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2007-10-31 更新
鳳凰は火の中に飛び込み、自分を燃やして永遠の生命を得る、という伝説上の動物です。映画の内容に合っていると思って、タイトルにしました
ジヌ・チェヌ監督
1969年中国杭州生まれ。1996年中央戯劇学院演出科卒。監督デビュー作『インターネット時代の愛情』(98)で注目され、2000年には『菊花茶』で第23回モスクワ国際映画祭審査員監督特別賞などを受賞した。テレビドラマの演出も多数手がけ、ジャ・ジャンクー監督らと共に中国第6世代の監督として期待されている。
ミャオ・プウ
1995年『道北人』で映画デビュー。1998年に北京電影学院に入学。その後、『関心』(00)、『藍色競争』(01)、『絶対コントロール』(02)、『私に栄誉を』(05)など多くの作品に出演、中国の新しい時代を担う4大女優の一人と言われている。
配給:角川映画 配給協力:デスペラード
11月3日(祝)より恵比寿ガーデンシネマ他全国順次公開
(C)2007「鳳凰」製作委員会
中井貴一が初の主演とプロデューサーを務め、日中友好35周年を記念して作られた映画『鳳凰 わが愛』の公開を前にジヌ・チェヌ監督とヒロインを演じたミャオ・プウが来日し、撮影秘話を聞くことができた。
ジヌ・チェヌ監督:真実の部分はほんの一部分なんですよ。一組の男女が刑務所の中で知り合い、恋心が生まれ、服役後に一緒になりたい、と思ったということがありました。実際の話は70年代の話なんですが、それを20年~30年代の話に置き換えて創作しています。
ジヌ・チェヌ監督:中国では吉祥、良いシンボルの動物なんです。外国では「火の鳥」と言われています。鳳凰は火の中に飛び込み、自分を燃やして永遠の生命を得る、という伝説上の動物です。映画の内容に合っていると思って、タイトルにしました。鳳凰というのは鶏と蛇が結び合って生まれたと言われていますが、描かれたものを見ると、いろいろな動物の部分が結び合って生まれたものだというのが分かります。
ミャオ・プウ:中井さんが私を選んだというのは、昨日初めて知りました(笑)。選んでいただいてすごく興奮しましたし、めったにない機会なので、ぜひやりたいと思いました。特殊な歴史や生存環境の中でのお話なので不安もありましたが、脚本も素晴らしくて毛穴がゾワッとするような感動を覚えました。私が出演を決めるのは、脚本を読んで感動できるということと、生理的に反応できるかどうかということです。今回相手役は中井さんだと知っていたので、女優としてはこの上ない光栄であると思いました。監督とは前からの知り合いですが、初めて一緒のお仕事が出来るというのも引き受けた理由になっています。
ジヌ・チェヌ監督:氷の上のシーンは、もちろん安全な厚い氷の上で撮影しました(笑)。重い機材もあるので……。大変だったのは水中のシーンで、ある大学のプールを借りて撮影しました。7メートルの水深があるプールの周りを全部黒い布で覆い、水の上には偽りの氷を浮かべて、一箇所だけ穴を開け、リアルな状態で撮りました。どんなに大変だったのかは、僕自身は水の中に入っていないのでわかりませので、ミャオ・プウに聞いてください(笑)。
ミャオ・プウ:二人が手と手を伸ばし合う氷の上でのシーンですが、面白いエピソードがありました。私が手を伸ばして中井さんの顔を見たとき、鼻血が出てしまったんです。あまりに寒すぎて毛細血管が開いてしまったんですね。みんな大爆笑でした。水の中のシーンは本当に大変で、死ぬかもしれないという恐怖を初めて味わいました。水の奥底まで泳ぐには、吸った空気を吐かないともぐれないのです。空気を残しておかないともぐれないし、タイミングがとても難しかったですね。それと、真っ暗で何も見えないんです。中井さんのほうに泳いでいかなければならないので、水の底に懐中電灯を置いてもらい、その光りを目指して泳ぎました。なかなかうまくいかず、3日かけて10何回も撮り直しをしたんですよ。
ジヌ・チェヌ監督:劇中の歌は鳳が凰を求めるという内容の歌です。歌詞は漢の時代の漢詩を使いました。有名な歌手が歌っています。S.E.N.S.は『悲情城市』の音楽を作られていますが、大好きな音楽です。プロデューサーがぜひに、とお願いして参加していただきました。
ミャオ・プウ:映画での来日は初めてですか、個人的には何度か来ているんですよ。今回の来日はとてもうれしくて、特別に思っています。東京は好きな場所です。ショッピングも出来るし、おいしいものも食べられるし(笑)、人々も親切ですね。これからも自分の作品を持って来日したいと思っています。
ジヌ・チェヌ監督:『鳳凰 わが愛』という映画を持って日本に参りました。ぜひこの映画を観ていただければ幸いです。中井貴一さんとミャオ・プウに注目してください。
ミャオ・プウ:みなさんがこの映画を観てくださって、気に入ってくださるとうれしいです。よろしくお願いいたします。
お二人とも映画への自信の表れか、ずっと笑顔で楽しそうに語ってくれた。過酷な状況の中での撮影はさぞかし大変だったことだろう。画面からは美しい映像と共に寒さが痛いほどに伝わってくる。刑務所の中で出会い、終わりのない切ない愛に身を投じた男女の真実をぜひ、劇場で見届けて欲しい。
(文・写真:Sachiko Fukuzumi)
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