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2014-03-01 更新
原題:ALL IS LOST 舞台は大海原。登場人物一人。台詞なし。
広大な海にたった一人取り残された男。彼はなぜ諦めなかったのか?
そして、なぜこの映画は人々の心を捉えて離さないのか?
文明からたったひとりで遠く引き離され、大自然の猛威にさらされ、助けを呼ぶ声はどこにも届かない――“All is Lost”――すべてが失われたとき、人はそれでも希望を持ち続けることができるのだろうか? 2013年10月に全米で公開されるや、賞賛の声を集め、賞レースへの参入も有望視されている『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』は、そんな人間の命の可能性に肉迫した感動の人間ドラマである。
映画がたったひとりのキャラクターに支えられる以上、それ相応の実力を持った俳優が必要になる。そういう意味では、名優ロバート・レッドフォードの出演は申し分ない。半世紀以上にわたってハリウッドの第一線で活躍を続け、監督として『普通の人々』(80)でアカデミー賞を受賞し、プロデューサーとしても低予算映画から大作まで幅広く関わり、若い才能を発掘・育成するサンダンス映画祭の主宰者。映画作りを熟知し、誰からもリスペクトされている、そんな彼が76歳という高齢にもかかわらず、全編が水上での撮影という過酷なロケに挑んだのだから、いかにこの作品を気に入っていたかがうかがえるだろう。ひとりの男の魂の旅をリアルに体現したその熱演には、早くもアカデミー賞主演男優賞の呼び声も聞こえ始めている。
この名優のやる気に火をつけたのは、才気にあふれた若いスタッフだ。監督・脚本のJ.C.チャンダーは長編デビュー作『マージン・コール』(未・11)でアカデミー賞オリジナル脚本賞にノミネートされた注目の俊英。同作のサンダンス映画祭での上映時にレッドフォードと出会ったことを、本作でのタッグに結実させた。「脚本は大胆でエキセントリックだ。そしてチャンダーは、どう撮るべきかをすべて理解していた」とのレッドフォードの言葉どおり、チャンダーは自身のビジョンに一切妥協せず、リアリティにこだわって壮絶きわまりない人間ドラマを紡ぎ出している。陸地で撮影されたショットが一切ない映画をやり遂げたのも驚くべきことだが、緊張感が途切れない絶妙のストーリーテリングや、物語に込められた深いテーマ性も賞賛に値する。その才能にはレオナルド・ディカプリオらハリウッドの映画人も注目しており、今後目の離せない監督となることは間違いない。また、製作総指揮のひとりとして名を連ねるのは映画『スター・トレック』(09)でスポック役を演じる、ザッカリー・クイント。彼はチャンダー監督のデビュー作『マージン・コール』にも出演している。
人はなぜ未知の体験を求めるのか? なぜ愚かな過ちに気づかないのか? なぜ生き続けようと必死になれるのか? すべての答えは、この映画の中にある。
ストーリー人生の晩年を迎えたその男は自家用ヨットを駆りインド洋を航海していた。しかし、突然ヨットが海上の浮遊物に衝突するという事故に見舞われ運命が一変する。
始まりは浸水、そして無線の故障、さらには悪天候……自分はいまどこにいるのか? 食糧は、飲料水はもつのか? そして何より助けはやってくるのだろうか?
嵐と闘い、飢えや渇きと闘い、孤独と闘う日々。時間の経過とともに生存の望みは薄れ、運命に見放されようとしたとき、男は初めて自分自身の本当の気持ちと向き合うことになる。そして、一番大切な人に向けて読まれるかどうかもわからない手紙に、偽りのない気持ちをつづり始める……。
(2013年、アメリカ、上映時間:106分)
キャスト&スタッフ
監督・脚本:J.C.チャンダー
出演:ロバート・レッドフォード
配給
ポニーキャニオン
3/14(金)、TOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテ ほか全国公開
オフィシャルサイト
allislost.jp
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