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『ローン・サバイバー』トークショーイベント

2014-03-06 更新

マーカス・ラトレル、別所哲也

ローン・サバイバーlones

配給:ポニーキャニオン/東宝東和
3月21日(金・祝) TOHOシネマズ 日本橋 他、全国ロードショー
© 2013 Universal Pictures

 全米で大ベストセラーとなった実話の小説「アフガン、たった一人の生還」を原作にしたアクション超大作映画『ローン・サバイバー』。北米では初登場1位を獲得、全米興収は120億円を突破し、さらに、アカデミー賞2部門にノミネートされた本作の日本公開を前に、映画の原作者であり、本作で描かれる“レッド・ウィング作戦”で唯一の生還者であるマーカス・ラトレルが緊急来日、トークショーイベントを行った。別所哲也がナビゲーターを務め、ラトレル氏は事件当時の様子、今思うことを赤裸々に語った。

lones 会場に集まったのは、20代を中心とした若者約100名。マーカスが登場すると会場から温かい大きな拍手が起こった。

 戦争を知らない世代に向けて、ラトレル氏は辛い体験にも関わらず事件について誠実に語った。ナビゲーターの別所哲也をはじめ、会場の観客は、マイケル・サンデル教授も取り上げた"決断”にまつわるエピソードとしても知られる彼の壮絶な体験談に耳を傾けていた。


別所哲也: 皆さん、『ローン・サバイバー』をご覧いただきありがとうございました。今から、この作品の原作者でマーク・ウォールバーグが演じたご本人マーカス・ラトレルさんにご登場いただきます。彼がアフガニスタンで経験した壮絶な体験、そして映画が完成して日本での公開を前にしての今の気持ちなど、聞きたいことはたくさんありますが、さっそくお呼びしましょう。拍手でお迎えください!
 元ネイビーシールズ(アメリカ海軍の特殊部隊)で原作者、マーカス・ラトレルさんです。ようこそ、マーカスさん、今日はよろしくお願いします。まずは会場の皆さんへ一言お願いします。

マーカス・ラトレル: 本日は、ご来場いただきありがとうございます。本作を観て、何か心に響いてくれたら嬉しいです。個人的には子供の頃から大好きだった日本に来られて本当に良かったです。

別所哲也: 素晴らしい作品でしたが、マーカスさんには辛い体験でした。今こうやって映画のキャンペーンで各地に行っていますが、どんなことを考えながらキャンペーンに参加されていますか?

マーカス・ラトレル: 原作本を出版した時、ハリウッドから映画化のオファーをたくさんもらいました。この話は自分が体験したことなので、(製作には)関わりたいと思いました。
 この映画は、戦争を正当化したり、軍への勧誘メッセージが込められているわけでは全くありません。同胞愛・兄弟愛(Brotherhood)、ネイビーシールズのメンバーたちとの絆を描いています。また通常のミッションは、順調に事が運ぶものが多いのですが、この映画の中で描かれているのは最悪のシナリオです。映画化されるにあたり、多少フィクションも含まれますが、山で起こったことはほとんど忠実にしっかりと描かれています。

別所哲也: やり直しはききませんが、あのアフガニスタンの山の中で出会ったヤギ飼いたちを解放した、ものすごい「決断」でした。あの決断について、今は何か思うところはありますか?

マーカス・ラトレル: 自分は現実主義者で、あの瞬間に戻れないことは分かっています。軍では決断しないことが一番良くないこととされています。何も決断せずに待っていてはいけないんです。
 僕たちは、短時間で迫りくる脅威に対してどんなシナリオがあるかを話し合って、あの決断に至りました。僕たちは、その決断が良かったとしても悪かったとしても、一度決めた決断は全うします。
 もともと自分は、子供を殺すことを良いとは思っていません。そしてあの時、老人もいました。様々な条件、状況を考えた時、僕たちの中で民間人を殺す選択ではなく、200人のタリバンを相手にすることを選びました。

別所哲也: 今、マーカスさんは、ご遺族の方とお話をされたり、財団を作ったりされていると伺いました。彼らを誇りに思う気持ちを持ち続けていきたい、またその気持ちを色々な人たちと分かち合いたいということでしょうか? また具体的に財団はどんな活動をしているのでしょうか?

lonesマーカス・ラトレル: 退役軍人の方たちは、病院で回復しても精神的に追い詰められてしまうことが非常に多いです。自分の体験談を話したり、またテキサスにある自分の農場を開放して、患者の家族も含め数日間、滞在してもらいます。そこで過ごすことで、普段、病院では味わえない体験がたくさんできますし、物の見方も変わっていき、だんだんと(精神的な部分が)回復できる方が多いです。
 いわゆるPTSD(外傷後ストレス障害)や性的な攻撃を受けた人が主となっていますが、実際にいるスタッフたちとコミュニケーションをとったり、いろいろな体験をすることによって、多くの人たちが回復していきました。ある患者は、病院で何度も自殺をしようとしていましたが、このプログラムを受けた後は自殺を考えることはなくなったそうです。

別所哲也: ありがとうございます。戦場とは違う苦しみがあるということですね。こういったお話を聞けるのは、本当に貴重です。
 さてせっかくですから、今日は会場にいらした皆さんからもマーカスさんにこれだけは聞いておきたい!という質問があれば頂きましょうか?

質問者: アフガニスタンで助けてくれた人たちとはまだ交流はありますか? またどんな交流をしていますか?

マーカス・ラトレル: 村人たちとはまだ交流をしていて、中でも特に2人と親交があってその1人はモハメッド・グーラーブさんという人です。彼の子供たちとも連絡を取っています。電気がない村なので、電話をする時は携帯電話やどこかに移動してメールをしています。
 アメリカで本作が公開された時、グーラーブさんを招いて数ヵ月間一緒に過ごしました。彼はアフガニスタンに帰りたいと言いましたが、実は、彼が僕を助けたことによって自身の命をずっと狙われ続けているんです。だから僕は危険なアフガニスタンに戻ってほしくないし、「(アメリカに)残ってほしい」と嘆願したんですが、彼は誇りあるアフガニスタン人として自分の国に戻っていきました。彼は死さえも恐れない人で、それ誇り高く生きているからなんです。

別所哲也: 素敵な質問をありがとうございます。以降も交流があるんですね。それでは、もう1問伺いましょう。

質問者: ヤギ使いを助けたことによって戦友が亡くなってしまいましたが、ご自身の決断に後悔していますか?

マーカス・ラトレル: いいえ、していません。もちろん仲間には生きていてほしかったですが、あの決断で結果として、仲間は亡くなってしまいました。僕らはあの決断を最後まで全うしました。
 逆に言うと彼らは軍人として誇りある死を遂げました。誇りある死とは、銃を持ち、ブーツを履いて仲間と一緒に戦い死ぬことなんです。言い換えれば、戦士として死ぬことができたんです。車に引かれて死ぬとか、年を取って死ぬということより、仲間の隣で戦いながら死にたいと思っています。
 僕はあの決断をしたことで、後悔にさいなまれたり、不眠になったりはしていません。例えば、将来同じ状況に立たされた時、同じ決断をするかと言われたら毎回、少しずつ状況が変わるのでわかりません。黒白はっきり分けられない、グレーゾーンで戦うのが戦争なんだと思います。

別所哲也: ありがとうございました。辛い質問だと思うのですが、誠実に答えていただきありがとうございます。それでは時間も迫ってきましたので最後にマーカスさんから、皆さんへのメッセージをいただきましょう。

マーカス・ラトレル: 今日は映画をご覧いただき、ありがとうございました!
 この映画は宗教的なことであったり、軍への勧誘といった意図はありません。戦場で若い男性が命を落とすという物語をストレートに描いています。ご覧になった方々はそれぞれ感じ方、響くところが違うと思います。
 先程も言いましたが、僕は昔から本当に日本に来たかったので初来日ができて嬉しいです。温かく迎えてくださってありがとうございました。短い滞在で明日帰らなくてはいけないのですが、楽しい時間を過ごすことができました。渡航時間がもっと短かったら頻繁に来られるのに、とても残念です。アリガトウ(日本語)。

別所哲也: ありがとうございました。皆さんも今日はありがとうございました。是非この作品について、皆さんの周りの人にも観てもらい、色々とお話をしてほしいと思います。それでは、マーカスさん、ありがとうございました!


(オフィシャル素材提供)



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