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2013-02-09 更新
原題:AMOUR『ピアニスト』『隠された記憶』ほか数々の名作を発表してきたミヒャエル・ハネケ監督。疑惑と不信。狂気。沈黙と暴力。その冷徹な世界観と豪腕で世界中を震撼させてきた名匠は、2009年、悪意に取り憑かれた村の悲劇を描いた『白いリボン』でカンヌを席巻。その彼が次に見据えたのは意外にも、ひと組の静かな老境、その愛をいく末だった。名立たる巨匠が顔を揃えた本年度カンヌ国際映画祭で前作に引き続きパルムドール最高賞を受賞。2作品連続という快挙を成し遂げ世界中を驚かせた。その後も数々の映画祭で賞を獲得し、本年度米国アカデミー賞外国語映画賞最有力候補として大注目されている。
パリの高級アパルトマンで悠々自適の老後を送るジョルジュとアンヌ。満ち足りた夫妻の日々は、ある日、妻の発病で暗転する。妻の願いを汲んで自宅へ連れ帰り、献身的に支える夫。その日々の営みを、名匠は丹念に追っていく。
人間誰しもが避けて通ることのできない「老い」と「死」。その淵に立つふたりの姿は、観る者に、来るべき日の存在を否応なく突きつける。しかし、映し出されるのは決して衰えと滅びだけではない。ひとりの男とひとりの女がともに生きて来た道のりの確かさ、充実と尊厳、それゆえの気高さは、観客の胸にひたひたと迫る。
夫ジョルジュを演じるのは、『男と女』でテーマ曲とともにその名を世界中に知らしめたジャン=ルイ・トランティニャン。彼をイメージして執筆された脚本、その一つひとつのシーンを81歳を迎えた彼は、卓越した表現力で印象づける。妻アンヌには、戦後の広島を舞台にした『二十四時間の情事』のエマニュエル・リヴァ。往年の美貌に加え、年を重ねて磨かれた存在感で見事に演じきった。フランスを代表する名優ふたりが見せるのは熟成された男と女の人生そのものである。さらにハネケ作品の常連となる『ピアニスト』のイザベル・ユペール、そして現在ヨーロッパで活躍するピアニスト、アレクサンドル・タローも実名で登場。劇中の音楽も担当している。
カンヌの栄冠に続き、ヨーロッパ映画賞では作品、監督、男優、女優、脚本、撮影の主要6部門にノミネート。そして米・アカデミー賞においても注目を集めること必至の、至高の愛の物語。
愛する者が死に臨む、その姿を見届けることは、はたして愛の終焉か。それとも幸福の完成なのか。名匠と最高のキャスト陣は、静かな熱を持って、究極の問いを投げかける。
ストーリー夫ジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティ二ャン)と妻アンヌ(エマニュエル・リヴァ)。パリ都心部の風格あるアパルトマンに暮らす彼らは、ともに音楽家の老夫妻。その日、ふたりはアンヌの愛弟子のピアニスト、アレクサンドル(アレクサンドル・タロー)の演奏会へ赴き、満ちたりた一夜を過ごしたのだった。
翌日、いつものように朝食を摂っている最中、アンヌに小さな異変が起こる。突然、人形のように動きを止めた彼女の症状は、病による発作であることが判明。手術を受けるも失敗に終わり、アンヌの体は不自由に。医者嫌いの彼女が発した「二度と病院に戻さないで」との切なる願いを聞き入れ、車椅子生活となった妻と、夫は自宅でともに暮らすことを決意する。
(2012年、フランス・ドイツ・オーストリア、上映時間:127分)
キャスト&スタッフ
監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴァ、イザベル・ユペール、アレクサンドル・タローほか
配給
ロングライド
2013年3月9日(土)より Bunkamura ル・シネマ、銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館 他全国ロードショー
オフィシャルサイト
http://www.ai-movie.jp/
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