インタビュー・記者会見等、映画の“いま”をリポート！
『海街diary』第68回カンヌ国際映画祭レポート
2015-05-15 更新
是枝裕和監督、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず
配給：東宝 ギャガ
６月13日(土) 全国東宝系ロードショー
© 2015吉田秋生・小学館/「海街diary」製作委員会
６月13日(土)公開、是枝裕和監督最新作『海街diary』。先日発表された第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されることを受け、この度、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、そして是枝裕和監督がカンヌ入りし、記者会見を実施、レッドカーペットを歩いた。その後、正式上映が行われ、上映後は日本のマスコミ向けの囲み取材も行われた。
【記者会見】
快晴の中、是枝監督はじめ、綾瀬はスパンコールをあしらった花柄の白のドレス、長澤はスタイルのよさを活かしたタイトな淡い紫色のドレス、夏帆は色鮮やかなプリントのボリュームスカートがポイントのドレス、広瀬は淡い水色の清楚なドレスに身を包み登場、世界から集まったスチールカメラマンたちの前で笑顔で応えた。
是枝裕和監督： “小津安二郎監督の孫”と海外に来るとよく言われますが、最高の褒め言葉とは思いつつ、こそばゆいです。でも原作のドラマがただの人間ドラマというよりは、人のまわりを流れている時間を描いたものだったので、今までの作品よりは小津作品を身近に考えながら作ったのは事実です。『そして父になる』に続いての出品はすごく嬉しいですね。でも当たり前になってしまわないことが大切です。
カンヌは映画人として非常に素敵な場所なので、それをこうして一緒に来てくれた四姉妹がどう感じて、どんな経験をしてくれるかが楽しみ。メインになる四人の感情、生活表現を描いた作品です。大きな時間を描きたいと思いました。登場しない人たちの存在も感じさせることをこの作品でトライしました。
綾瀬はるか： Bonjour, je suis 綾瀬はるか。古きよき日本の暮らしや移り変わる日本の四季をぜひ観てください。印象に残っているのは海を歩くシーン。あと、食事のシーンが多いのでよく食べていました。
長澤まさみ： Bonjour, je suis 長澤まさみ。女性ってすごいなって感じさせてくれる作品です。印象に残ったシーンは、すずが引っ越してきてそばを食べるシーン。引越しそばは何かが始まる感じです。日本人にとって特別なことだからかも。撮影したお宅でご飯を作ったり掃除をする時間を１日もらいました。少しずつ家族になってく感じがしましたね。
夏帆： Bonjour, je suis 夏帆。鎌倉の美しさを監督が丁寧に描いているので、海外の方にも楽しんでもらえたら嬉しいです。食べるシーンが多いです。印象に残っているのは、何気ない朝食シーンなど食卓を囲むシーンでしたね。
広瀬すず： Bonjour, je suis 広瀬すず。日本の四季を感じさせるものがたくさんあります。いろいろなことを感じて観てほしいです。ドキドキしています。撮影で大変なことはありませんでした。台本はもらわず撮影していたので、何も知らずいつもフラットに撮影に臨み、本当にそのときの感情を出しました。こんな感情が自分にもあるんだなと思いましたね。
【会見前に行われたプレス試写での反応】
男性： 人の愛についての物語だね。是枝監督はいつも新たな視点から人の生き方を描くことができると思う。四人の姉妹たちははじめ、同じようなスタイルに思ったけれど、次第にそれぞれのキャラクターの違いやニュアンスをつかめたようだ。みんなで海岸で遊んでいるところやご飯を食べているところはすごくよかった。自然で非常に心を打つものがあった。
男性： とてもよかった。四姉妹の話で、異母姉妹の関係というところ、父や母を恋しく思ったり、父の死をどういう風に理解するか、妹の出現をどう受け入れていくか（というストーリーで)。四姉妹はとてもよかった。特に末っ子がとてもよかった。
男性： 四人姉妹の家族の物語にとても心動かされた。カメラもよかった。それに、映画の中の食べ物すべてが本当においしそうでした。おなかがすきました。典型的な日本映画の演技でした。とても自然でスムーズ、そしてやさしくてとてもよかったです。
男性： とてもよかったよ。物語はすごくゆったり進むけど、キャストが可愛く、すばらしかった。ただただよかった。だれというわけではなく、四姉妹みんなすばらしかった。本当の家族みたいだった。彼女たちの演技を観ることができてよかったよ。
男性： 人間同士の関わり合い、家族について描かれたすごく感動的で、美しい映画でした。演技はニュアンスに溢れていて、観る側ににいろいろな視点を与えてくれる。まるで人生みたいだった。性格も育った環境も、感受性も異なる人々が暮らしているのをみるのはすごく良かった。印象的な映画でした。
【レッドカーペット】
日差しが降り注ぐ中、記者会見のときの装いから新たに、是枝監督はタキシードでビシッとキメ、綾瀬は、クリスチャン・ディオールのオートクチュールで、胸元のラインが美しい白のクラシカルなドレス、長澤は、ステラマッカートニーの深いグリーンとブルーのタイトなロングドレス、夏帆は、イヴ・サンローランの鮮やかな藍色のシックなロングドレス、広瀬は、オリジナルで水色と白のチェック柄の爽やかなシフォンドレスに身を包みメイン会場に登場した５人。レッドカーペットの上では、四姉妹が手をつないで横一列になって歩くなど、この映画の雰囲気をそのままにメイン会場へと進んだ。
貴方の人生がこのカンヌ映画祭で変わったといえますか？
是枝裕和監督： 映画監督としてのキャリアにとって、この場所に度々来ることができるということは恵まれた経験ですし、改めて自分が次に向かうべきことを考えていける素晴らしいチャンスをいただけていると思っています。
ここ数年でご自身の世界観が変化しているように思いますか？
是枝裕和監督： 自分が父親になって子供をもったことで、自分自身の両親を思い返すときに、目線がやわらかくなったというか優しくなってきた気がしています。
今回、家族の物語ということですが、四人の女優さんが四姉妹を演じるにあたり、前もって何か準備をしたことはありますか？
綾瀬はるか： 撮影が始まる前に、４人で実際に撮影で借りているお宅を掃除したり、食事を作ったり、草むしりをしたりしました。
食事シーンが多かったと思いますが、実際によく食べられましたか？
広瀬すず： ウィウィ！ 全部おいしかったです！ カメラが止まっても食べ続けていて私は太りました(笑)。
父親は実際に映像で出てこないですが、映画の中で存在感があったと思えます。現場では監督が父親代わりになっていたりしましたか？
綾瀬はるか： 特にすずのお父さんぽかったですね(笑)。
レッドカーペットを歩かれての気持ちは？
長澤まさみ： 本当に良い映画だと思えるので、たくさんの方に観ていただきたい気持ちでいっぱいです。
夏帆： 胸をはって良いと思える作品なので、こんな風にみんなとここで歩けることがすごい嬉しいです。
【上映中～後】
2300席が全て埋まった会場で上映はスタート。この中には女優のカトリーヌ・ドヌーヴや『アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウス監督なども姿も見られた。上映中は、コミカルなシーンでは笑いが起こるなど温かい雰囲気に包まれ、上映後は、キャスト・スタッフに向け、スタンディングオベーションが起き、キャスト四人は、とても感激した様子を見せていた。
【囲み】
上映が終わってみていかがですか。
広瀬すず： 海外の方にこういった作品を観ていただいて、最後に大きな拍手をたくさん頂いて、あらためて、お姉ちゃんたちと一緒にお芝居ができたことがすごく、その作品が海外でたくさんの人に観ていただけて、ここに入れて幸せだなと思いました。
夏帆： 本当に貴重な体験をさせていただいた。夢のような体験。みなさんの反応が温かくて、すごく素敵な上映だったなと思いました。
是枝裕和監督： 今回はこの四人にこの映画祭を体験してもらいたいというのが強くあって、それが実現できたことを嬉しく思っていますし、非常に温かい笑いと拍手を頂けた素敵な上映だったと思います。ホッとしています。
長澤まさみ： たくさんの人の心に何かが届いたのかなと思って、すごくうれしかったし、監督に感謝しています。ありがとうございました。
綾瀬はるか： たくさんの拍手を温かくしてくださって、すごくうれしかったです。監督にも感謝しています。
女優として将来にどう影響しますか？
綾瀬はるか： また来てみたいなと思いました。
長澤まさみ： 昨年、今度はコンペティションで来たいな思っていての今回の参加だったので、本当にうれしい気持ちでいっぱいですし、いろいろな国の人たちと触れ合う機会の場でもあるので、何かに繋がればいいなと思います。
夏帆： いろいろな国の方たちが来ていて、なかなか日本にいると世界を知る機会がないので、貴重な体験でした。また絶対にカンヌに来られるように頑張りたいと改めて思いました。
広瀬すず： 大人になって、またこの舞台に立てるような女優さんになりたいなと思いました。
観客の反応でしてやったり、意外なところは？
是枝裕和監督： 全体的にはすごく細かい小ネタまで笑ってくれたので、そこはとても嬉しかったですね。ただ日本では笑いが起きない場所、ちょっとくすくすと笑っているところがあったので、これはこの作品に限らないので、その辺は、みんな感度があがってみんな観にきているので、ここで笑うのかといるところが何ヵ所かありましたが、そこも含めて、とても良い反応だったと思います。
（オフィシャル素材提供）
関連記事