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『母と暮せば』長崎ロケーション・リポート

2015-07-12 更新

吉永小百合、二宮和也、黒木 華、浅野忠信、加藤健一、山田洋次監督

母と暮せばhahatokuraseba

配給:松竹
12月12日(土) 全国ロードショー
© 2015「母と暮せば」製作委員会

 松竹120周年記念作品として、現在撮影中の山田洋次監督の新作『母と暮せば』。この度、物語の舞台となる長崎にてクライマックス・シーンの撮影を行った。

 長崎のカトリック教会を舞台に、母親の伸子(吉永小百合)と息子の浩二(二宮和也)が教会の中を二人で寄り添って歩く、ラストシーン。教会の中には、親しかった懐かしい人々が勢ぞろいしている感動的な場面だ。クライマックスということもあり、33度を超える暑さの中、山田監督の演出もいつも以上に熱が入り、現場はピリリとした緊張感に包まれていた。

 撮影の合間に山田洋次監督のほか、吉永小百合、二宮和也、黒木 華、浅野忠信、加藤健一らメインキャストが一堂に会し、本作への想いを語った。


長崎を舞台にしている『母と暮せば』、今回長崎でクランクアップを迎えるということで、長崎での撮影について感想など、皆様からお一言ずついただきます。

山田洋次監督: 一昨年の春の終わり頃にこの企画に巡り会って、運命のようだなと思いました。そしてこれはなんとしても作らなければと思ってから、2年の歳月が過ぎて、この長崎の地で主な出演者がみんな集まって、クランクアップを迎えることができ、こういった形で作品を終えることができると思うと「よーい、はい」と言うのもなんだか胸がいっぱいになります。また、俳優、スタッフみんなに感謝の気持ちでいっぱいです。

吉永小百合: 戦後70年のこの年にこの作品に参加できて感無量です。でも、山田監督のこの映画にかける熱い思いや情熱に応えられているかどうか、今はとても不安で不安で、もっともっとできたんじゃないかと自分では反省しているんですけど、素晴らしい共演者の方々と共演できてクランクアップを迎えられるということはとても嬉しいです。公開したらたくさんの人に観ていただきたいと願うばかりです。

二宮和也: 僕は初めての山田作品への参加で、初めはとても緊張していたのですが、一日一日が非常に贅沢な時間だと感じることができました。また僕は作品の性質上、吉永さんとしか会話ができないので(笑)、今日はこんなにたくさんの人と会えて嬉しいですし、新鮮な気持ちです。長崎という地で終われるのが、卒業旅行ではないですけど、この地で終えられてよかったなと思っています。

黒木 華: 長崎の話ですし、こうして長崎で撮影ができるのは非常に嬉しいです。山田監督がずっと「戦争を知らない世代に伝えたいことがたくさんある」とおっしゃっていて、私も身近な話ではなかったので、この作品を通して、少しですが知ることができて、いいきっかけになりました。

浅野忠信: 僕は山田監督と吉永さんとは『母べえ』以来ですが、今回またご一緒できてとても光栄です。僕は大きな役ではないのですが、とても重要な役をいただいて、非常にやりがいがありました。現場でもいろいろなことを勉強させていただいて、非常に楽しかったです。

山田洋次監督: 彼は『父と暮せば』でも宮沢りえちゃんの恋人役で出演しててね。不思議な縁ですね。

加藤健一: 非常に素敵な教会で撮影できて、感無量です。先日、喫茶店に行ったのですが、時計が30個ぐらい置いてあって、全て11時2分で止まっていました。長崎の人たちの想いが強く残っているんだなと感じています。


戦後70年、かつ長崎は被爆70年という年ですが、どういう思いで本作に取り組んでいますか? また、観客の方々にはなにを感じて欲しいですか?

山田洋次監督: 長崎にお住まいの方でもほとんど戦争を知らない。でも他の土地と違って、自分の親戚ご両親、おじいさんおばあさんが被爆したという人はたくさんいると思う。そういった意味ではこの映画は長崎の人たちにとって特別な映画になるかもしれない。また、長崎の人たちに観てもらって、納得してもらえるような、満足してもらえるか大きなプレッシャーです。観ていただいたうえで、いろいろな意見を聞いてみたいと思います。

吉永小百合: 原爆をテーマにした作品では『愛と死の記録』が、私が21歳の時に出演した広島の映画と、テレビでは「夢千代日記」と、今回で3作目なんですけど、初めての長崎の作品で長崎の方たちに素晴らしい協力をいただいて、今回できました。長崎の方たちの思いを少しでも日本中の人に知ってもらいたいという思いです。

二宮和也: 戦争と原爆、被爆したということもそうなんですけど、そこの思いは、僕たちは丁寧にやらせていただいたという印象があります。それに加えて、どこにでもあるひとつの家族の寂しさだったり苦しさだったり、また昔を振り返っての楽しい思い出だったり、長崎をはじめとした日本中どこにでもある日常を描くほうも丁寧にやらせていただいたと思います。それが伝わっていければいいなと思います。


日常を丁寧に描いているとおっしゃっていましたが、そこに含まれる吉永さんと二宮さんは親子をずっと演じられて、お互いどのような感想をお持ちになりましたか? また、山田監督はその二人を撮って、どのような印象を感じたかお聞かせください。

吉永小百合: 二宮さんとは初めて会ったその日から、もしかしたら本当に自分の息子なんじゃないかと思うくらい、寄り添って演じることができました。かわいい息子です。お芝居は二宮さんはとてもしなやかなで、どんな状況でも力を入れずに、本当にすばらしい存在感で、私は引っ張ってもらいました。こういう息子に出会えて本当によかったと思います。

二宮和也: そう言っていただけただけで、この作品に出てよかったと思います。吉永さんから、僕の小さい頃の写真を見せてほしいと言われ、僕も久しぶりに自分の写真を見ました。そのことをきっかけに、実際には共有していない思い出などが想像できました。本当に、とても優しいお母さんで、撮影が終わる度に「よかったね、よかったね」と言ってくれて、一度撮影が終わった時に抱きしめてくださいました(笑)。

吉永小百合: あんまり素敵なお芝居だったので(笑)。

二宮和也: 本当に「よかった」と言っていただけたので、そういったことも含め、先ほども言ったように贅沢な時間だったなぁと。

山田洋次監督: 本当にお二人は甘ーいんですよね。とても甘いトローンとした味が漂っていてね。小百合さんも浩二の役に二宮さんが決まったと聞いたら、何度もよかったと喜んでくれて、いいキャスティングができたというよりは、この二人じゃなかったら成り立ってないんじゃないかと。時として恋人に見えるような甘さ、そういう独特の母子の物語になりえているのではないかと思います。


長崎ロケにこだわった思いは?

山田洋次監督: なにしろ昭和23年の物語なので、本当はたっぷり長崎ロケをしたかったんだけど、その頃を再現できる場所があまりないんですよ。ただ、教会はどれも古いし、浦上を除いては現存しているのだから、教会は絶対に長崎で撮ろうと思っていました。そこに長崎の信徒さんたちに参加してもらって、クライマックスで合唱してもらって、エンディングを迎えるというのは最初からありました。たくさん教会があるので迷いましたけど、最終的にこの教会を選んで良かったと思っています。この教会の歴史がそのまま画に映るようであってほしいと思いながら撮影しています。


 4月26日にクランクインした本作は、都内撮影所を中心に、東京近郊、名古屋など、現在快調に撮影中。7月頭からの長崎での撮影を経て、7月中旬にクランクアップ予定。


映画『母と暮せば』

■ストーリー

 1948年8月9日。長崎で助産婦をして暮らす伸子の前に、3年前に原爆で亡くしたはずの息子・浩二がひょっこり現れる。「母さんは諦めが悪いからなかなか出てこられなかったんだよ」。
 その日から、浩二は時々伸子の前に現れるようになる。二人はたくさんの話をするが、一番の関心は浩二の恋人・町子のことだった。「いつかあの子の幸せも考えなきゃね」。
 そんなふたりの時間は、奇妙だったけれど、楽しかった。その幸せは永遠に続くようにみえた――。


■監督:山田洋次
■脚本:山田洋次・平松恵美子
■出演:吉永小百合、二宮和也、黒木 華、浅野忠信、加藤健一、広岡由里子、本田望結、小林稔侍、辻 萬長、橋爪 功ほか
■配給:松竹

 12月12日(土) 全国ロードショー

 © 2015「母と暮せば」製作委員会

オフィシャルサイト
http://hahatokuraseba.jp/ (外部サイト)


(オフィシャル素材提供)



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