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『風の中の牝雞』4Kデジタル修復版が第79回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門にてワールドプレミア上映が決定!

2022-07-21 更新

風の中の牝雞kazenonakanomendori
©1948 /2022 松竹株式会社


 来年2023年に生誕120周年を迎える、日本を代表する映画監督、小津安二郎。その人気や評価は今なお色あせることなく、2012年のイギリスの映画雑誌「Sight Sound」誌で世界の映画監督が選ぶ映画作品として1位に輝くなど、多くの世界中の映画人や映画ファンから高い支持を得ている。

 これまでも小津作品は数々の映画祭での上映が行われ、その度に改めて観た観客から喝采を浴び、再評価を高めてきた。そしてこの度、小津監督戦後2作目の作品『風の中の牝雞(めんどり)』(1948年製作、英題:A Hen in theWind)が、第79回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門(ヴェニス・クラシックス)に選出され、ワールドプレミアを行うことが決定した。


■ 映画祭公式サイト・ニュースページhttps://www.labiennale.org/en/news/venice-classics-restored-films-79th-venice-film-festival(英語、外部サイト)


 本作は小津監督の戦後2本目の作品として戦後間もない時期に製作され、戦後の日本が抱える厳しい現実に焦点を当て、苦悩する女性の姿を描いた異色作。主演の田中絹代の迫真の演技は鬼気迫り、クライマックスの階段落ちのシーンは観るものを圧倒してきた。小津監督の作品の中でもひときわ異彩を放つ作品であり、後期の小津調のスタイルに到達する前夜の、感情がぶつかり合う描写は注目に値する一作となっている。

 海外から高い評価を受け『スパイの妻』で第77回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した黒沢 清監督も、2020年の松竹映画100周年の記念サイト“100年の100選”で、本作を好きな松竹映画の1本に選ぶなど、小津監督の代表的な作品とは一線を画しながらも、多くの映画人から高く評価されている作品だ。


■ 公式サイト作品紹介ページhttps://movies.shochiku.co.jp/100th/kazenonakanomendori(外部サイト)


 ヴェニス・クラシックスは、2012年に設立されたヴェネチア国際映画祭の一部門で、過去1年に復元されたクラシック作品の中から、特に優れた作品が選出される。今回、日本映画からは他に『殺しの烙印 』(鈴木清順監督)、『神々の深き欲望』(今村昌平監督)の計3作品が選ばれた。

 今回で小津安二郎監督作品のデジタル修復版が世界三大映画祭クラシック部門へ選出されるのは、2013年のベルリン国際映画祭の『東京物語』以来、9作目となる。来年の生誕120周年に向け、さらに世界からの注目を集める、スタートにふさわしい素晴らしい機会となる。


<第79回ヴェネチア国際映画祭クラシック映画部門(ヴェニス・クラシックス)>

 ▼会期:2022年8月31日(水)~9月10日(土) ※本作の上映日時は調整中。

 ▼ 映画祭公式サイトhttps://www.labiennale.org/en/cinema/2022(英語、外部サイト)


『風の中の牝雞』4Kデジタル修復版

 (かぜのなかのめんどり/英題:A Hen in the Wind/1948年公開作品/上映時間:82分)

 ■ あらすじ:

 東京の下町で間借り暮しをする雨宮時子(田中絹代)は幼い息子・浩を抱えて夫・修一(佐野周二)が戦争から復員するのを待ちわびていた。ミシンで洋裁の仕事をしながら、手持ちの着物を売るなどして慎ましく暮らしていたが、ある日、浩が突然の発熱をしてしまう。病院では急性大腸カタルだと診断され、なんとか命を取りとめることができたが、その医療費の支払いをすることができない。途方に暮れた時子は、一度だけいかがわしい安宿で見知らぬ男に体を売ってしまう。
 時子は、自分の犯した過ちを心から悔やむのだったが、そんな時、夫の修一が帰ってくる。浩の入院のことを知った修一に、その支払いをどうしたのか問い詰められ、追い詰められた時子はついにすべてを打ち明けてしまうのだった……。

 ■ 監督:小津安二郎
 ■ 脚本:斎藤良輔、小津安二郎
 ■ 出演:田中絹代、佐野周二、三宅邦子、笠智 衆



(オフィシャル素材提供)



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