2020-01-18 更新
ルー・ユーライ、藤 竜也、松本紀保、近浦 啓監督
短編映画『SIGNATURE』が第70回ロカルノ国際映画祭ほかで高い評価を受けた近浦 啓監督の長編映画デビュー作『コンプリシティ/優しい共犯』が公開中だ。1月17日(金)、初日を迎えたことを記念して、ルー・ユーライ、藤 竜也、松本紀保、近浦 啓監督登壇による初日舞台挨拶が実施された。
北米最大の映画祭・トロント国際映画祭でワールド・プレミア上映され、続いて釜山、ベルリンと世界の名だたる映画祭へ入選し正式出品、そして厳しい目を持つ映画ファンが集まる東京フィルメックスで観客賞を受賞するなど世界の各映画祭で話題を呼んでいる本作。技能実習の職場から逃亡、他人になりすまして働きにきた中国人青年チェン・リャンと、彼を受け入れる孤独な蕎麦職人・弘が親子のような関係を築いていく中、不法滞在者を追う警察の手が迫った時、二人はお互いの幸せを願い、ある決断をする。嘘の上に築いた絆の行方とは――。技能実習生の不法滞在という現代社会の問題を鋭く突き、日中の実力派俳優の名演が光る傑作が、ついに公開初日を迎えた。
本作が長編映画デビューとなる近浦 啓監督は初日を迎え「ようやく日本の上映が決まりました。配給できるか保証がない状態で作ってましたので、情熱だけで作っていた本作に俳優・クルーに、参加いただきほんとに感謝しています」と挨拶。厳格な蕎麦屋の主人・弘を演じた名優・藤 竜也は「3年前に台本を頂いてから、今日まで公開実現するか分からない状態というのは初めて知りました。ただ僕は脚本を読んで、やりたいなと思ったら、どうでもいいんですね。そんなご苦労があったことはつゆしらず」と微笑んだ。娘役の松本も「本当に感謝しています。出演が決まったときから監督の情熱を感じていて、その情熱が実を結びましたね」とコメント。公開に先駆け、来日した主人公の青年チェン・リャンを演じる中国人俳優・ルー・ユーライは満席の場内を見つめ、「こんなにお客さん来てくれてとても嬉しいです」と感激の様子。
映画の完成から名だたる映画祭で上映され、約1年半後なる今日、日本での公開となった本作。近浦監督は「撮影2ヵ月前に最終版を見せました。藤さんに出演を断られたら、この映画はないなと思っていたので、事務所の方から出演しますと連絡が来て。もう映画ができた気持ちになりました。本当に嬉しかったです」と感慨深げ。
そのオファーを受けた藤は「近浦監督の初めての長編、処女作に出れるだけで嬉しい、光栄です。どなたが監督でも1作目に出られるのは嬉しいです」と明かした。ルー・ユーライは初めての日本映画での出演について「監督と素晴らしい皆さんと撮影できて、素晴らしい経験でした。とても感謝しています。お辞儀をして、たくさん“お疲れ様です”と言いました」。そして日本の映画の現場について「日本のスタッフの皆さん、みんな親切です。とても素晴らしく、テーブルの前に食べ物を用意してくれたのですが、僕が食べたくなるものばかりでした(笑)」と笑わせた。
藤はルー・ユーライとの撮影を振り返り、「この作品入る前に彼が出た『SIGNATURE』を拝見しました。普段はハンサムな青年ですが、映画では憂いを感じます。すごく良いなと思いました。会ったら、憂とかは特にないんですよね。映画になったら憂いが出るんですよね」と称賛。ルー・ユーライも「実は大学で勉強していた時に、藤さんを知っていましたので、とても神様みたいな人なので共演出来てほんとにうれしかった」と感慨深げに話した。また藤と松本との食事のシーンで「夜ご飯を食べた時、(松本さんが撮影現場にあった炊飯器と)同じブランドの炊飯器を持っていたので、松本さんの実家で夜ご飯を食べるみたいでした」と家族の絆を感じさせる思い出を打ち明けた。
藤との撮影について松本は「細かい打ち合わせはなく、家族という空気が自然と生まれてました」と撮影を振り返った。さらに舞台での活躍が多い松本は映画との違いについて「本格的な映画の仕事は初めてです。舞台は劇場の中でそこがお城であったりして自分たちの台本の中にあるものを想像してやるものだけど、この映画では山形に舞台が組める。その舞台を借りて撮影できるというのが、映画の良いところだと思いました。舞台は2ヵ月くらい同じ人たちと過ごすのですが、山形で同じスタッフ・キャストで過ごしていると絆が生まれてくるのは、映画も舞台は変わらないんだなと思いました」と語った。
蕎麦職人を演じた藤は「20日間、2人の職人に代わりばんこについてもらって練習しました。“短期間で本物のそば打ちらしくなるのは無理じゃない?”と言われましたが、やるしかないですし。自分たちの教え方が悪いといけないと向こうも必死、こっちも必死にやりました。なんとかなったんじゃないかなと思います」と笑顔を見せた。すると松本が「藤さんが打ったお蕎麦もいただきました。美味しかったです」ルーも「私が作ったそばも食べました。でもふじさんと比べたら全然良くなかったです」と話し、藤は「近所のロケ地の関係者50人ぐらいに打たせてもらって。朝の3時に起きて、50人分のそばを打ったのが印象深いです」と振り返った。
最後にこれから映画を観る観客に向けて、「東京2週間限定の上映なので2度きてくれると嬉しいです」と近浦監督が締めくくり、大きな拍手が沸き起こり、舞台挨拶は終了した。
映画『コンプリシティ/優しい共犯』は新宿武蔵野館ほか全国順次公開中。
(オフィシャル素材提供)
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