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2017-11-02 更新
坂本龍一、スティーブン・ノムラ・シブル監督
配給:KADOKAWA
11月4日(土) 角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
© 2017 SKMTDOC, LLC
世界的音楽家である坂本龍一を追ったドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto: CODA』は、11月4日(土)より、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開となる。
坂本龍一本人が「全てをさらけ出した」という本作は、2012年から5年間という長期間に渡る密着取材によって実現したもの。世界各地を巡り様々な<音>を集め、紡ぎ出した<音楽>とひとつになる瞬間や、アーカイブ素材や貴重なプライベート映像も交えながら、40年に及ぶ音楽活動の中で生まれた数々の名曲にまつわるインタビューなどで彩られている。
本作が、現在開催中の第30回東京国際映画祭において、11月1日に特別招待作品として上映された。
また、比類なき感性で「サムライ」のごとく、常に時代を斬り開く革新的な映画を世界へ発信し続けている映画人の功績を称えるSAMURAI賞が坂本に贈られ、4回目となるこのSAMURAI賞授賞式が、映画舞台挨拶と合わせて行われた。
さらに、舞台挨拶に先んじて、TIFFマスタークラスのひとつとして、「SAMURAI賞授賞記念 坂本龍一スペシャルトークイベント~映像と音の関係~」も行われ、自身が音楽を手掛けた数々の作品などについて1時間以上におよび貴重なトークを展開を展開した。
SAMURAI賞授賞にあたり、坂本は、「今年は東京国際映画祭30回目とのこと、おめでとうございます。そして『Ryuichi Sakamoto: CODA』を上映してくださってありがとうございます。いただいたトロフィー(刀のデザインが施されている)を手にして思い起こすのは、僕にとっての映画音楽との出会いになった『戦場のメリークリスマス』です。刀で居合をするシーンがあるんですが、事前に何度か道場に通って居合の練習をしたことを思い出します。現場でも真剣ではないけれど、出演者みんなではしゃいで刀を振り回して曲げちゃったりして。刀を持つとどうして皆振り回したくなるんですかね(笑)。自分が“侍”と呼ばれるにふさわしいかは大いに疑問を感じますが、いろいろなことを思い出して、思わずトロフィーを振り回したくなってしまいました(笑)」と挨拶。言葉の通り、はしゃぐ子供のように嬉しそうにトロフィーを手にしていた。
続いて行われた『Ryuichi Sakamoto: CODA』の舞台挨拶には、本作のスティーブン・ノムラ・シブル監督も登場、「今日はお越しくださりありがとうございます。映画を撮り始めたのは2012年の夏でした。映画は監督のものだと坂本さんはいつもおっしゃいますが、決して1人では作れないんです。今日もたくさん来てくださった関係者の方に感謝を申し上げます」と挨拶した。
坂本は、本作について「自分の姿をさらけ出すという趣味はないんです(笑)。なぜこの映画を作ることを承諾したかというと、今の挨拶でも分かりますが、シブルさんの人柄に尽きる。彼の人間性に惹かれて、この人だったら任せてもいいかなという気持ちにさせられました」と振り返る。さらに、「当初は監督もいろいろな計画をもって撮影に臨んだと思いますが、撮っているうちにいろいろなことが起こりすぎて、さらに僕が病気にまでなってしまい、監督は映画的に“よし!”とか思ったに違いないんです(笑)」と語ると、シブル監督はタジタジになりながらそれを否定していたが、坂本からは撮影を通じて長年をともにしてきた監督への信頼感がにじむ。
坂本とのやりとりの中で、印象的だったエピソードを聞かれたシブル監督は、「あまりにも多すぎて何を言えばいいのかわかりませんが、撮影当時強く感じたことは編集を重ねていく上で、結局、映画の中に残ったように思います」と振り返った。
映画音楽とは何かという質問に対して坂本は、「難しいなあ……」としばらく考え込んだのち、「映画にはルールがないんです。必ずしも映画に音楽がなくてもいい。だから、必要とされる場所にストンと音と音楽があることが、いい映画音楽ではないかと思います」と持論を展開。
最後に、シブル監督は、「いろいろな想いがありますが、それはすべて映画に入っています。坂本さんについてのドキュメンタリーだから、音で感じられる映画であってほしいと思いながら作ってきたので、耳を開いてそれを感じていただきたいと思います。いいものを感じてくださったら、SNSなどでぜひ友達に広げていってください」とあいさつ。
坂本は、「僕は、このスクリーンで去年『シン・ゴジラ』を観たんです。自分の顔がこんな巨大なスクリーンに映るなんて本当に恥ずかしいので、判断は皆さんにお任せしたいと思います」と締めくくった。
「SAMURAI賞授賞記念 坂本龍一スペシャルトークイベント~映像と音の関係~」では、自身が初めて映画音楽に携わった『戦場のメリークリスマス』で、大島 渚監督に対して「音楽もやらせてくれたら出演してもいい」と、曰く“随分なことを言った”という逆オファーについての貴重なエピソードを披露しつつ、「今思うと、もしこの映画で俳優しかやっていなかったら人生も変わっていたでしょうね」と振り返る。その他、『ラストエンペラー』でベルナルド・ベルトリッチ監督にシンセサイザーでの曲作りを売り込もうと自慢の機材をロンドンに移送して披露したもののあえなく玉砕した話、自身最多となる5度の曲の書き直しを経験した『リトル・ブッダ』でのベルトリッチの恐るべき書き直しの理由、坂本が「この映画の主役は自然」と振り返る『レヴェナント: 蘇えりし者』など、自身が関わってきた映画音楽作りのみならず、自身が人生で最初に心に残った映画音楽として挙げたフェデリコ・フェリーニ監督作『ニーノ・ロータ』や、「音楽と効果音が絶妙に高まり合っている」と絶賛する小林正樹監督作『怪談』についても解説を繰り広げるなど、1時間半近くに及び、映画音楽について貴重かつ聞きごたえたっぷりのトークを繰り広げた。
坂本による貴重な“映画音楽論”を聴こうと、満席となった客席はもちろんのこと、海外メディアも大勢取材にかけつけた中、スクリーンに映し出される数々の作品のワンシーンに見入り、聞き入る一方、ユニークなエピソードが飛び出すたびに大きな笑いが起こるなど、大盛況なイベントとなった。
(オフィシャル素材提供)
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