2021-02-03 更新
柄本 佑、坂井真紀、宇崎竜童、奥田瑛二、高橋伴明監督
映画『痛くない死に方』の完成披露舞台挨拶が都内で行われ、主演の柄本佑、共演者の坂井真紀、宇崎竜童、奥田瑛二、メガホンを取った高橋伴明監督が登壇して作品について語った。
本作は、在宅医療の分野で著名な長尾和宏医師の著書「痛くない死に方」「痛い在宅医」が原作。医師・河田 仁が在宅医の在り方を模索する姿と、終末医療をめぐって患者とその家族、そして彼らと向き合う姿が描かれる。
主演の河田役を務めた柄本は「高橋伴明監督の作品に出させていただくことが夢でした。主役という立場で出演できて、幸せいっぱいの作品です」と挨拶。
在宅医療を選んだ末に父を苦しませて死なせてしまう井上智美役を務めた坂井は「私も佑くんと一緒の気持ちです。(高橋)伴明監督の作品に皆さんと一緒に出演できて嬉しい」と笑顔を見せる。父親を亡くしてしまう役で「他人ごとではない。役と同じような気持ちで演じていた」とコメントした。涙の演技が光る。
河田が担当する末期がん患者・本多彰役を務めた宇崎は、「この役は伴明監督のキャラがそのまんま生きている。伴明監督とは30代半ばからの長い付き合いなので、何を考えているか、何をやらかしてきたかほとんど知っている(笑)。高橋伴明をそのまま体に取り入れて演じました」と茶目っ気たっぷりに話す。さらに、役作りでは「病人の役なので、何十年もやっているこの髪型だと、病人らしく見えないと思い、白髪染めせずバサバサの髪にしたら、監督が『それでいい』って言ってくれた。映画の中の白髪はまんま、私の白髪です」と話して会場に笑いを誘った。
奥田は「監督が伴明さんと聞いて、台本を見ないで『やるよ!』と即答しました。伴明さんとは3本目になります。同じ年だし、仲がいいんです。主演が(義理の)息子と聞いて驚きましたが、役同士で存在するって何だろうと考えた。一生懸命、今までにない思いで取り組みました。素敵な現場でした」と語った。奥田は、本作のモデルとなった在宅医療のスペシャリスト・長尾和宏さん役で河田の先輩医師・長野浩平を演じた。
親子共演を果たした柄本は「奥田監督(義父)の作品(『今日子と修一の場合』)にも出演しましたし、伴明監督の『赤い玉、』で共演もしています。弟、父、妻とほかの家族も役者をやっていますが、(義父とは)一番ご一緒しているのでフラットに現場に入れました」と語った。
今作の前半は“痛い在宅医療”、後半は“痛くない在宅医療”で構成されている。高橋監督は「この映画をやって、何より嬉しかったのは、ここにいるキャスト陣が参加してくれたこと。真夏の撮影で、虫に悩まされましたが、乗り切ってくれました」とキャスト陣に感謝の気持ちを述べた。さらに、「原作は『痛い在宅医』というタイトルですが、それだけでは自分的には辛いと思い、後半で“痛くない在宅医療”を描きました。65歳になった時に、『自分はどういう死に方をするんだろう?』と考えるようになりました。今作は、自分が今考えられる理想の死を乗せた構成になっています」と説明した。
柄本は役作りで長尾医師の往診に一緒についていったという、「一日で4件くらい回りました。長尾先生は患者さんと話すときに、目を見つめながら患者さんの手を握ったり、腰に触れたりしながら話されていたんです。それを見ていて、河田を演じるとき、患者に接するときはどこか触っているようにしようと考え、監督にも話して取り入れました」と細かな発見が演技の参考になったことを明かした。
最後に高橋監督は「コロナ禍での上映になりますが、『観て損はないぞ』と思った方は、いつもより数倍力を込めて他の方に勧めてください」と客席に向かって熱くアピールした。
他の共演者に『ディア・ドクター』などの余貴美子のほか、大谷直子、大西信満ら個性派俳優が顔をそろえている。
(取材・文・写真:福住佐知子)
関連記事
・クランクイン!
・第23回上海国際映画祭「日本映画週間」にて上映決定!
・実力派キャストが集結!柄本 佑のコメント&ポスタービジュアル解禁
・高橋伴明監督 オフィシャル・インタビュー
・柄本 佑 オフィシャル・インタビュー
・初日舞台挨拶