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2018-06-25 更新
宝田 明
宝田 明
1934年旧満州出身。
。1954年東宝ニューフェイス『かくして自由の鐘が鳴る』でデビュー。
『ゴジラ』『青い山脈』『ミンボーの女』『マルタイの女』など映画出演は200本以上。
ミュージカル作品「アニーよ銃をとれ」「サウンド・オブ・ミュージック」「風と共に去りぬ」などで主演を演じる。
近年では全国各地で講演活動も積極的に行っている。
1954年に東宝ニューフェイスとしてデビューして以来130本以上の映画に出演し、今も現役で活躍している日本映画界の重鎮・宝田 明。6月30日から公開される太田隆文監督最新作『明日にかける橋 1989年の想い出』にも出演し、確かな存在感を放っている。この度、単独インタビューで65年にわたる長い役者人生を振り返って語ってくれた。
宝田 明、「63年の俳優人生。まだまだ勉強。学び取ることに貪欲であることが大事」
『明日にかける橋 1989年の想い出』は、バブル最盛期の平成元年(1989年)、全国的にも最大級の規模を誇る静岡県の袋井花火大会を舞台に、主人公のみゆき(鈴木 杏)が、不況の現代からバブル最盛期の1989年にタイムスリップして、弟を亡くした交通事故を防ぎ、家族の幸せを取り戻そうとする、感動の青春・家族ムービー。日本が経済大国として君臨した時代と、不況が続く現代とを比較することで、日本人がバブルで得たものと失ったもの、本当に大切なものは何かを描いている。メガホンを取った太田隆文監督は、本作を「日本版の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』」と称し、「本当に大切なものは何か? 笑いと、涙と感動のエンタテインメントとして描きたい」とコメントしている。出演しているのは、鈴木 杏、板尾創路、田中美里、越後はる香、藤田朋子ほか。
宝田は、小都市の建設会社の社長に扮しており、ヒロイン・みゆき役の鈴木がタイムスリップして家族の危機を救うために奔走する中、みゆきに「規則や常識にとらわれず行動しろ。未来は変えられるはず」と人生の価値を唱える役柄で登場する。
役作りとして「監督からは私が『持っているキャラクターのままで演じてほしい』と言われました。セリフにその人が生きてきたプロセスみたいなものが生かされるように僕の意見も入れていただいて、より密度の濃いセリフにしました」と話す。そんな宝田が放つ言葉はスーッと心に入ってくる。出演場面は少ないものの強い印象を残している。
共演の鈴木については「しっかりした女優さんだなという印象を受けました。またご一緒したい。楽しみですね」とエールを送った。
宝田は地方ロケなどでは撮影に協力した地元の人たちと触れ合うことを率先して行っているという。今回ロケ地となった静岡県・袋井市でも自らが提案して地元民との触れ合いの時間を作ったと話す。「皆さん(撮影に)協力的でした。トークショーの時間を作ってもらい、監督も合流して和気あいあいとした時間を過ごせました」。
ヒロインがタイムスリップして家族の危機を救い、家族の幸せを取り戻そうと奮闘する今作、宝田にもタイムスリップしてやり直してみたいことがあるのだろうか?
「東宝に入った20代のフレッシュな気持ちに戻ってみたい。また、俳優をやるかもしれませんね。俳優というのは(台本に)書かれている虚構の人生を演じて、それを観ているお客さんが泣いたり、笑ったりして、時にはその人の人生を変えてしまうようなインパクトを発するような仕事なので、とても有意義な職業だと思っています。そんなことで、最初から褌(ふんどし)を締め直してやり直してみたい」と穏やかに微笑む。
「様々な役柄を演じさせていただきましたが、わたしという一つの素材に可能性を求めてキャスティングしてくれたことが嬉しいです。人が認めてくれる職業ですからね」。
そんな宝田に俳優として大切していることを聞いてみると、「肉体訓練をしたり、発声練習をしたりというのもありますが、俳優というのは、いい絵画や陶器などを見に行ったり、文化とかいろんなものに触れて心を満ち足りたものにしておかなければいけないんですね。宝田 明が豊かな表現が出来るような素材になっているためにも……。一人の人間として知らないことって山ほどありますからね。普段から勉強していくことですね。学び取ることに貪欲であることが大事だと思っています」と妥協なく仕事に向かう姿勢を見せた。
俳優になって良かったと思うのは、「自分で演じたものが観客に受け入れられた時です。『人生が変わりました』と言われたときの喜びがいちばんですね。ぼくは、『頑張りました』という言葉を禁句にしているんです。大人や子ども、どんな人も一生懸命生きているんですね。僕が一生懸命やるのは稽古の時。表に出たときは『やってません』というぐらいがちょうどいいと思う」とさらりと語る。
宝田は、1954年東宝第6期ニューフェイスに合格。同年、特撮怪獣映画の金字塔『ゴジラ』で初主演を果たす。1960年代に入ると、日本と香港の合作映画に出演し、日本だけでなくアジア各国で人気を博した。甘いマスクに渋い声で、ミュージカル俳優や司会者としても活躍している。そんな宝田さんの書籍「銀幕に愛をこめて ぼくはゴジラの同期生」が、5月9日に発売された。本書では、満州での戦争体験や初主演映画「ゴジラ」の思い出、本多猪四郎や円谷英二らさまざまな監督とのエピソードやミュージカルへの情熱などを語っている。
興味深い内容の数々だが、タイトルに込めた思いを尋ねると、「アメリカでゴジラのフェアが開かれたときのトークショーで『ぼくはゴジラのクラスメイトだ』といったら、『ワァー~!!』って受けたんですね。世界のスーパースターとなったゴジラを知らない人はいない。そんな1作目に出演して50年後の作品にも出ている僕はゴジラの同期生」というわけです(笑)」。
今後演じてみたい役柄については、「84歳になって、63年の映画人生。もう若い役はやれないから(笑)、年相応の役を演じるのがいい。20歳くらいの女の子と恋に落ちるとかじゃなくて(笑)、一緒に全国を旅して、その土地、土地の人と触れあって、悲しみを共有したり、生きる喜びを感じたり……。そんな旅をしてみたいね。自分で出演して、演出して、若い人とやってみたい」と語った。実現を心から待ちたい。
「次の世代に何を残すのか」という今作のテーマにちなみ、後続の若い俳優たちへ伝えたいことを問うと、「世の中が多様化していろんな職業が増え、演じる幅も増えました。広く知ろうとしなくちゃいけないですね。知らないということを恥じるのではなく、知ろうとしない自分を恥じなさい。自分を愛して大事にする、いい意味の個人主義を身につけて自分と闘い続けてほしい」と愛情に満ちたメッセージをいただいた。
宝田 明の最新出演映画『明日にかける橋 1989年の想い出』は6月30日より有楽町スバル座、8月にテアトル梅田、9月1日より静岡県内ほかにて全国順次公開。
(取材・写真・文:福住佐知子)
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