磯村をイジッてくることもあったそう。磯村は「そういう(大変な)時ほど、神木くんがニコニコしてる(笑)。あれが神木くんの良さですね。そこで暗くなって思い詰めてたら、肩の力を抜いてできなかったと思います。『今日、すごいセリフあるね~(笑)』と神木くんが近づいてくるのが良かったです」と感謝を口にする。
蜷川監督によると、神木は、長ぜりふのある玉城ティナに対しても「直前までふざけてた(笑)」とのこと。磯村は「あれが子役からやってきた余裕ですよね(笑)」と語り、蜷川監督も「バケモンですよ(笑)」と絶賛(?)していた。
また、蜷川監督は本作において、アカグモ役の磯村、女郎蜘蛛役の吉岡を“セクシー担当”と考えており、そのための“指導スタッフ”まで手配したという。蜷川監督が呼んだのは、ポールダンスの先生で、磯村は「クランクイン前から“セクシー担当”というのは聞いてて、蜷川さんから『色気のほう、よろしくね!』と言われてたんですけど、どういうふうにすればいいのか……色気の表現って分からないなと。でも、蜷川さんは被写体の魅力を映し出すのが得意なので、信頼して、あまり深く考えずにいたんですが、まさか“セクシー所作指導”まで来るとは思ってなかったです(笑)」と驚きを口にする。
「そもそも“セクシー所作指導”って何なんだ(笑)!?」と戸惑いを覚えつつ、セクシー所作指導を受けに先生のもとに赴いたが「先生がもう『なんでそんなに色気が出るんだ?』ってくらいすごくて、一つひとつの動きがセクシーで、すぐにバンって壁ドンをされて『こうやるのよ』って(笑)」と熱血指導の様子を明かし、手の動きひとつひとつまでセクシーに、アカグモというキャラクターが作られていったと明かした。
こうした努力の甲斐もあってか、原作者のCLAMPは、磯村によるアカグモを絶賛! 先日、CLAMPが描き下ろしたアカグモのイラストは、Twitterのスペース上でCLAMPのほうから「描いてもいいですか?」と申し出があり、実現した企画だという。
蜷川監督は「オリジナル・キャラクターを作るって、どう思われるかな?と気にしていたけど、(スペースでのトークで)ホントにアカグモの話ばかりされていました。本当に嬉しいです」とホッとした様子。磯村も描き下ろされたイラストを見やり「衣装も含めてまんまですもんね。嬉しかったです」と満面の笑みを浮かべていた。
トークの最後に磯村は「アカグモだけでなく、どのキャラクターもみんな魅力的で、それぞれ色気があるので、好きなキャラクターが見つかると思います。蜷川監督の映像美、世界観を目に焼き付けて帰っていただけたら嬉しいです」と呼びかけ、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。
映画『ホリック xxxHOLiC』は絶賛公開中。
(オフィシャル素材提供)
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