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2007-11-08 更新
こういう女の子たちと同じところで立ち止まらず、次に進むためのきっかけとして見て欲しいですね。
エリカ
1979年沖縄県生まれ。1995年、神山征二郎監督作品『ひめゆりの塔』でデビュー。以降、『ワンダフルライフ』(是枝裕和監督)、『美しき夏キリシマ』(黒木和雄監督)、『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(青山真治監督)など映画を中心に活躍。来年には、アメリカ映画『レイ、最後の呼吸』の公開が控えている。
配給:アムモ
11月10日より池袋シネマ・ロサ他にて公開
(C)2007コンナオトナノオンナノコPartners
『パビリオン山椒魚』の冨永昌敬監督が、人気漫画家・安彦麻理絵の原作を映画化した『コンナオトナノオンナノコ』が完成した。30代を目前に控え、一見真逆の人生を歩むふたりの女性の姿を描いた作品。主役のひとり、キャリアウーマンのチアキを演じたのは、作家性の高い監督作品への出演が続く女優のエリカだ。ほぼ同じ年齢である役どころをはじめ、本作の魅力について語ってくれた。
14歳の時に、神山征二郎監督の『ひめゆりの塔』という映画でデビューをしました。15歳の時に上京して以来、映画を中心に活動しています。
私が育った沖縄の島ではビデオでしか映画を見ることは出来なかったので、撮影風景など全くイメージできませんでした。急に台本を渡され、来週から撮影ということになりました。女学生役の撮影現場に行くと、いきなり沢口靖子さんが隣にいらっしゃいました。リハーサルを何回もやって本番を撮影していき、ただ緊張しているばかりでしたが、とても大きな影響を受け、「ずっと女優をやっていこう、早く東京に行きたい!」という思いで一杯になりました。
わりと人見知りをする方なので、冨永監督と初めてお会いした時にはすごく緊張していましたが、私以上に監督も緊張されていたので、お互い共通するものがあるなと勝手に思いました。年齢も近いのですが、不思議な印象でした。
最初に観た時には、こういう風に仕上がったんだという思いが強かったです。想像していたよりも女性の悩みが深く、女性が選択してきた道をこういう風に撮るんだと思いました。
共通点は仕事を抱えた悩みですネ。職業は違っても悩みは変わらないですよね。そのこと以外はほとんど違いますかね(笑)。
苦労してその役を演じるのではなく、ワンシーンごとに監督と細かく話し合いました。監督の中にも「こういう風に見えたほうが良い」「これはこうなんだ」といったイメージがあったので、スムーズに撮影が出来、やりやすかったです。ただし、大変だったシーンをあげるとすれば、牧場での牛の乳搾りです。動物は苦手ではないですが、いきなり牛というのはちょっと……。あのシーンの撮影は本番1回でしたが、上手く絞ってるなと思っていた時に、牛の足が私の顔のところに来ました。その様子は、そのまま映画に写っています。監督が1回で「もう良いよ」と言って下ったので、ホッとしました。
役の中で抱えている悩みや役割は違いますが、二人の違いを出そうと意識して演じてはないですね。
台詞の言い回しについてはひとことぐらいならありましたが、こういう風にして欲しいという指示はありませんでした。後は自由に演じて下さいという感じですね。
自由に演じるというか、自分のイメージを監督にお話させていただき、現場で監督とアイデアを出しながら、作品を作り上げていきました。ただ、クランクインの前から、監督は「とにかく二人を可愛く撮りたいんだ」とおっしゃっていましたね。
この年頃の女性は、きっと恋や仕事が同じタイミングに来てしまい、どれかを選択できないままで煮詰まってしまっている人もいると思います。仕事で頑張る人と、若い時の恋の延長で結婚して子供が出来た人、どちらにとってもいろいろな葛藤があると思います。極端な例かもしれませんがすごくありふれていて、ここで立ち止まりつまずいてしまう人もいるだろうなと思いましたね。
起用の理由を言われたことはありません。でも、初めてお会いしてから、初めてお会いしてから、何度もお話をしに行ったり一緒に飲みに行ったりします。それだからでしょうか?
初めてお会いした時の話の内容や、趣味が共通だったりといった点です。出演させていただくことが決まり、シナリオをいただき、クランクインの前にシナリオを書き直ていただいたものをメールやFAXでやりとりをさせていただいている過程でだんだんと思いがひとつになっていきますね。信頼できる、その時間を絶対に一緒に過ごすことが出来る、それを感じさせてくれる監督との良い出会いにつながっています。
桃生さんと一緒のシーンの撮影は1日しかなく、お話する時間はあまりありませんでした。イメージどおりとても静かな方ですが、芯がしっかりしていて、本当にたたずまいが(彼女が演じた)マサミだという印象でした。水橋さんは役柄とは全く違う印象で、おとなしくて可愛い感じの方ですね(笑)。斉藤さんとはあまりお話が出来る時間がなかったのですが、お互いに青山真治監督のお友達なので、「青山さんがよろしくって言っていたよ」とか、青山監督の話をしていました。冨永監督も青山監督と仲が良いので、皆で青山監督の話ばかりしていましたね。
女性として、人間としてちゃんと挨拶が出来る人間になりたいと思います。何が幸福なのかといった悩みではなく、ちゃんと自立している。まずは挨拶からと言うイメージです。
結局、境界はあまりないと思いますね。でも、挨拶は大切だと思います。
無いです。自分のことは男としか思ったことがありません。よく皆さんに「親父じゃないの?」と言われます。良い話かどうか判りませんが、ひとつの仕事がクランクアップすると、ひとりで新橋のガード下の立ち飲みの居酒屋に行き、周囲のサラリーマンの方たちのお話を聞いたりするのが大好きです。
違いますね。私はとても楽しい場所だと思います。でも、女の子の友達には一緒に行くのは絶対にいやだと言う子もいます。いやぁ、立ち飲みは良いですよ。たくさんのストレスを抱えた方の憩いの場でしょ? 素敵な場所です。
ないですね。酔っぱらって電話をしてくるなとは言われますが(笑)。
29歳という年齢に対してはまだ判りませんが、20代後半になり、毎年誕生日が来て年を取っていく節目に感じるのは、女性として何かに取り組むのに一番良い時期なのではないかということです。今回の作品は極端かもしれませんが、恋愛なのか仕事なのか、選択した後の悩みについて描かれていますが、この映画を観に来ていただいた人には、どちらかが大切で、どちらかを選択しないといけないとは思って欲しくありません。彼女たちには共感できる部分もあると思いますが、その共感を覚えつつも、自分が次に取り組んでいく新しい目標、そこにいくまでのひとつのきっかけになればうれしいです。共感だけで終わるのではなく、こういう女の子たちと同じところで立ち止まらず、何か新しく次に進むためのきっかけになればうれしいです。この作品からは、全員が同じではないということ、恋とか仕事とか限られたものではなく新しい出会いを大切にして進んでいって欲しいというメッセージを強く感じました。皆さんにも感じて欲しいなと思います。
いつも節目節目に感じるのは、両親へのありがたみが年を重ねるごとに大きくなっていくことです。若いなりの未知な部分、何度か同じ失敗を繰り返す自分が嫌になる瞬間がありますが、それでも一番心配し支えてくれているのが親だと思います。沖縄にいる親とは毎日2時間ぐらい電話をするので、その電話代のためにも働かないといけないのですが(笑)、毎年誕生日には電話で話すか会うかします。母親が東京に出てきたり、こちらから沖縄に行ったり、母親と二人でデートをします。全て母のおかげですから。
今後も映画を中心にやっていきたいと思います。
たくさんありますが、テオ・アンゲロブロス監督の『霧の中の風景』が一番好きですね。
この映画のチアキやマサミと同じように、悩んだり立ち止まって欲しくない。新しい目標に向かって、もっと前を見て頑張って欲しい。そういったエールの映画です。
多くの有名監督から起用されているだけあって、ストーリーや自分の役どころへの洞察力は鋭い。来年は出演したアメリカ映画の公開も控え、今後の活躍が楽しみだ。しかし、こんな美女が立ち飲み居酒屋で隣にいたら、あなたならどうする?
(文・写真:Kei Hirai)
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