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2019-09-27 更新
ウィレム・デフォー、ジュリアン・シュナーベル監督
リリー・フランキー
映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』のジャパンプレミアが、都内で行われ、主演のウィレム・デフォーが17年ぶりに来日し、ジュリアン・シュナーベル監督とともに舞台挨拶に出席した。また、リリー・フランキーが花束ゲストとして駆けつけた。
本作は、精神病を抱え、芸術家たちともうまく人間関係を築けず、常に孤独の中に生きた画家ゴッホの、ゴーギャンとの出会いや共同生活の破綻、そして未だに多くの謎が残っている死について描かれる。
デフォーは映画『スパイダーマン』のプロモーションで来日しているが、公式には17年ぶり。「個人的には来ていました。今日、ここに居られて幸せです。この作品を皆さんと分かち合えてワクワクしています。楽しんで下さい」と挨拶し、大きな拍手を浴びた。
自らも画家であり『潜水服は蝶の夢を見る』(08)のシュナーベル監督は、30年前に画家として来日していたことを告白。「アートを作るプロセスについての映画を作りました。ゴッホの絵画はとても純粋なところに至る、乗り物のようです。ゴッホには純粋に、描きたいという情熱があるだけなんです。今作はゴッホを観るという映画ではなく、皆さんがゴッホになる映画です」と作品づくりについて説明した。また、シュナーベル監督は会場の2階席にいた妻ルイーズ・クーゲンベルグに起立を求め、「私と一緒に脚本を書き、編集も手掛けてもらいました」と紹介した。
また、ゴッホ役をデフォーにオファーしたことについて「(デフォーは)素晴らしい役者だよね。僕の信頼する人物でもある。彼のような人物は他にはいない。彼しかいない!」とキャスティングに絶大な自信のあることを明かした。
有名な画家・ゴッホを演じるうえでデフォーは自ら、舞台となる南フランスのアルルなどを歩き回って役作りをしたという。また、劇中では絵を描くシーンが多く、現場では画家でもあるシュナーベル監督のアドバイスを多く受け、「光を描くことを教わった。実際にゴッホが存在していた風景に身を置いて、彼が見ていた風景を見ながら、彼はどんな人物だったのだろうかと想像しながら役作りをしました」と役を作り上げた過程について語った。デフォーとシュナーベル監督は30年来の友人であるという。デフォーは「お互いによく知っているし、信頼し合っている。信頼をもって作り上げた作品だ」と語った。
終盤、俳優のリリー・フランキーが駆けつけ、デフォーとシュナーベル監督にひまわりの花束をプレゼント。リリーが「(花束ゲストが)美しい女優じゃなくてすいません」と恐縮すると、シュナーベル監督は「あなたも十分に美しい。帽子が素敵だね(笑)」と返していた。
リリーは作品について「デフォーさんの映画を観ると、役者というものを超えた人間の可能性を毎回教えられます。この作品では日の出を待ってスケッチに出かけるときのゴッホの微笑みがいい……」とデフォーの大ファンであることを明かしていた。
シュナーベル監督はリリーの気に入った場面を聞いて「あの場面はとても重要なシーンだ。僕はゴッホをかわいそうな人だとは思っていない。まさに、ゴッホは自分の居たい場所にいたんだよ」と作品をアピールした。
シュナーベル監督はリリー・フランキーが出演している『万引き家族』を観ており、高評価し、リリーの演技に称賛の言葉を送った。「次に映画を作ることがあったら、ぜひ出演して欲しい」とリップサービスをして、謙虚なリリーを照れさせていた。
37歳のゴッホ役を演じるデフォーの演技はアカデミー賞®主演男優賞候補(第75回ヴェネチア国際映画祭では主演男優賞を受賞)。名優の演技を堪能して。
(取材・文・写真:Sachiko Fukuzumi)