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2016-08-27 更新
塩田明彦監督、白石和彌監督、園 子温監督、中田秀夫監督、行定 勲監督
配給:日活
2016年11月中旬より新宿武蔵野館ほか、全国順次公開
© 日活
2016年11月20日に日活ロマンポルノは45周年を迎える。公開に先駆けて、この度新作を監督した5人の監督による記者会見イベントが行われた。日活代表からの挨拶のあと、塩田明彦監督、白石和彌監督、園子温監督、中田秀夫監督、行定勲監督が登壇。日本映画界の第一線で活躍する監督陣をそろえた会見となるため、会場は国内外のマスコミで埋め尽くされ、作品について語られる初めての機会となることもあり、質問が絶えず起こる記者会見となった。
塩田明彦監督: 今撮るなら女性観客への意識は必要だと思い、そこは意識して監督しました。先日ロカルノ国際映画祭でワールドプレミアを行いましたが、20代~60代の女性が僕の作品を支持してくれました。女性からの期待に応えることができて、驚いたとともに非常に嬉しかったです。
白石和彌監督: クラシック作品のリバイバル上映には何度も観に行ったことがあるのですが、そのたびに女性の観客が増えているのは、肌身を持って感じていました。ロマンポルノはジャンルではなく、一定のルールを設けたレーベルなので、ルールをクリアして撮りたいものを作りつつ、女性に受け入れられるものが作れたらいいなと思って撮りました。
園 子温監督: 去年は憤りを覚えることばっかりが起こり、その怒りを映画に込めたのが『アンチポルノ』です。なので観客は誰なのかと聞かれると、自分なのかもしれないと思います。
中田秀夫監督: 小沼 勝監督の特集上映で劇場に行った際に、山本晋也さんが「(観客が)ほぼ半分女性だね」とおっしゃっていて、そこから女性がロマンポルノを観る流れがあるんだと印象に残っていました。今回は女性のプロデューサーと一緒にレズビアンという題材を用いて脚本を作り、作家というよりも職人のような感覚で若い女性に向けて制作しました。
行定 勲監督: 僕は実は2本脚本を書いたんです。1本目は自分が本当に観たい作品として書いて……。そしたら日活からNGが出たんです(笑)。これじゃ女性が観られないと。僕の子供の頃の性の目覚めを描いた美しい作品だったのにそれが認められず、そこで止めようと思いましたが、日活ロマンポルノに憧れがあったので再挑戦しました。独りよがりなどうしようもない男を描き、女性の慈悲深さに救われる男を女性目線で描きました。そういういきさつがあるので、この作品は女性に向けて作らされた作品です(笑)。
塩田明彦監督: そもそも監督にとって完璧に自由な環境が与えられることはありえないのと、不自由ななかでこそ監督の力量が問われるのですが……。今の映画業界ではオリジナルの企画をつくることが何よりも難しいことです。それを今回は製作条件のひとつに入れられました。俳句のように一定のルールの中で、作家性や創造性を発揮してほしいという素晴らしいプロジェクトだったので参加したいと思いました。
白石和彌監督: 塩田監督がおっしゃったとおり、日本の映画界では、原作が何万部売れて、出演者が誰かということを重要ととらえている人がいます。でもそれだけが映画じゃないと思うんです。昔の先輩方は会社を騙してでも自分の企画を通そうとしていたくらい、そういう意味で、今回クリエイティブに創れる機会を与えてもらえてとても良かったと思います。
園 子温監督: 今回日活ロマンポルノをやって超意義があった。好きなように作れて、本当に良かった。感謝してます、日活ありがとう。
中田秀夫監督: なんでも手に入ったら人生がつまらないように、何でも許される映画を撮るのは、仮にそれができたとしても面白くないと思うんです。今の映画業界はオリジナル作品を企画しても、会社が大きければ大きいほど相手にされない傾向にあると思います。資本主義で商業的な、まるでミニ・ハリウッドのようになっているように感じます。儲けられないなら映画を撮れない環境に悔しさを覚えます。
行定 勲監督: そもそも自由にやっていいよと言われたのに、一本目の脚本がボツになっているのですが……(笑)。監督に信用がないんでしょうね。こいつらは目を盗んで何か企んでいるんじゃないかと。今回日活ロマンポルノで、2本目の脚本で完成させたのもいい経験だったと思います。おそらく行定組史上もっとも送りのタクシーを出さない作品だと思います。このスピードで撮れたのは何故だったのか、不思議です。そういう意味では、得るものがあったのかと思います。
■公式サイト:http://www.nikkatsu-romanporno.com (外部サイト)
(オフィシャル素材提供)
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