2020-11-11 更新
女優の池田エライザが初監督した映画『夏、至るころ』は、福岡県田川市を舞台に、緑あふれる故郷の山々に抱かれながら、友情を育んできた男子高校生の翔(しょう)と泰我(たいが)が、夏祭りを前に初めて自分の人生と向き合い、それぞれの一歩を選びとる物語。
撮影時23歳の女性監督・池田エライザは、奇をてらうことなく、青春を、家族を、故郷を、みずみずしい感性で描き切った。時代がどのように変わっても、国がどのように違っても、人が人を大切に思う気持ちは変わらない。日本とフィリピンにルーツをもつ新進女性監督の誕生に、いまアジア中の映画ファンが注目している。
翔と泰我は福岡県田川市の高校3年生。子どもの頃からの親友で、ずっと一緒に和太鼓の訓練をしてきた。
だが夏祭りを前にしたある日、泰我が受験勉強に専念するから太鼓を辞めると言い出す。それを聞いた翔は愕然としてしまう。自分は何がしたいんだろう、どうしたらいいのだろう。
そんな翔の前にギターを背負った少女、都が現れる……。
撮影時23歳の女性監督・池田エライザは、奇をてらうことなく、青春を、家族を、故郷を、みずみずしい感性で描き切った。時代がどのように変わっても、国がどのように違っても、人が人を大切に思う気持ちは変わらない。日本とフィリピンにルーツをもつ新進女性監督の誕生に、いまアジア中の映画ファンが注目している。
(2020年、日本)
キャスト&スタッフ
原案・監督:池田エライザ
脚本:下田悠子
音楽:西山宏幸
撮影:今井孝博
出演:倉 悠貴、石内呂依、さいとうなり、安部賢一、杉野希妃、大塚まさじ、高良健吾、リリー・フランキー 原日出子ほか
製作・配給
映画24区
12月4日(金) 渋谷ホワイトシネクイント、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13ほか 全国順次ロードショー!
■ 公式サイト: natsu-itarukoro.jp (外部サイト)
片田舎で、まだ何にもなれていない若者たちの不安と心の揺れ、葛藤を瑞々しく映した作品。単なる青春ものとは明らかに違う、文学的な深度とアーティスティックな映像センス、凛とした静謐さと清涼な佇まいが心を惹きつける美しい一編で、池田エライザの監督としての資質に驚かされた。
それぞれの画が繊細で、若者たちの身体を印象的にとらえている。主役の翔くんの横顔の美しさにははっとさせられた。
二人の少年そして、音楽を捨てようとした少女、それぞれが言葉にできないでいる複雑な想いが観る者の心に流れ込み、かつて同様の時間を経てきた記憶が喚起され、ひりつくようなかすかな痛みとともに心を震わされた。
閉塞した時代を生きる彼らと同世代の人たちも、この映画を観たらきっと、勇気をふるって一歩を踏み出してみようと思うのではないだろうか。
初監督作品とは思えない完成度の高さで、今後も作品を観てみたいと思わされたと同時に、これほどの感性をそなえた池田エライザの女優としての仕事もフォローしたくなった。
(Maori記)
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