2021-08-30 更新
世界中の映画祭で感動の嵐を巻き起こし、今もなお国内各地で上映が続く映画『ひとくず』上西雄大監督の新作『ヌーのコインロッカーは使用禁止』が、2022年全国順次公開に決定した。また、この度、スペインのマドリード国際映画祭(2021 Madrid International Film Festival)にて、最優秀作品賞および外国語映画最優秀主演女優賞(古川 藍)の2部門W受賞を果たした。マドリード国際映画祭はコロナ禍の影響により、オンラインにて開催された(2021年8月23日~8月27日まで)。
発達障害のヌーは、生まれてすぐ母親からコインロッカーに捨てられた過去をもつ。自分と母を繋ぐ唯一無二のコインロッカーを守ることは、彼女にとって大切な日課だった。そんなヌーは絵を描くことが大好きで、いつもスケッチブックを手に歩いていた。ある日、刑務所から出所した男・黒迫と出会う。黒迫が気まぐれにヌーの絵をSNSにアップしたところ評判となり、絵を高値で売ろうとするが、ヌーの純心さに触れ、親交を深めていく。そんな折、ヌーが病気で倒れてしまう……。
本作は、発達障害の話に感銘を受けた上西が脚本を書きあげ、自身が主宰する劇団テンアンツで2018年に舞台初上演。その後、『ひとくず』の次に映画として製作された。ヌーのイメージは、発達障害でありながらも素晴らしい絵を描く青年、山﨑 宥さんがモデルになっており、劇中のヌーが描く絵も担当している。
ヌーを演じるのは、古川 藍。『ひとくず』では、子供の頃に虐待を受けて幼い娘と接し方が分からず育児放棄してしまう女性を演じたが、本作では孤児院で育った発達障害の女性という難役に挑んでいる。他、田中要次、菅田 俊、木下ほうか、白川和子、田村 亮が出演。ヌーの少女時代を『ひとくず』の鞠役の小南希良梨が演じる。黒迫を上西雄大が演じ、ヌーの担当施設職員・瀬戸瑠璃子を徳竹未夏が演じている。
また、主題歌「ヌー」をシンガーソングライターの山崎ハコが書き下ろした。
『ヌーのコインロッカーは使用禁止』は、2022年ユーロスペース、第七藝術劇場ほか、全国順次ロードショー。
マドリード国際映画祭W受賞を果たした上西雄大監督と主演の古川 藍より、喜びのコメントが届いた。
上西雄大監督 コメント
映画『ひとくず』が生まれるきっかけとなったのは、本作『ヌーのコインロッカーは使用禁止』のために発達障害について精神科医の楠部知子先生にお話をお聞きしたことがきっかけでした。
映画『ひとくず』は僕の根っことなる作品でありますが、本作『ヌーのコインロッカーは使用禁止』において古川 藍さんが演じたヌーの姿や声、そしてその笑顔は『ひとくず』同様に僕の根っこに存在し輝いています。
他者とは違う表現や世界の見え方、ヌーはまるで天使のようなコインロッカーベイビー。
僕は作品の中に人間を描くことに全力を注ぎます。
本作は、古川 藍さんが演じたヌーという人物の人間としての美しさを、まるでファンタジーのように描こうと思いました。その想いを受け止めていただいたこの度の受賞に勇気と力を頂き、心から喜びそして感謝しております。
皆様ぜひ、劇場でヌーという天使に会って下さい。
古川 藍 コメント
この度、マドリード国際映画祭にて外国語部門映画最優秀主演女優賞というとても光栄な賞を頂き本当に驚いています。
この作品に出てくるコインロッカーベイビーのヌーは発達障害というハンデを抱えていますが、ただただ純粋で優しく、そして儚さもある女の子。
作品の中で生きるヌーを演じられたことに大きな喜びを感じています。
そして、俳優・監督であります上西雄大さんに最大の感謝と尊敬の想いに溢れています。
この作品を観ていただいた方々に何か温かい気持ちを受け取っていただけたら……と願っております。
本当にありがとうございます。
(オフィシャル素材提供)
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