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2015-03-21 更新
ミシェル・アザナヴィシウス監督、室井佑月
配給:ギャガ
2015年4月24日(金) TOHOシネマズ シャンテ他 全国順次公開
© La Petite Reine / La Classe Américaine / Roger Arpajou
2011年、現代の白黒無声映画『アーティスト』でアカデミー賞®作品賞、監督賞ほか全5部門を受賞し、その比類なき才能を全世界に知られることになったミシェル・アザナヴィシウス監督が、1946年にアカデミー賞®4部門ノミネートされたフレッド・ジンネマン監督『山河遥かなり』から着想を得て製作された映画『あの日の声を探して』。
この度、本作の公開を記念して、フランス・パリより来日した、ミシェル監督と室井佑月とのトークショーイベントが実施された。イベントでは、映画の内容に沿って戦争に対する現代の人々の意識の持ち方や子供の未来について二人白熱のトークが繰り広げられた。
ミシェル監督のトークショーの相手に、小説・エッセイなど多数発表し、テレビでの活躍もめざましい室井佑月さんが迎えられて行われた本イベント。
ミシェル監督は、アカデミー賞受賞作『アーティスト』での来日以来、3年ぶりの日本となるが、久しぶりの来日の感想を問われると、「3年経つと皆さん齢を取った印象ですね(笑)。毎回日本の方にはおもてなしいただいていますし、またこのように来ることができて嬉しいです」とジョーク交じりにコメント。来日中の2日間で多くのメディア取材をこなした監督は、本イベント翌日は1日オフとのことで、行きたいところを問われると「中野ブロードウェイに行きます!」と外見から想像できないオタクな一面を披露。室井は「悪口じゃないけど、知的なオタクって感じ」と指摘し、会場を笑わせた。
室井は本作について、「こういう映画を観たかった。戦争映画でよくあるヒーローをたてて、戦争がかっこいいことのように描かれる作品に対して疑問を感じます。それに対しこの作品は、ただ悲惨な現状が映し出されるだけでなく、人間の強さというものが描かれていて、とても胸を打たれまし。」と大絶賛! 続けて、「たとえ、非日常的なことが起こっても、人間には生きていく力があるのだというメッセージも感じられました」と熱い想いを語ると、ミシェル監督は「室井さんの仰る通り、私はこの作品で戦争を描きたかったのではなく、人間を描きたかったのです」と同意。続けて「人間には順応する力があります。特に子供はその力が強い。本作では、心に傷を負った9歳のハジが悲しみを乗り越え成長していく様子と、強制的に兵士にならされた19歳の少年コーリャが虐殺マシーンと化していく様子も描かれています。二人の順応するプロセスというものは表裏一体ですが、立場が逆であれば同じ道を辿ることもあるでしょう」と語った。
アカデミー賞受賞した前作『アーティスト』とは全く違ったシリアスなテーマを扱った本作。ミシェル監督は「この映画は扱いづらいテーマだったので、通常は企画を通すのは困難を伴うのですが、『アーティスト』の成功が僕に勇気を与えてくれたのです」と本作を撮るに至った経緯を披露。
最近のイスラム国の日本人人質事件やチュニジアで起こった襲撃事件など、日本でももはやテロとの戦いが対岸の火事とはいえない問題となっている昨今。室井は「チュニジアのテロも30秒しか映像は流れない。テレビのニュースの中では、戦争や様々な事件などをきちんと伝わっていないと思うし、そういったことに対して、真に想像力を働かせるのは難しいと思います」と言い、続けて「だから、このような映画を若い人は特に観ることが大事なのではないかと思うんです。うちの中2になる息子にも観せます!」と自身の考えを明かし、ミシェル監督もそれに呼応するように、「ニュース番組で映る悲惨な状況に陥っている人たちの姿は虚像のようで無力感を感じます。だから映画でそれに実像を与えたかったのです。無関心でいることはいくらでもできます。しかし、戦争を引き起こす引き金は無関心でもあると思うのです。だからまずは関心をもつことが世の中と意識を変える第一歩なのではないでしょうか」と語った。
主人公の9歳の少年・ハジを演じたのは、実際にチェチェンに暮らす素人の男の子で、彼について話が及ぶとミシェル監督は「彼は素人だったけど、とても行儀が良く、優しい心の持ち主で、僕としては楽に仕事することができました」と当時を振り返り、また、「彼自身も父親を亡くし、ハジと同じ悲しい経験し、同様に心に暗闇を抱えています。しかし一方で、ハジと同様に成長していっているんです」と明かした。室井は、「自分の子供には、少しでも豊かで安全な世の中であることを望みますね。私は自分の息子に対して厳しいことを結構言うけれど、きちんと想像力のある人間に育ってほしいんです」と自身の息子に対する思いを吐露。また、「何も考えないで日々過ごしていくというのが許せないんです。今は一人の世界を楽しむ人が増えてきていますが、みんなで意見を交換し、考えることが想像力を身につけられる方法なんだと思います」と自身の意見を述べると、ミシェル監督もまた「僕ももちろん自分の子供には、平和な世界で生きて欲しいです」と言い、続けて「他者に対するリスペクトと、寛容な精神をもつことだ大事です。そうすれば人は共存できるのではないでしょうか。人は一人では生きることはできません。間違ったとしても、それを受け入れることでまた一歩踏み出すことができるはずです」と語った。
最後に、本作のお薦めポイントを問われると、室井は「リアルな戦争の悲惨さと同時に、人間の強さが描かれていること」と述べ、「すごく考えさせられるし、一人でも多くの方に観ていただきたいです」とコメント。一方のミシェル監督は「映画を観て、まずは世界のこのような現状を知ってほしいです。でも悲惨な話ではなく、希望の見えるヒューマン・ドラマですので、是非多くの方に観ていただきたいです」と作品をアピールした。
(オフィシャル素材提供)
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