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作品紹介

トップページ > 作品紹介 父の秘密

2013-09-29 更新

英題:After Lucia
父の秘密lucia
Despues de Lucia © 2012

イントロダクション

 かつて亡命と越境を経て、メキシコに辿りついた異端の巨匠ルイス・ブニュエルは、メキシコ・シティのスラムを舞台に、不良少年たちの残酷な暴力を描いた名作『忘れられた人々』(50)でカンヌ国際映画祭の最優秀監督賞を受賞し、世界中を震撼させた。

lucia 今、新たにそのメキシコ映画界から弱冠31歳の恐るべき新鋭監督マイケル・フランコが現われた。第65回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリに輝き、アカデミー賞メキシコ代表に選出された『父の秘密』はマイケル・フランコの第二作で、現代を不気味に覆い尽くす〈暴力〉を透徹した眼差しをもって描いた作品である。

 かつて、同工のモチーフを扱った作品としては、中世のバラードを下敷きに、娘を野盗に凌辱された父親が復讐するイングマル・ベルイマンの『処女の泉』(60)があり、息子を殺した少年と対峙し、苦悩する父親を描いたジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟の『息子のまなざし』(02)があった。しかし、『父の秘密』は、宗教的な救済やモラルを探求するこの二作品とは大きく異なる地平で、名状し難いクライマックスを迎える。マイケル・フランコは、この悲痛なアイロニーに満ちた、仮借ない、あまりに現代的な悲劇といかに向き合えるか、と問いかけるのである。

 アレハンドラを演じたテッサ・イアは『あの日、欲望の大地で』(09)でデビューし、本作が長篇映画2作目の新人女優。そして彼女を取り巻くクラスメートのほとんどが演技経験のない、実際のイアの友人によって演じられた。

ストーリー

 妻・ルシアを失くした喪失感から抜け出せないロベルトと娘のアレハンドラは、メキシコシティへ引っ越す。新しい土地でやり直そうとする父と娘。だが、それだけでは悲しみが癒えるはずもなく、彼らは心の傷に向き合わないまま他愛ない言葉を交わすだけの関係になっていく。

lucia アレハンドラは新しい学校で友だちもでき、楽しく過ごし始めるが、酔った勢いで関係を持った男子生徒に行為を盗撮され、それをネットにアップロードされたのがきっかけで、いじめの標的となってしまう。しかし、喪失感で仕事もままならない父親に、いじめられていることを告げることができず、苦痛な日々をやり過ごすしかなかった。そして、ある日、彼女は突然姿を消した。

(2012年、フランス・メキシコ、上映時間:103分、R15+)

キャスト&スタッフ

監督・脚本:マイケル・フランコ
出演:テッサ・イア、ヘルナン・メンドーサ、ゴンザロ・ヴェガJrほか

配給
彩プロ
11/2よりユーロスペース 他にてロードショー

オフィシャルサイト
http://lucia.ayapro.ne.jp/

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