2022-04-24 更新
提出者:諏訪敦彦(映画監督・映画監督有志の会)、西川美和(映画監督・映画監督有志の会)、深田晃司(映画監督・映画監督有志の会)、舩橋淳(映画監督・映画監督有志の会)、四宮隆史(弁護士)
「映画監督有志の会」は、一般社団法人日本映画製作者連盟(映連)と1年以上、映画業界の労働環境改善を含む包括的な改革のために、フランスのCNC(国立映画映像センター)に相当する統括機関の設立を求め、協議してきた。(※参考:『キネマ旬報』3月下旬特別号に掲載した、監督有志の会6名全員が参加した座談会を、キネマ旬報WEBでも現在期間限定で公開中。(https://www.kinejun.com/2022/04/12/post-10990/、外部サイト)
そして今年に入り今まで見過ごされてきたハラスメントや暴力に関する問題が取り沙汰れるようになり、自らの反省と根絶する意思を表すべく3月18日に「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します」という声明を発表した。
さらに3月24日、文化庁がフリーランスを守るための契約書の雛形を作成中とのことで、特にハラスメントの問題について調査、検証の必要性を同庁に対し要望した。
今回お知らせするのは、4月13日に行った日本映画製作者連盟に対する要望活動である。映像業界が自らの問題として真摯に向き合い、具体的な対策を実施してゆくための提言書を提出した。主な点として、ハラスメント撲滅に対する声明の発表、実態の検証・調査、防止対策の具体化、そして第三者機関による相談窓口の設置だ。
提出した「提言書」並びに「参考資料」(①フリーランス芸能従事者の労災と安全衛生に関するアンケート2022(調査主体:芸能従事者協会 、https://artsworkers.jp/questionnaire/20220404/、外部サイト))②「表現の現場」ハラスメント白書 2021 ※「映像」分野のハラスメント抜粋(調査主体:表現の現場調査団、https://www.hyogen-genba.com/surveys、外部サイト)を送った。
<当日レポート>
提言書提出時には、出席した映画監督有志の会のメンバーがそれぞれ発言し、今、行動していく必要性を訴えた。
諏訪「現在、労働環境等の改善に向けて映連でも協議中かと思いますが特にハラスメントの問題については、業界でも影響力の強い映連からも、声明でなくても何かしらの指針、方針を打ち出していただいたほう方が、広く社会に伝わり、具体的な対策実施に向けても強い推進力を得られるのではないでしょうか。」
深田「表面化してなくても、調査や報告、そして我々に寄せられているメッセージを見ると、事態はかなり深刻です。映画業界は、俳優にかかわらずスタッフも多くはフリーランスの方で支えられてますが、特にそのフリーランスの方が相談できる機関、受け皿がない状況で、今、このタイミングで、スピード感をもって動いていくことが大切。」
舩橋「明らかな犯罪以外の“グレー”なハラスメントに対する業界内での基準は曖昧というか制度が整備されてないのが実情です。問題の理解・把握の次には自分たちでガイドラインなりを策定することはできないでしょうか。」
西川「韓国映画界の現場もここ数年で劇的に改善されたと聞きます。各国で急速に措置が取られていて、困ったときに声をあげて連絡できる第三者機関も置かれています。何か施作をすれば、一気に“0”にはならなくとも、確実に変化があるのでは。」
現在、映連でも鋭意、改善に向けての対応策を協議中とのこと。今後の動向が注目される。
(オフィシャル素材提供)
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