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2019-09-19 更新
リー・ワネル監督
リー・ワネル監督
1977年1月17日生まれ、オーストラリア・メルボルン出身。
名門校ロイヤルメルボルン工科大学で映画を専攻し、そこで出会った映画監督のジェームズ・ワンと一緒に構想を練るようになる。2004年『ソウ』もそのうちの一つであり、ワネルが脚本を担当し出演もしている。『ソウ2』では引き続き脚本を共同執筆し、『ソウ3』でも脚本執筆に加え出演も果たす。また、本シリーズの製作総指揮でもあり、このシリーズは最も成功したホラー映画シリーズとして知られ、2010年のギネス世界記録にも登録されている。2017年には本シリーズの最新作『ジグソウ:ソウ・レガシー』も公開された。
その他、製作/脚本を担当した作品は、『狼の死刑宣告』(07)、『インシディアス』シリーズ(11,13,15,18)、『ブレイキング・ゴッド』(14)など。
出演作には、『マトリックス リローデッド』(03)、『ゾンビスクール!』(14)、『バイバイマン』(17)、『アクアマン』(18)などがある。
脚本家や役者として着実にキャリアを積み、今は監督業も行っている。2015年、『インシディアス 序章』で監督デビューし、バラエティ誌の「注目すべき監督10名」に選出された。本作が監督2作目となる。また、2004年に映画界への功績を称える名誉ある賞「グレッグ・テッパー賞」を受賞している。
頭から上は常人と変わらないにも関わらず、AI「STEM」に身をゆだねることで機械的かつ斬新なアクションが繰り広げられる前人未到のハイ・ディメンション・SFアクション『アップグレード』。『ソウ』シリーズの脚本や出演、『インシディアス 序章』で監督デビューを果たした多才なクリエイターで本作の監督を務めたリー・ワネルのオフィシャル・インタビューが到着した。
『インシディアス』(10)を完成させた後、インディペンデント映画ならではの自由な環境の中で、広大な世界を描くSF映画を作ることが僕の目的だった。この時期、コンピューターに操作される四肢麻痺を患う男の物語の構想が頭にあった。それが、やがて『アップグレード』に発展したのだけど、最初は自分で監督するつもりはなく、他の監督に頼む予定だった。しかし、僕の監督デビュー作『インシディアス 序章』(15)を撮り終えた後、周囲から「次の監督作は?」と聞かれるようになって、「『アップグレード』はどうだろう」と考えるようになった。そこで、頼んでいた監督に、話を撤回することはできるかと伺ったところ、快く承諾してくれた。まるで、すべてが準備されていたかのようだったよ。
『アップグレード』を執筆している時期に影響を受けたのは『ターミネーター』(84)だった。これは、低予算のインディペンデント映画なのにもかかわらず規模が大きく感じられる素晴らしい例だ。ジェームズ・キャメロン監督の演出や脚本が優れているだけでなく、まるで手品のような巧妙さがある。アーノルド・シュワルツェネッガーの演じる殺人的なロボットも実に見事で、本当にあの皮膚の下がサイボーグなのではないかと錯覚してしまうほどだった。彼の存在そのものが、あの映画の特殊効果だと思う。僕は、これと同じようなことを『アップグレード』で実現したいと思っていた。
1980年代はSF映画にとって良い時代だったのではないかと思う。実用的な特殊効果の全盛期だったからだ。90年代に入ると、CGを駆使した『ジュラシック・パーク』(93)が登場した。そして、皮肉にも『ターミネーター2』(91)が封切られたのも同年代だ。実用的で、人間の手によって作り出される特殊効果は、低迷していった。あの時代の素晴らしかったのは、科学とフィクションが同じ箱の中に同居せざるを得なかったところだ。コンピューターのように、なんでもかんでも生み出すことは不可能だったため、できる限り自分たちの創造力を絞り出すしかなかった。この時代に誕生した、『スキャナーズ』(81)、『遊星からの物体X』(82)、『ロボコップ』(87)、『トータル・リコール』(90)など、その他多数の映画から、今回は多くの影響を受けている。単に、こういった映画のトリビュート作品に終わるのではなく、これらの映画の核にあるテーマを使って現代の物語を書きたいと思った。感触があって、垢にまみれたような————。どこか、観客が自分を見ているような感覚に陥る作品が作りたかった。
主役には、この役が要する身体的能力にしっかりと答えられる俳優が必要だと感じていた。この映画に大きな特殊効果があるとすれば、それは、俳優の身のこなし方であるからだ。そういう意味で、ローガン・マーシャル=グリーンを探す手助けをしてくれた映画の神様に感謝したい。彼は、役の感情の抑揚を確実にとらえてくれたでだけでなく、機械的で、コンピューターで操作された動きを数ヵ月かけて見事に体得し、カメラの前で披露してくれた。
撮影監督のステファン・ダスキオは、素晴らしいパートナーだった。格闘シーンでは、コンピューターのような正確さが必要だったので、カメラで俳優の動きを細かく追った。そうすることで、非常に的確な動きをとらえることができ、人工知能に操作されている感覚を再現することができた。
出演者はオーディションで選んだ。ベッティ・ガブリエルがオーディションで見せてくれた演技には非常に圧倒された。彼女の演技は、スクリーンの向こう側にまで届く。彼女ならコルテズの役が演じられると即座に確信した。彼女は、いつも、求められたタイミングで確実な演技を見せてくれた。
ステム役に関しては、オーディションの声だけを聴くことにしていた。サイモン・メイデンの声は、僕が脚本を執筆している時にまさに思い描いていた声だったんだ。彼はローガンとの相性もよく、彼らは俳優として、とても馬が合っていたと思う。
オーストラリアで撮影することが決まると、僕は自分の故郷であるメルボルンで撮影することにこだわった。メルボルンは、ゴシックかつ都会的で、新しいものと古いものが混在した街だ。近未来的で先進的であると同時に、壮大なヴィクトリア様式の建築物だって存在する。こういった異なる要素の共存こそが、僕が求めていた景色だったんだ。
美術のフェリシティ・アボットとも密接に会話をした。彼女はそれまで、こういうジャンルの映画に関わったことが無かった。この映画を今まで見たことが無いような新鮮な作品にしたかった僕にとって、それはとても好都合だった。撮影に入る前に、彼女と一緒に近未来についていろいろと話し合った。たとえば、Alexa、Siri、車の自動運転などについて――。しかし、我々は、洒落た艶々したようなものではなく、あくまでも観客が共感できるようなリアルなものを描きたいと思っていた。映画は、近未来が舞台であって、決して、今から100年から200年後の世界を描いているわけではないからね。この映画を作ることができたことを、心から感謝している。
(オフィシャル素材提供)
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