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記者会見

トップページ > 記者会見 > 『JUNO/ジュノ』来日記者会見

来日記者会見

2008-6-5 更新

エレン・ペイジ

JUNO/ジュノ

配給:20世紀フォックス
6月14日(土) シャンテ シネほか全国ロードショー
(C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX

 全米初公開時は7館という規模ながら、口コミで評判が広がり、2000館以上に拡大、わずか2ヵ月で興行収入が1億ドルを超える大ヒットを記録したばかりでなく、第80回アカデミー賞作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞部門の主要4部門にノミネートされた『JUNO/ジュノ』。妊娠してしまった高校生を飄々と演じた若手実力派エレン・ペイジが来日、記者会見に出席した。

-----二度目の日本はいかがですか?

 素晴らしいわ。とにかく楽しい時間を過ごしている。おととい着いたんだけど、日本食が大好きなので、昨日の夜は日本料理を食べたの。それから、昨日は一日オフだったので、原宿や渋谷あたりを散策したりして、素晴らしい時間を過ごしているわ。

-----高校生の妊婦という役をどんな気持ちで演じられましたか? エレンさんご自身は母になることへの憧れはありますか?

 本当によく書かれた役で、このような役を演じるときには彼女のハートの部分とコネクトすることが一番大事だと思うの。ジュノは他人から批判されやすい立場にあったわけだけど、彼女のことを理解して、役を作っていくことが私には何よりも大切なことだった。妊娠というのも、彼女の人生の側面なので、その側面を出来るだけ率直かつリアルに演じることに集中したわ。
母親になるということに関しては、まだ実感がもてないわ。まだ全然そういう気持ちにはなれないから。まあ、そのうちね(笑)。

-----この映画は大作でないにも関わらず、何故これほどまで世界中の人々の心をつかみ、大ヒットにつながったとお考えですか?

 (質問者の全身真っ赤なスーツを見て)まず、素敵なスーツね(笑)。
今回の作品は本当に、脚本を読んだときにビックリしたの。とにかく、それまで読んだどの脚本よりも素晴らしいと感じたので。誠実で正直で深みがあると同時に、とっても面白くて、すごくよく出来た完成された脚本だった。だからこそ、多くの人々が共感できるのだと思うわ。笑って楽しい時間も過ごせるし、とにかく純粋で感動的なストーリーだわ。それにこれまで、北アメリカの映画の中では、若い女性が主役の作品があまりなかったので、一層共感をもって受け入れられたのかもしれないわね。

-----アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたときのお気持ちをお聞かせください。

 ノミネートされたのは、すごくシュールな感じだったわ。当時は20歳だったけど、ノミネートされた他の方たちは私が尊敬する偉大な女優さんばかりだったので、とても謙虚な気持ちにさせられたと同時に、本当に信じられなかった。このような役を演じることができたのはラッキーだったと思う。

-----16歳の女の子が妊娠するというとどうしても、センセーショナルな話になりがちだと思いますが、今回は初めての妊娠がたまたまそうケースだったというところから入っているのが『ジュノ』のすごくいいところだと思いますが、エレンさんご自身はこのテーマをどのように捉えて役に入られたのでしょうか。

 先ほどもちょっと申し上げたけど、キャラクターのハートの部分にコネクトするということ、共感できる部分を探し、彼女のことを十分理解することが一番大事だったわ。それを理解した上で、ジュノというのはとても能動的でエネルギッシュで、ちょっと生意気な部分、知的な部分もあると思うの。その辺のバランスを見つけることがすごく大切だった。妊娠に関しては、いろいろな本を読んだわ。でも、その感じがよくつかめたのは、プラスティックで作ったお腹をつけたからね。重たかったので、あれをつけると自然と体勢が変わるし、動き方も変わったので、一層演じやすくなったわ。

-----日本ではどういう年代のどういった客層にこの映画を観てもらいたいとお考えですか?

 アメリカや他の国でもそうだったんだけど、若い女性はもちろんのこと、年配の方まで車の中でサウンドトラックを聴いたりといったこともあったみたい。そういう風に日本でも、性別や年齢を越えてさまざまな観客の方々に受け入れていただけるといいと思うわ。

-----ジュノに成りきっていらっしゃいましたが、ジュノを演じたことで、どんなことを一番学びましたか?

 何かな……。いろいろな人に思いやりの気持ちを持つことを一番学んだわ。特に、ジュノの両親の妊娠に対する態度、もちろん二人は喜んではいないんだけど、すごく彼女をサポートするわよね? 困難な時期に親の支えがあるというのは、こういう題材の映画ではなかなか見られないと思うので、そこが私はとても気に入っているの。

-----面白い脚本でしたが、一番好きだった台詞は?

 たくさんあるけど、ジュノが中国で子供を産んだらiPodがもらえると言ったのや、スポーツ・イベントでターゲットにするとか、そういう台詞が気に入ったわ。

----この映画の中ではとてもスラングが多いわけですが、それについてはどうお思いですか?

 スラングの部分も気に入っているわ。実は脚本を読んだときに、そういう部分に一番共感できたの。というのは、ついこの間のことだけど、私も高校時代やっぱり、友達と自分たちの言葉というのを持っていたから。もちろん、ジュノと同じではないけど、自分たちの間だけで通じる言葉で話したりしたので、そういう意味でもすごく良く分かったの。それもこの映画をユニークなものにしていると思うし、とても気に入っている部分でもあるわ。

-----サントラがビルボードで1位をとったりしましたが、エレンさんもサントラの中で歌っていらっしゃいますよね? サントラの中でエレンさんのお気に入りの曲は? それ以外でも普段はどんな音楽を聴いていらっしゃいますか?

 サントラの中で一番好きなのはCat Powerの「Sea of Love」。これは映画の中でポーリーが病院に来てジュノと一緒にベッドの中に入ったときに流れる曲なんだけど、大好きなの。
普段聴いているのはKimya Dawsonと、彼女のバンドだったThe Moldy Peachesが大好きで、実は私が監督に彼女の音楽を推薦して使われるようになったの。でも、いろいろなジャンルのいろいろな曲を聴いているわ。音楽は私にとってすごく大切なものなの。

-----この役を演じたことで、ティーンエイジャーの妊娠に対してあなたの見解が変わったということはありますか? この映画に対して両サイドから論議が巻き起こったりしたのでしょうか。

 見解が変わるということはなかったわ。私は産むほうに賛同するけど、この映画は両方に対してオープンだったと思うの。ジュノは堕胎も考えるし、その選択も彼女にはあったわけだけど、産む決意をするわね。このことに関して議論がなされたという認識はないわ。この映画は民主主義的で、両方の立場をちゃんと示していると思うから。議論があったことを、私が耳にしていないだけなのかもしれないけど。

-----今作で世界的に注目されることになったと思いますが、この映画の前後であなたの人生が変わったということはありますか?

 ある意味では全く変わっていないわ。私自身は今までと同じなんだけど、変わったことといえば全部ポジティブなことで、仕事のオファーが増えて選択肢が広がったということね。これは、私の年齢では素晴らしいことだと思うわ。それと一番大きな違いは、家を出ると気づかれて、「エレン・ペイジだ」とか「あっ、ジュノ!」と声をかけられたりすることで(笑)、それは新しい経験ね。でも、それも仕事の一部だと考えるようにしているわ。

-----ここで、スペシャル・ゲストをお迎えしたいと思います。エレン・ペイジさんと同じ21歳で、2003年のデビュー作『わたしのグランパ』でブルーリボン新人賞、日本アカデミー賞の新人俳優賞などあらゆる新人賞を総なめにしました。今や日本を代表する若手演技派、石原さとみさんです。本日は『ジュノ』のエレン・ペイジさんの応援ということで駆けつけてくださいました。

エレン・ペイジ: 来てくださって本当にありがとうございます。
石原さとみ: もう、緊張で緊張で……(笑)。アカデミー賞授賞式が日本でも放映されていて、それを見ていたんですけど、同じ21歳の女性が世界一の最高の舞台に参加しているのを見ていて、“あぁ、すごいな~”と思っていただけなんですけど、まさか今日、こういう形でお会いできるというのは本当にうれしいですね。

-----女優さんとして、エレン・ペイジさんの演技を一生懸命ご覧になっていましたよね?

石原さとみ: すごく丁寧な演出をされていて、私に対しても細かく分かりやすくご指導いただいて、ありがたいです。微妙なニュアンスとかが……分かりやすいです。

-----石原さんがデビューしたときと、何となくリンクするような気がしますが?

石原さとみ: 私はこんなお芝居は出来ないと思いました。
エレン・ペイジ: そんな風に言ってくださって、ありがとうございます。

-----映画はいかがでしたか?

石原さとみ: 最後、とても甘酸っぱい気持ちになって、この気持ちを現場に持ち帰って、「『ジュノ』、サイコーだった!」って叫んでたんですね。観ていただいた方々にも同じ気持ちになっていただきたいですし、もしも日本でリメイクすることがあったら、ぜひともやらせていただきたいです!
エレン・ペイジ: そうなったら素晴らしいと思います。

-----もしもリメイクがあるとしたら、石原さんにアドバイスはありますか?

エレン・ペイジ: 分からないです(笑)。本当に才能あふれる方だと思いますから、十分出来ると思います。

-----ところで石原さん、今英語を勉強されているそうですね。エレンさんに何か質問はありませんか?

石原さとみ: 勉強と言っても……(照)。つたない英語で本当に申し訳ありませんが、一つだけ聞かせていただきます。(英語で)私は今、テレビドラマで英語が下手な30歳を超える教師を演じています。彼女は全く私自身と違います。あなたは16歳の妊娠した女の子を演じましたね。ご自身と違うキャラクターを演じることをどう感じますか?
エレン・ペイジ: 自分とかけ離れた役だからこそ大好きなんです。その人物を理解して、その役に乗り移るその瞬間が私は大好きなんですね。

-----今後はどんな風にお仕事をしていきたいですか?

エレン・ペイジ: これから先も女優という仕事を続けていって、本当に嘘のないとっても良く出来た脚本に巡り合って、チャレンジングなキャラクターを演じていきたいと思っています。『ジュノ』が成功したおかげで、かなり選択肢が増えたことはとてもうれしいですね。
石原さとみ: 私もぜひ、『ジュノ』のような作品に出合いたいなと思いますし、自分自身を磨いていって、人間としてもそうですが、いろいろなことに挑戦できる役に出合いたいと思いますね。そして……いつか、エレン・ペイジさんとお仕事をしたいなと思います(笑)!
エレン・ペイジ: それは素敵ですね! 石原さんの映画を見てみたいです。

ファクトリー・ティータイム

アメリカ人にしてはとっても小柄で、まだティーンエイジャーのように見えるエレン。その雰囲気も話しぶりも全く普通の女の子と変わらないのに、『ハード・キャンディ』にしろ、この『ジュノ』にしろ、恐ろしいほどにその役柄を体現してしまう彼女。これからもどんな役柄でどんな演技を見せてくれるのか楽しみだ。 ちょっぴりトンガったティーンエイジャーの、ちょっとだけイレギュラーな日常を描いた『ジュノ』。エレン・ペイジの演技もさることながら、脚本もめったにない優れもの。トンガリ・ティーンものでは『ゴースト・ワールド』以来の衝撃かも。
(文・写真:Maori Matsuura)


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