2021-12-09 更新
ピーター・バラカン(ブロードキャスター) MC:奥浜レイラ
今年8月のチャーリー・ワッツ訃報を受け、1968年にジャン=リュック・ゴダール監督がザ・ローリング・ストーンズのレコーディング風景を撮影した伝説の音楽ドキュメンタリー『ワン・プラス・ワン』が、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて、全国絶賛公開中。本作のチャーリー・ワッツ追悼上映を記念し、ブロードキャスターのピーター・バラカンをゲストに招いたトークショー付き特別上映が新宿ピカデリーで実施された。バンド黄金期を迎える1968年当時のストーンズやチャーリー・ワッツのこれまでの功績について、バラカンがこれまでの音楽体験を踏まえながらたっぷり語った。
1978年に日本で初めて劇場公開され、1996年にもリバイバル上映がされた本作。会場の観客の中には今回の追悼上映で初めて鑑賞するという観客も多数。ロンドン出身のピーター・バラカンが初めて本作を鑑賞したのは1996年の日本でのことだったという。その後、何度も本作を鑑賞していると振り返り、感想について尋ねられると「ストーンズの録音風景が1番」と語る。
そんな録音風景が撮影された1968年は、ちょうどローリング・ストーンズの黄金時代が始まる時期だという。「ストーンズがデビューした時、僕は12歳で、その後ずっとリアルタイムでストーンズを聞いてきた世代」、「悪魔を憐れむ歌(sympathy for the devil)」が収録されているアルバム『ベガーズ・バンケット』を聞いて、ストーンズが戻ってきた!という安心感があった。そこから4年間、誰が聞いても“ストーンズらしい”時期に入っていく。その記念すべき1曲の録音が本作」とデビュー当時からストーンズの音楽を聞き続けているバラカンならではの話が続く。
次に劇中で印象に残っているシーンについて「ストーンズの録音風景をじっくり見ることができる映像で、オリジナル・メンバー全員が揃っている姿を見られるのはこれだけ。とても貴重だし、ブライアンの頼りない姿は痛ましくも興味深い、キースは仕切っているなあ」、「ロックのピアノでニッキー・ホプキンスほど凄い人はそうそういない」など、参加ミュージシャンそれぞれの姿を振り返った。ストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツの今年8月の訃報を受けて急遽リバイバル上映された本作だが、彼の人物像について尋ねられると「デビューの時からずっとストーンズの心臓部を務めていた人。ストーンズを聞いていてチャーリーを当たり前に感じている時期もあったが、マーティン・スコセッシ監督の『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』を観て、チャーリーがいないと今のストーンズは成り立たないと思うほど、彼の存在感を凄いと思った」とコメント。さらに「チャーリーがなぜそんなに特別なのかというと、ロックンロールの“ロール”の部分が凄かった」、「ジャズをずっとやっていたからリズム感がスウィングする。ロックをやっていても彼は微妙にスウィングしていた」と分析、「おそらく多くのファンと同じように、チャーリーがいないストーンズは想像できない」と語った。
続いて話題はバラカンとストーンズの思い出話に。「ずっとストーンズが好きで、僕がブラック・ミュージックを聴くようになったのはひとえにストーンズがいたから」。レコードをたくさん買うことができなかったという当時、ストーンズのアルバムやインタビューからブラック・ミュージックなどを学んだという。
バラカンの熱いトークに会場は大いに盛り上がる中、最後に、これから本作を鑑賞する観客に向けて「皆さん楽しんでください!」と笑顔でコメントし、トークイベントは終了した。
(オフィシャル素材提供)
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