2020-08-21 更新
のん、小野友樹、平川新士、夜道 雪
『マロナの幻想的な物語り』の完成披露試写会がコロナ禍のなか、安全対策が行われ、東京・ユーロライブで開催された。日本語吹替キャストを務めるのん、小野友樹、平川新士、夜道 雪が登壇してトーク・セッションを繰り広げた。
本作は、東京アニメアワードフェスティバル2020(TAAF2020)コンペティション部門・長編アニメーションのグランプリに輝いた作品。ルーマニアのアンカ・ダミアンが監督を務めている。ハート型の鼻を持つミックス犬のマロナの視点から人間社会を描いた芸術性溢れる作品。のんがマロナ、小野は曲芸師のマノーレ、平川は工事現場の監督イシュトヴァン、夜道は少女ソランジュの声を担当している。手書きをベースとした独特なアニメーション表現で描いた長編アニメ。
のんは、まずは犬のマロナについて「ハート型の鼻をしたかわいいワンちゃんです」と説明し、「映像表現がすごくて、アート性が強い作品です。異なる絵柄の人やものがこんなに共存している映像は他にはないと思います。それと、ストーリーが犬(マロナ)の視点で描かれているのがすごく新鮮で、胸が打たれました」と見どころと作品の感想を語った。また、「犬の声は初めてで、嬉しかったです。すごく面白そうだなと思いました。緊張しましたが、頑張りました」と笑顔でアフレコを振り返った。
小野は完成作品を観た感想を聞かれると、「日本のアニメと土壌が違うなと思いました。芸術に全振りするとこうなるんだ……というカルチャー・ショックがありました」、平川は「アーティスティックなんですが、物語はシンプルで、キャラクターの生きる理念みたいなものが見えてきます。なので不思議に思うところは少なくて、スッと心に入ってきました」と話した。
のんの声優ぶりについて聞かれると、小野は「素直に思ったのが、のんさんの声は原作の声のイメージに近いということです。言語は違っても、意図をくみ取りつつ、自分のニュアンスも取り入れていて、耳に染み入る感覚がありました。大きな感情をのせなくても伝わるんです」と絶賛した。
夜道は自身が演じたソランジュについて「ソランジュが成長していくことで声や演技も変わっていくので、難しかった。幼い頃、反抗期、落ち着いたとき、大人になってからなど、演技を変化させていくのが大変でした」と振り返った。また、のんの声については、「飾らないで思っている気持ちが伝わってきて、本当に素敵なマロナでした」と称賛。平川も「マロナのお芝居も少女っぽいんだけど、時々大人びているところもあって、素敵だなと思いました」とのんの声優ぶりを称賛した。
その言葉聞いたのんは、「嬉しいですね」と笑顔。今回のんは、自分が収録に臨む前にほかのキャストの収録風景を見てから臨んだそうで、「“普段話しているときとこんなに声が違うんだ”と目の前で見て、感動しました。完成した映画を観たときにマロナと皆さん(演じるキャラクター)が出会っている感じがして、満たされた気持ちになりました。見学した時間がすごく楽しかったので、愛情を持って飼い主に尽くしていくマロナの気持ちに、素直に入っていくことが出来ました」と話した。
作品にちなみ、動物(ペット)に関する思い出を聞かれたのんは小学生の頃にハムスターを飼っていたことを明かし、「友だちと砂場で一緒に遊んでいたとき、ハムスターにトンネルを掘らした後で、そのトンネルが掘られた山を壊したのですが、ハムスターがいないことに気づき、慌てて砂の中を調べて無事救出しました」という驚きの思い出を打ち明け、「今でも心が痛いです。ごめんなさい」とハムスターに心から謝罪していた。
最後にのんは、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、人々が不自由な生活を強いられていることにも触れ、「不要不急なものが、難しくなる中で、マロナの映画を送り出すことが嬉しく思います。観てくださる人の心を温められるものに参加して、楽しんでもらうことは大切なことだと思っています」とメッセージを伝え、「マロナ(犬)の目線で人の世界を見ることはすごく新鮮だと思います。見る人によって、どう捉えてもらえるのか、全く違う作品になると思います。そしてそれを自分に置き換えて考えられる映画だと思います」と作品をアピールした。
(取材・文・写真:福住佐知子)
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