2021-11-16 更新
萩原聖人×燃え殻×森義仁監督
主演に森山未來を迎え、幅広い年齢層に共感されベストセラーとなった燃え殻のデビュー作待望の映画化『ボクたちはみんな大人になれなかった』(シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国大ヒット公開中!&NETFLIX全世界配信中)。11/13(土)には、公開記念トークイベントがシネマート新宿にて開催された。これまでのイベントでは登壇してこなかった、90年代から一線で活躍し続ける俳優・萩原聖人、原作「ボクたちはみんな大人になれなかった」がデビュー作にしてベストセラーとなった小説家・燃え殻、本作の監督を務める森義仁が登壇した。
人前でこの作品について話すのが初めての機会である萩原は「『あの時こういう選択していたら』とか『あの時、好きとか嫌いとか言うべきだったのか』ということが走馬灯のように思い出された。時代が移り変わることは後から分かる。その時は分からなかった。この映画を観て、今分かったことがいっぱいありましたね」と90年代から活躍してきた自身の記憶を振り返る。
萩原同様に人前での登壇は今回が初めてとなった燃え殻は「スタジオのダビングで、初めて見たんです。真ん中に座らされて、回りに監督やプロデューサーがいて……という環境で、圧が強かった(笑)。それで、時々笑顔で振り返って『面白いですよ』というアピールして見てましたね。(原作小説は)スマホで書いていたから時代もランダムだった。それが映画を観たら、それぞれの時代の関係性が見えたんです。いくつもの偶然が重なっているんですが、『あの場所が分岐点だったな』と思えた。偶然が過去形で必然となる、あの時ああしたから、こうなった、そういうことが分かりました」と映画化に手応えを示す。
その後、「エモい」とよく言われるがエモいとは何なのかよく分からない、という3人。森監督が鑑賞後の観客に向かい「エモいと思った人」と尋ねると、半数ほどの人が挙手した。燃え殻は「僕はエモいものを書こうとしてるわけではないのに、レビューとか見ると『燃え殻、エモいもいい加減にしろ』とか言われるんですよね」と苦笑する。「50なりに心が動くものがありましたね。あの頃に帰りたいわけじゃないけど、どんな偶然がたくさんあったのか、どんな決断をしたのか、この映画の佐藤の今後についても、希望なのか、闇なのか分からない。でも、今後も青くさかろうが偶然だろうが、いろいろな出会いがあるといいと思っています。そのほうが、きっと死ぬ時は豊かだから」と萩原独自の「エモさ」について解釈を述べる。
また、主人公の佐藤を演じた森山同様に、20年ほどの年月を演じた萩原について森に尋ねると、「三好は変わらないことは重要だった」と振り返る。それについて、燃え殻も「実際の三好さんも全然変わらないんです。会った時から夢を語るひとで今も語る人。三好さんも(東出昌大演じる)関口も本当に似ていて、みんな自分が観ていた風景そのものでした」と萩原の演じた三好の実在感とそのほかのキャストや風景に太鼓判を押す。「変わらない人っていますよね。きっと優しさもあり、ちょっと乱暴でバイタリティがあるんだと思う」と萩原なりの三好役についての受け止め方を伝えてくれた。
三人三様の「あの頃」を思い出しながらの楽しいトークイベントは観客席をバックに写真を撮って和やかに終了した。
(オフィシャル素材提供)