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2014-02-22 更新
ライアン・クーグラー監督
配給:クロックワークス
3/21(金・祝) 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
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2013年サンダンス映画祭にて作品賞と観客賞のW受賞という快挙を成し遂げ、カンヌ国際映画祭でも“ある視点部門フューチャーアワード”受賞と、新人監督ながらも全世界から注目を集める作品『フルートベール駅で』。この度、世界中が注目する期待の大型新人監督が初来日! 『フルートベール駅で』の日本最速上映と合わせて、上映後にはライアン・クーグラー監督のティーチインを実施するスペシャルな試写会が開催された。
「みんなに会えて嬉しいです」とまず日本語で挨拶したライアン・クーグラー監督。雪のため、サンフランシスコから7時間遅れで到着。初の来日となった監督は、「残念ながらまだ観光は出来ていないのですが、今日の会場の池袋には電車で移動してきたんですよ。日本の方々がとても親切で嬉しかったです」と、初めての日本について印象を語った。イベント前には、監督のファンが外で待ち受け、サインを求める場面も。「自分の作ったものが響いていると思うととても嬉しい。でもたぶん、僕じゃなくて役者さんのファンじゃないのかな?」と監督は照れてみせた。
この作品を作ったのは、22歳の黒人青年が無抵抗のまま白人警官に射殺されたという事件を知り、Youtubeなどにアップされている当時の現場を映したビデオを観た時に感じた悲しみや怒り、無力さがインスピレーションのもとになっています。同じコミュニティの人たちは抗議や行進をしたりしていましたが、自分はアートである映画を通じてこの事件について何か新しい見方が出来るのではないかと思い、映画を作ることにしました。オスカーの家族、友人たちが大変な状況に陥り、コミュニティやベイエリア自体はアイデンティティー・クライシスに見舞われ、自分たちのことを改めて見つめ直さなければいけなかったのです。そして見つめ直したとき、見えたものがあまり好ましくないものがありました。政治的にそれぞれの立場で「自分はこうだ!」といろいろな意見が飛び交い、かなり大きな反響があった事件でした。
意識しました。通常マスコミでは、外側からその人に迫り、政治的なことやその他いろいろなことが加味されてその人が見えなくなってしまいます。けれどもこの作品では、内側から外に向けて描くことを心がけました。その人の人間性というのは、その人が一番多く関わっている人たちとの関係性から見えてくるものだと思うのです。今回はオスカーの人物像を描くにあたって、彼を一番良く知っていたご家族に話を伺って作っていきました。それぞれのオスカー像が違う中で、それらをもとにキャラクターを作り上げていきました。
オークランドはカリフォルニア州にあり、サンフランシスコの東に位置します。サンフランシスコは霧で有名ですが、オークランドは天気が良い所です。人種については多様で、アフリカ系アメリカ人が36%jくらいで一番多く、メキシカン・アメリカン、ヒスパニック、中国系、東南アジア系、日系など、“人種のるつぼ”という表現が本当にぴったりな所です。気候はとても穏やかで、10度と26度の間をいったりきたりです。映画にも登場する2008年の大晦日から2009年の正月はとても暑い時期でした。
撮影ももちろん、オークランドで行いましたし、エキストラもオークランドの方々です。自分自身、生まれも育ちもオークランドなので、いかに忠実かは自分が一番分かっていて、ロケーションをすることによって忠実に作ることができました。実は夏に撮影したので、気候的にも当時を再現できたのです。
リラックスした状態では前面に感情は出てこないのですが、何かがうまく行かなくなったときには出てきてしまうことがあるのではないかと思います。ベイエリアの警察官は何故か白人が多いんです。なので、緊張した場面になったときに人種関係、人種差別的な部分が表に出てきたりします。ベイエリアはアメリカの中でも、政治的にも民族的にも多様性があるエリアとされているにも関わらず、こういう事件が起きてしまっているのです。普段はオープンで、多様性が尊重されていて、それは例えば民族だけに限ったことではなく、お金持ちも貧しい人も隣合って住んでいます。セクシャリティーや精神的な観点が違う人たちでも一緒に暮らせる街として知られているので、今後はより成長して行かなければいけないと感じています。
オバマが当選したのが2008年の11月、就任が2009年の1月なので、まさにこの映画で描いた事件と同じタイミングでしたから、本当に辛かったです。特に、ベイエリアのオークランドではたくさんの人がリベラル派で、オバマ支持者が多かったのです。そんな中でこの事件が起きてしまい、現実を見直さなければいけないと皆が感じました。オバマがアフリカ系初のアメリカ大統領に就任したにも関わらず、状況は良くなっておらず、その後もフロリダ州でアフリカ系アメリカ人の男性が同じように亡くなり、最悪の事件となりました。政治的なレベルで快挙が成し遂げられても、民衆のレベルでの変化はまだまだこれからだと思います。
そう思います。映画、そしてアートは、人々を考えさせ、違う角度から物事を見させることができるものですから。
(オフィシャル素材提供)
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