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『華魂』 オフィシャル・インタビュー

2014-01-20 更新

桜木梨奈


華魂kakon
© 華魂プロジェクト

桜木梨奈

 1990年4月11日生まれ(23)、岐阜県出身。
 2012年、『耳をかく女』の主演オーディションで大抜擢を受け、初出演を果たす。その後も『フィギュアなあなた』(監督:石井 隆)、『甘い鞭』(監督:石井 隆)、『中学生円山』(監督:宮藤官九郎)など続々と話題作に出演。 2013年6月に故郷で先行上映されたオムニバス映画『Father』の一編「ヴァージンロード」(監督:市原 直)の主演。本作の主演もオーディションで射止めた。5月公開の『花と蛇 ZERO』の主演として話題!

 日本のスプラッター映画の草分け的な存在であり“ピンク四天王”と称される佐藤寿保監督が、「花と蛇」シリーズのニューヒロイン・桜木梨奈+「あまちゃん」の音楽家と、独特な世界を描く映画『華魂』。いじめっ子と変態教師たちに反撃する少女を体当たりで演じた桜木梨奈が、本作への思いを語った。


杉本彩さんや小向美奈子さんが歴代の主人公を演じてきた『花と蛇』シリーズの5月公開の最新作『花と蛇 ZERO』(原作:団鬼六、監督:橋本一)の主演に抜擢されたことが発表され、注目されていますが、周りの反応はいかがですか?

 映画好きな方やファンの方からは、「えっ、出るの?」とすごく喜んでもらえたりだとか、すごく楽しみにして頂いたりしています。


本作『華魂』にもフルヌードで挑まれていますが、本作は、『苦役列車』のいまおかしんじさんが脚本を書かれていて、主人公・瑞希の強い部分も弱い部分も両方リアルに描かれていて、女性を含め、誰もが瑞希に共感できるよう、きちんと瑞希の家庭環境や日常生活も描かれていて、その中でフルヌードが自然な形で入っていたかと思います。どのような覚悟で本作のオーディションを受けたのですか?

 オーディションを受ける前に、脚本の中で、ヌードのシーンがあるということは知っていました。役で必要であれば、素肌も、衣装のうちと思って、トライしたので、脱ぐっていうことに関しては、特別何っていうことはなかったんですけれど、それよりも、「いじめ」ということが大きなテーマだった。簡単に扱っちゃいけないテーマだと思うんですね。それを佐藤監督は扱って、真剣に作り上げようという方だった。私も本当に真剣にこのテーマについて考えたいと思っていたので、「いじめ」という大きなテーマの方が、私の中では大きな問題で、真剣に考えて取り組みました。


桜木さんご自身が小中学校時代にいじめられた経験があるとのことですが、脚本のいまおかしんじさんも中学生の時いじめられていたというのはご存知でしたか?

 それは知りませんでした! 衝撃です。


冒頭の、瑞希がロッカーに閉じ込められるシーンは、ご自身の実体験だそうです。桜木さんからみて、この脚本のいじめの描写は、リアルだと思いましたか?

 私が受けていたいじめというのは、小中学生時代誰もが受けた覚えのあるような、仲の良かった友達が突然喋ってくれなくなったりだとか、無視っちゃったりだとか、そういう経験で、それはある種のいじめだと思うんですけれど、実際脚本に書かれているようないじめっていうのは、私自身は、受けたことがないんです。けれど、ひどいいじめを受けて自殺されてしまった方だとかは実際にたくさんいるので、リアルかどうかは自分が体験していないのでわからないですけれど、脚本に書かれているいじめっていうものをどれだけリアルにできるかという形で取り組みました。


自分がいじめられたことがあるという経験を、演技にはどう活かしましたか?

 経験を活かすというよりも、佐藤寿保監督が、「”瑞希は孤高の戦士”なんだよ」ということを、オーディションの時に説明して下さったんですね。一人で戦っている瑞希が、その瞬間、その瞬間で受けていくいじめに対して、その瞬間に反応するというか、瑞希として思ったこと、感じたこと、嫌だったことっていうのを、表現できたらと思い、自分のことにはこだわらなかったです。


監督が、「オーディションで、『私を選ばないで誰をえらぶのよ』みたいな熱気、オーラがあったので、他の人を全部見終わらないうちに、一目で瑞希役は決まってしまった」とおっしゃっていましたが、オーディションを受けるにあたり、工夫などはしたんですか?

kakon 「○○してやろう」とは思わなかったんですけれど、脚本を読んだ時に、瑞希という役が自分とはかけ離れているんですよね。孤高の戦士で、芯が強くて、いじめられても負けない子なんですけれど、私だったら負けてしまうし、そんな強くいられないんですね。だから、私自身が瑞希にすごく惹かれて、彼女になりたい、こんな女性になりたい、という意志があったので、この役を誰にも渡したくないという気持ちがすごく強かったです。だから、「監督に噛み付いて離さないぞ」という気持ちでした。リアルにやったほうが自分自身も気持ちが入りやすいというのもあったので、自分の瑞希を見てもらうために、カッターやパンを持っていきました。


カッターのシーンをオーディションでやったから持って行ったんですか?

 やるシーンとして、カッターのシーンとパンのシーンがあったんですけれど、脚本の中で瑞希がiPodを聞いているシーンが一ヵ所あるんですけれど、きっとこの子は、iPodで常に音楽を聞いて、自分の世界を持っている子なんだろうなと思って、シーンとは関係ないんですけれど、iPodも持って行きました。


オーディションに受かり、実際に撮影するにあたり、心境の変化などはありましたか?

 オーディションの時に脚本を読んだ時の印象と大きな変化はないと思うんですけれど、最初は瑞希は強い人というインパクトがすごくあったんですけれど、合格してから監督とお話ししたら、強い人だけど、人には見せられない弱さを抱えて苦しんでいるということがわかったので、弱い気持ちも混ぜて撮影に挑みました。


監督とは役作りについてどのような話をしましたか?

 監督には世の中にはびこっているいじめ全体の縮図というのが学校で起きていることで、ただ瑞希にスポットが当たったんだということをまず教えてもらっていて、すごく責任を感じたりもしたんですけれど、実際はテーマは大きくて深いんだけれども、瑞希として、その瞬間を生きればいいよって言ってくれました。


いじめ以外に、監督から映画のテーマについて話はありましたか?

 『華魂』は10年以上前から練り込んでいたものを膨らませた作品と聞いて、「そんなに人の思いが詰まって凝縮されている作品に絶対携わりたい」と思いました。「私を待っていてくれた」なんて言ったら、上から目線な言い方かもしれないですけれど、運命だったのかなと思ったりしました。


撮影期間中は、衣装を脱ぐと、普段の自分に戻れるタイプですか? それとも家でも引きずるタイプですか?

 撮影期間中はずっと瑞希のままでした。普段はキャッキャッしてるんですけれど、家に帰っても瑞希の性格をひきずってたりだとか、その時は日常生活でも笑えなかったです。撮影は楽しくて、いじめっ子の女優さんたちとも仲良くお話はできるんですけれど、だけどやっぱり根底は瑞希でいたかなと思います。


撮影の雰囲気はどうだったんですか?

 すごいハードスケジュールで、寝ないで撮影というのが多かったけれど、皆テンションは高いという感じでした。だから、楽しいのもあるし、眠いけどでもそれを吹っ飛ばせというような変なテンションでした。だけど監督が一番声を張って、「怪我がないように」だとか常に一定の緊張感が現場に流れていて、すごく心地よかったです。私自身も、俳優さんも皆ワクワクしながらやっていたと思います。


監督の演出はいかがでしたか?

 役の気持ちを丁寧に掬い上げてくれるような、ピリっとしているけれど、一言一言に愛を感じるようなそんな演出でした。


一番大変だったシーンはどれですか?

 全部大変でした(笑)。シーンとしては大変に見えないんですけれど、スタッフさんも俳優さんも全く寝ていないという中で、私がベッドで寝転がって、華魂の幻想が見えて手を伸ばしているシーンがあったんですけれど、本当に意識が朦朧としていて、本当に華魂が見えてきて、「私、死んじゃうのかな?」みたいに、精神的に自然に追い込まれていました。
 楽しかったんですけれど、トイレに閉じ込められて水をかけられるシーンは、11月の撮影だったので寒かったです。
 撮影のファースト・カットが、確か冒頭の瑞希のロッカーに閉じ込められているシーンだったので、緊張もしましたし、「これから瑞希っていう人間を、生きていくんだ」っていう、一番最始の気合が入ったシーンだったので、ある意味そこが本当に大変だったシーンかもしれません。本当のロッカーに閉じ込められて、ガンガンドアを蹴られたんで、本当にビクビクするんです。
 監督の「はい、OK!」という声がもらえると、疲れが飛んじゃいます。だから、全部大変だったけれど、全部楽しかったです。


ご自身の監督作以外では、塚本晋也監督のカルト映画『鉄男 TETSUO』(1989)のヒロイン役以来、約20年振りの映画出演となる、不二稿(ふじわら)京(けい)さんがお母さん役でしたが、いかがでしたか?

 どんな方が私のお母さんなんだろうとドキドキしていたんですけれど、予想以上のすごいお母さんで、すごくハチャメチャで、不二稿さんじゃなかったら瑞希のお母さんはできなかったんじゃないかなと思います。不二稿さんがお母さんだから、瑞希はああなったんだって思いました。待ち時間にお話ししていた時は普通の優しいお母さんという感じがしていたんですけれど、撮影に入ったら、「えーっ!!」っていう感じで、そのギャップにびっくりしました。何が起こるかわからない方でした。いい意味で巻き込まれようと思いました。


この映画はスプラッター・シーンもありましたが、撮影はいかがでしたか?

 生徒の皆さんや先生たちが「うわーっ!!」となっているところを、物陰に隠れて見ていたんですね。本当に怖くて、狂気でした。監督は「好きなようにやっていいよ」という感じだったんですけれど、本当に好き勝手やっていらして、それを隠れて見ていたら、「人間好き勝手やったら本当に怖いぞ」と思いました。ただ単に血が流れているとかそんなんじゃなく、人間の本質が見える、そんなスプラッター・シーンだったと思います。桜木自身見ていて恐怖したので、観客の人にも、怖いと思ってもらえると思います。


ご自身で本映画を観て、どのような感想を持ちましたか?

 やっている最中は、皆大真面目でやっているので、気づかなかったんですけれど、「ここ笑えるシーンだったっけ?」みたいな部分もあったり、内輪だからという訳ではなく、どこか人間の滑稽さだとかがすごく上手く映し出されていて、それが笑えるような可笑しさがあったり、それが怖かったりすると思いました。「予想できないですよ」「観なくちゃわからないですよ」ということを言いたいです。このチラシのSTORYに騙されちゃだめって思いました。ただのスプラッター・ホラーじゃない映画だなと思いました。


この作品はご自身にとってどのような作品になりましたか?

 映画を作るっていうことはどういうことなのか、一人でも欠けちゃいけないんだ、っていう気持ちを本当に感じさせてもらえた作品でした。自分のシーンが終わればそれでいいんじゃなくて、他の俳優さんのシーンも、映画に大切な大切なシーンだから、それもいい画になってほしいって思ったんで、毛布かけるだとか、ドリンクを配ったりだとかしました。作品をみんなが一つの思いで作っているっていう、その団結力を感じた作品でした。一つのピースであったことに、すごく幸せを感じています。


最後に、観客の方々にメッセージをお願いします。

 強者であると思っていても意外とその人たちが弱者であったり、観てくれた人が自分の持っている弱い部分に共感できるところが多いと思うので、真剣にいじめというテーマを取り扱っていますし、体当たりでもぶつかっていますし、観てくれた人が勇気を持てるような、「負けない」という気持ちを持ってもらえればいいなっていう映画です。だけど、そんな堅苦しく観なくても、不謹慎かもしれないですけれど、楽しんでいただける映画だと思います。世の中の人が発しているシグナルを、佐藤監督が受け取って、それで構想10年かけられて発信している素晴らしい映画なので、ぜひ劇場に観に来てください。よろしくお願いします


(オフィシャル素材提供)


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