2020-02-23 更新
リエン・ビン・ファット、レオン・レ監督
孤独な2人の男の刹那的な情愛を繊細なタッチで描く映画『ソン・ランの響き』が2月22日に新宿・K's cinemaにて公開初日を迎え、レオン・レ監督と主演のリエン・ビン・ファットが登壇、作品への思いを語った。
本作は、1980年代のベトナム・サイゴンを舞台に、借金の取り立て屋のユンと、ベトナムの伝統歌舞劇<カイルオン>の花形役者リン・フンの刹那的な3日間の出会いを、退廃的で美しい80年代サイゴンのビジュアルと共に描いた「ボーイ・ミーツ・ボーイ」の物語。
お揃いのベージュの衣装で登壇したレオン・レ監督とリエン・ビン・ファット。ベトナムの伝統歌舞劇<カイルオン>をテーマに理由について問われたレオン監督は、「子どもの時からカイルオンの役者になることが夢でしたが、13歳からアメリカで暮らすことになったんです。その時恐らくこの夢は叶わなだろうと思いました。しかし、カイルオンへの愛は私の中に1日も消えることなく、あり続けたんです。そして20年後、カイルオンの役者になることではなくカイルオンの映画をつくるという夢を持ってベトナムに帰国し、脚本を書き始めました」と語った。
リエン・ビン・ファットは、<カイルオン>の花形役者と惹かれ合う冷酷な借金取り・ユンを演じ、第31回東京国際映画祭でジェムストーン賞(新人俳優賞)を受賞。どのように役づくりしたか問われると、「俳優デビュー作であり、たくさん難しいシーンがあったため、私の全ての能力を費やしました。脚本を何度も読み込み、演じるユンの人物像を分析し、カイルオンについても研究をしました」と語った。
レオン監督は、リエンの主演のキャスティングの理由にも言及。「リエンさんのボディや美貌も重視しました。魅力的ですから(笑)。しかしそれよりも大事にしたのは彼の表現力です。特に無邪気な雰囲気の目です」と振り返った。
またユンと惹かれ合うカイルオンの花形役者リン・フンを演じたアイザックについては、プロデューサーから提案された当初は断っていたと明かした。「韓国のポップスターのようなアイザックは適役ではないと思っていました。しかし、何百人に会ってもふさわしい人がいませんでした。それでもう一度彼と会ってみると、バランスが取れていると感じたんです。カイルオンの役者にもオーディションを受けてもらいましたが、映画の世界にとけ込めないんです。しかし、映画の役者はカイルオンを演じられない。彼はそのバランスが良かったんです」。
続いて、レオン監督への思いを問われたリエン。「レオン監督への思いはA4用紙2枚でも足りません」と笑う。「最も尊敬しているのは、基準をもうけ、自分の主張を譲らず、最後までやり遂げるところ。周りが経済的な効果の出る方法を提案しても、最後まで自分の基準を維持していました」と監督のこだわりを讃えた。
イベント終盤には、レオン監督、リエンが練習してきたという日本語でそれぞれ挨拶。レオン監督は「ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします」と述べ、リエンも「友達にもどうぞよろしく!」と語り、開場は拍手に包まれた。
映画『ソン・ランの響き』は新宿K's cinemaほか全国順次公開中。
(オフィシャル素材提供)
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