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『多十郎殉愛記』公開記念舞台挨拶

2019-04-16 更新

高良健吾、多部未華子、木村 了、寺島 進、中島貞夫監督、中 孝介

多十郎殉愛記tajurou 配給:東映/よしもとクリエイティブ・エージェンシー
全国ロードショー中
© 「多十郎殉愛記」製作委員会

 菅原文太『木枯らし紋次郎』シリーズ、『まむしの兄弟』シリーズ、『真田幸村の謀略』(79年)など、50年以上に渡り数々の娯楽大作を世に送り出してきた中島貞夫監督の20年ぶりの長編時代劇で高良健吾主演作『多十郎殉愛記』が、4月12日(金)より全国公開となった。4月13日(土)には、平成最後のちゃんばら時代劇公開を記念して、高良健吾、多部未華子、木村 了、寺島 進の豪華キャストと、主題歌を務めた中 孝介、日本映画界のレジェンド中島貞夫監督が登壇し、舞台挨拶を実施した。舞台挨拶では、中島監督の長編劇映画63本目の公開を祝して、特製日本刀ケーキでお祝い、さらにヒロインの多部未華子から中島監督へ花束が贈呈された。また、監督からキャストへ向けた手紙の朗読もあり、高良健吾を始めキャスト一同が感きわまる1シーンがあった。


 丸の内TOEIにて行われた『多十郎殉愛記』の公開記念舞台挨拶に、高良健吾、多部未華子、木村 了、寺島 進、中島貞夫監督、中 孝介が登壇し舞台挨拶が行われた。

 舞台に登壇したキャスト、監督らから挨拶があり、高良は「今日はお越しいただきありがとうございます。今、ここに立っているのが嬉しいような寂しいような気持ちです」、多部は「お忙しい中、こんなにたくさんの方に来ていただき嬉しいです。私はただただ嬉しい気持ちでいっぱいです」、木村は「がむしゃらに撮影に挑んだ作品こうやって公開されて嬉しいです」、寺島は「遠方からも来ていただいた方がいると聞いています。晴天の映画日和にお越しいただきありがとうございます」、主題歌を担当した中は「素晴らしい映画の楽曲を担当することができて嬉しいです」、最後に中島監督は「映画は作っただけでは何にもならない。観てもらって初めて映画になる。皆さんがこの映画をどう観たのか気になります」と挨拶。

 約20年振りとなる長編映画が公開された気持ちを聞かれると中島監督は「20年というけれど、この間に若い人たちに大学で映画を教えていたり、映画祭に関わったりしていたので、あまり映画から離れていたという気はしていない。ずっと映画は撮りたいと思っていたけれど、この歳ということもありなかなか……やっと撮れたという感じです」と答え、久しぶりの長編映画となった本作を撮ることができた喜びを語った。

 完成した映画を観て、高良は「中島監督作品に出られる、しかも時代劇で本格的な殺陣も経験できるということで、ラッキーだと思いました。30代初の作品がこの映画で、いろいろと挑戦できて良かったです」と振り返り、中島監督は「高良ちゃんと僕は孫と爺くらいの年の差があるけれど、それを感じさせない、素晴らしい演技で応えてくれました」と高良の演技を絶賛。多部は「監督と初めてお会いした日から私のことを信頼してくれているのを感じてとても嬉しかったです。監督のことが大好きです!」と監督への熱い想いを語り、監督は嬉しそうな笑顔を見せた。

 木村は「始めは脱藩した武士、数馬という役に囚われて頭でっかちになり、どう演じたらいいか悩んでいました。けれど監督から数馬はただ広い世界がみたいというピュアな気持ちだけで演じればいいと仰っていただき演じることができた」と語り、寺島は「京都撮影所の楽屋にたまたま『多十郎殉愛記』の台本が置いてあって、読んでみると抜刀隊隊長の役がまだ決まっていないことが分かり、やりたいと思いました。監督に会いに行ってその役をやりたいと言うと、その役は松方弘樹にやってもらいたかったんだと言われまして(笑)。だから今日は松方さんを意識して“マグロ一本”と書いてある赤いパンツを履いてきました」と会場を湧かせた。

 主題歌「MISSING」を担当した中 孝介は曲について「この季節にぴったりの桜が散っていく悲しさがある歌です。会いたくても会えない、どうしようという切ない気持ちを歌っていて、この曲は多部さんが演じたおとよの歌だと思います」と語った。

 一番印象に残っているシーンを尋ねられると高良は「時代劇では珍しくキスシーンがあります。台本には無かったのですが、現場で監督が『高良ちゃん、ここでブチューっと』といきなりおっしゃって、僕はいいけど多部さんは大丈夫かなと思って確認をしたら、『いいですよ』と結構あっさりとした感じで承諾されました(笑)」と撮影秘話を明かすと、多部は「そのシーンの時は、スタッフさんもざわついていましたね」と撮影当時を振り返った。

 高良は撮影に入る前に「いろんな時代劇を観ました」と話す。中島監督の作品の中では菅原文太主演の『まむしの兄弟』シリーズがお気に入りだと告白。高良は「撮影中に、監督がたまに間違えて僕のことを『文ちゃん』と呼ぶことがあったんですけど、とても光栄でした」と嬉しそうに、撮影現場でのエピソードを披露した。そんな中島監督の現場で高良は、撮影を通して“自己犠牲の精神”に感銘を受けたと告白。高良は、「多十郎の命の使い方というのは今の時代の人には難しいことかもしれないけど、これが日本人の精神で大切なものだって(僕には)理解できます。そういうものが最近では薄くなってきてはいると思うのですが、日本人がもっともっと大切にしていく精神じゃないかなって思うんです」と熱く語っていた。

 フォトセッションを前に、“監督の20年ぶり63本目の長編映画”そして“平成最後に公開される時代劇”を祝して世界に一つだけの特注日本刀ケーキが監督にプレゼントされると、中央にチョコレートでできた特製日本刀のクオリティの高さに登壇者たちは興味津々に覗き込んでいた。

 また多部から中島監督へ花束の贈呈が行われ「キャスト、スタッフ全員、監督のことが大好きです」と多部から花束を渡された中島監督は嬉しそうに花束を受け取り、多部と固い握手を交わした。

 ここで中島監督自ら出演者それぞれに宛てた手紙が朗読され、「多十郎になりきっての1ヵ月、かつて付き合った優れた役者が一様に持っていた根性を、君に見た時は、ぞっこんうれしかった」という言葉をもらった高良は、「初めてこういった舞台挨拶の場で手紙を頂きました。自分宛ての手紙を人前で読まれるのは恥ずかしいと思っていましたが、今まで斜に構えていた自分を反省しました。今日この場で監督から手紙を読んでいただいたということが大切だと思います。手紙を大事にします」と感極まった様子で監督への感謝を語った。

 最後に高良から「挨拶で言いました『映画が公開されて寂しい』というのは、公開までに取材で中島監督にお会いする度にいろいろなお話を伺ったりするのが楽しくて。だから映画が公開されて、そういう機会がなくなってしまうのが寂しいです。最初は中島監督の最後の作品と聞いていましたが、これ最後ではないと思います。監督もまずはこの『多十郎殉愛記』が大切なんだと仰っていましたが、この映画を多くの人に観てもらえたらこの次も作れると思います。なかなか今の時代にはない良い映画なので、ぜひ皆さんのお力をお貸しいただきたいです。よろしくお願いします!」と観客へ向けてメッセージを送り、会場からの盛大な拍手を受けつつ舞台挨拶は大盛況のうちに終了した。


《中島監督からの手紙》

 ■高良健吾さま
 丁度昨年の今頃、生活の全てをぶち込むようにしてこの年寄りに付き合ってくれたこと、心より感謝している。どう見ても爺いと孫程の歳の違いがありながら、そんなことに容赦せず多十郎にのめり込んできてくれた君の心意気、何よりも頼もしかった。特に厳しく要求したちゃんばら修業。斬られ方迄志願してやってのけ、多十郎になりきっての1ヵ月、かつて付き合った優れた役者が一様に持っていた根性を、君に見た時は、ぞっこんうれしかった。
 君には無限のこれからがある。やれることならもう一度……。更なる期待を抱きつつ……、とにもかくにもお疲れさま。そしてありがとう。

 ■多部未華子さま
 今どきの年頃の女優さん、特に売っ子の女優さんには、とんと縁遠くなっておりました。キャスティングが決まった後も、多部ちゃんには始めからこまかい注文を出すのはよしにして、それよりも当人の力を早めに見きわめてから……そう考えて撮影現場にのぞんだのですが、何の何のそんな配慮は初日の撮影で杞憂であることが分かりました。現場での多部ちゃんのお芝居の納まりの佳(よ)さ。そして何よりも受け芝居は、天才的。
 おとよは素適な女性です。それをすんなりと演じきってくれた多部ちゃんに、今はただ「ありがとう」のひと言。

 ■木村了さま
 出場の少ない、でも存在そのものが重要な役処の数馬という役処。多分もっと出番の多い役処で、と思ったに違いないが、そんなことはおくびにも出さず、全力でぶつかってくれたその姿勢に、ただ感謝。
 多分年上の女性にはモテモテのそのキャラを存分に生かしたら、面白い役どころがつくれるだろうに……そんなことを勝手に考えたりしていました。
 そうそう、殺陣の感性は抜群。ぜひ、ちゃんばらにも活躍の場を!

 ■寺島進さま
おつかれさまでした。
 今回は、思いがけぬ急のキャスティングにも、いろいろとご配慮を頂きありがとうございました。この作品、徹底したちゃんばら映画にするためには、どうしても多十郎との一対一の対決が不可欠な役処、一時はどうなることかと案じながら、存分にコナしていただけました。
 これからの「ちゃんばら映画」のためにも、なお一層の御尽力をお願いいたします。



(オフィシャル素材提供)



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