2022-06-06 更新
青山真也監督、ダースレイダー、プチ鹿島
「下北線路街」がオープンした下北沢のシモキタ -エキマエ- シネマ『K2』での上映が始まったドキュメンタリー映画『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』。K2での上映2日目の6月4日(土)にはYouTube番組「ヒルカラナンデス(仮)」でおなじみのダースレイダーさんとプチ鹿島さんが、本作監督の青山真也と上映後のトークイベントに登壇した。
冒頭、青山監督が「1964年の市川崑監督のオリンピック映画(『東京オリンピック』)に影響を受けて、大好きなオリンピック映画を盛り上げたいと思って本作を作った」と口火を切ると、話題は、2021年の東京オリンピックの公式記録映画『東京2020オリンピック SIDE:A』に。
ダースレイダーは、「『SIDE:A』はジェンダーや国の事情などエピソード的にはベタで、1個1個のストーリーは考えさせられることもあるんです。競技の結果でなく、その人が挑戦する姿勢を撮っている。その問題意識でオリンピックを見るのなら、それ(霞ケ丘アパート住民の立ち退き)を経て開催されたのが、『東京2020オリンピック SIDE:A』で描かれているオリンピックと考えた時に、青山さんが取り上げたここ(霞ケ丘アパート住民の立ち退き)は絶対取り上げなくてはいけない問題だと思うんです」と熱弁。前日『東京2020オリンピック SIDE:A』を観た青山監督も、「アスリートというよりは人間を撮っている気がして、僕は評価しているんです。であれば、オリンピックのために引っ越し後すぐ死んじゃった元住民・人間もいるということもカメラでおさえてほしかったなと」と語った。
監督が「引っ越しの保証料が17万1000円のみ。引っ越し代に30万以上かかった人も少なくない」と言うと、プチ鹿島は「年配の方なら、お任せパックのほうでないと」と引っ越しの過酷さを指摘する。
また、プチ鹿島は、「引っ越し当日に高齢者2人がエアコンの室外機を(持ち上げて右往左往するシーン)……あんなの普通の引っ越しでも見たことないでしょ」と映画の印象的なシーンをピックアップする。片腕の高齢住民がひとりでリアカーで荷物を引きずっているシーンに関しては、プチ鹿島が「監督も辛かったと思うんです。でもドキュメンタリーだから手を出したらダメだし」と言うと、監督は、「『あれ、映画として(やらせで)撮ったんでしょ』と言われるんだけれど、『引っ越したら洗濯機とか冷蔵庫とかをまた買わなくちゃいけないから、17万を使いたくない』とリアルな引っ越し風景を撮影しただけなんです」と説明。
プチ鹿島は、「オリンピックはあれだけお金が膨らんでいるんだから、立ち退きは納得できないですが、せめて引っ越し代くらいは十分にケアすべきじゃないですか?」と話した。ダースレイダーが「この映画で描かれたことを前提としてオリンピックで起こった様々なことを見ると、より理不尽さを感じる。お弁当の廃棄問題や暑さ対策としてアサガオを用意したことを考えるとだいぶ無駄なお金を使ってしまっている。そのお金を引っ越し費用に充てたらよかった」と言うと、監督は、「百何十世帯しか住んでなかったので、オリンピック開催に比べたら大したお金ではないですよ」と答えた。
「上の人が悪い」という、劇中の片腕の高齢住民の話に話が及ぶと、監督は、「東京都に住民が要望書を持って行っても、誰が責任者か分からない」と責任者不在で進む開発政策を批判した。
(オフィシャル素材提供)
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