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2007-10-27 更新
小栗 旬、やべきょうすけ、黒木メイサ、高岡蒼甫、山田孝之、山本又一朗(プロデューサー)、高橋ヒロシ(原作者)、三池崇史監督
配給:東宝東和
10月20日(土)日劇1ほか全国ロードショー
カリスマ的人気を誇る高橋ヒロシのコミック「クローズ」が、オリジナル・ストーリーで待望の映画化! 熱き男たちのバイブルを映画『クローズ ZERO』として送り出したのは、世界が注目する鬼才・三池崇史監督。
9月26日(水)、都内で完成会見が開かれ、監督をはじめ、小栗 旬、やべきょうすけ、黒木メイサ、高岡蒼甫、山田孝之という豪華キャスト陣と山本又一朗プロデューサー、原作者の高橋ヒロシが顔を揃え、完成したばかりの映画について熱く語った。
三池崇史監督:本作が完成しまして、このような会見を開く機会をいただき、皆様にこうして集まっていただけたことを非常にうれしく思っております。『クローズ ZERO』、ぜひ皆さんのお力で応援のほど、よろしくお願いいたします。
三池崇史監督:「クローズ」ですからね。男ならやるでしょう(笑)。僕は「ガキデカ」世代ですが、若い役者たちと現場で接していると、ここ 10年くらい、みんなが「クローズ」のことを話題にしていたので、原作を読ませてもらいました。まさか、監督をすることになるとは思っていませんでしたが。
三池崇史監督:大人ですよ、みんな。彼らを撮っていてうれしいんですよね。何故うれしいのか分からないんですけど。体力的にはみんな大変だったと思いますけど、その大変さも楽しんで撮っていた感じです。それがそのまま映画の力になっていると思います。
三池崇史監督:いろいろなことがありましたが、撮影は大阪、関西方面だったので合宿のように一緒に寝泊まりして、近所の焼肉屋にみんなで食べに行ったり、独特な雰囲気がありましたね。もし東京で撮っていれば、夜にはプライベートに戻って、朝また現場に来て役に入って……ということになりますから、全く違う作品になっていたと思います。
高橋ヒロシ:原作をそのまま作品にするのではなく、一度壊して、まさに“ZERO”にして三池版「クローズ」を見せてほしいとお願いしたんですが、本当にその通りのカッコいい映画になっていました。
高橋ヒロシ:もちろんです。大事な「クローズ」の要素はちゃんと伝わってきました。完璧です。
高橋ヒロシ:はい(笑)!
小栗 旬:役作り……どうしましたかね(笑)。ちょっと右と左のこめかみの辺りの毛を剃ってみました(笑)。もちろん、監督と相談してですが。
小栗 旬:はい、大好きでした!
小栗 旬:勝手なところと、我がままなところがちゃんとリンクしていたと思います。演じやすかったです。
小栗 旬:いや、むちゃくちゃカッコいいですよ、ホント。僕が憧れていたけどなれなかった高校生像を体現できたことは、やっぱり気持ちよかったですし、すごく楽しかったです。
小栗 旬:そうですね。アクション監督の辻井啓伺さんに付いていただいて、パンチから始まりキックまで教えていただきました。あとはケンカなので、ギリギリで避けたり、ギリギリで殴ったり……とそんな感じでしたね。もちろん、手順はあるんですが、今回は格好良いアクションではなく、リアルなケンカに見えるようにしようと努めました。でも、途中でどうしてもこなれてしまうところがあって、そのバランスを取るのが大変でしたね。
小栗 旬:基本的に痛いのが嫌いなんですが、毎日痛かったです。それから、すぐに許してくれる監督ではないので、毎日怒鳴られていました(笑)。
三池崇史監督:小栗! そんなんじゃないだろう(笑)!
小栗 旬:嘘です(笑)。
小栗 旬:本当にただただ毎日、がむしゃらに生きさせてもらったなと思います。1ヵ月半~2ヵ月弱、久しぶりに体の奥から震えが来るような毎日を過ごさせてもらいました。
小栗 旬:本当に良い映画が出来たと思いますし、それぞれのキャラクターがすごく活きていました。とにかく、こんなにカッコ良い山田孝之は初めて観たという感じです(笑)。
やべきょうすけ:皆様、はじめまして。この世界に入って17年になるんですが、このように華やかな舞台に立ったのは初めてで、隣の高橋さんより緊張しております(笑)。控え室でだいぶしゃべったため、喉の調子が悪くなってしまいましたが、よろしくお願いいたします(笑)。
やべきょうすけ:感無量です。
やべきょうすけ:原作者である高橋さんから許可をいただけて、まず非常にうれしかったんですが、何せ多くのファンを持つ原作なので、「やべより俺のほうが(「クローズ」を)愛している」といったイタズラ電話がかかってきて辛かったです(笑)! 撮影自体は、素晴らしいキャストとスタッフの方々に出会えたことが本当にうれしくて、2ヵ月間、あっという間の撮影でした。4月に撮影に入って、それからわずか半年足らずで公開にまで持って行くことができたのも、皆様方のお力添えがあったからこそだと感謝の気持ちでいっぱいです。……あれ、ちょっと優等生すぎる感じですか(笑)?
やべきょうすけ:まず、今回の会見の進行表をいただいたのですが、「下ネタはNG」と書かれてありました。でも、僕はそういう下ネタが大好きなんですよね(笑)。大阪で撮影していたときの役者たちの夜の様子を暴露していいのかどうかすごく迷っているんですけど、自爆してしまいそうなのでここでは止めておきます(笑)。
毎日撮影が終わると疲労困憊してましたが、設定は高校生でも実際は皆さん20歳以上ですから、ホテルの自動販売機でレモンサワーを1本ずつ買ってきて、小栗君の命名ですが「レモンサワーの会」と称して、夜な夜な誰かの部屋に行って、今日の撮影を振り返ったり、「明日の撮影はこうしたい」だとか、常に「これで良かったんだろうか? これはどう伝わるだろう?」と、皆で話し合いをしていました。正直、これだけ熱い人たちに出会えると思っていなかったので、うれしかったです。……もうちょっと話して大丈夫(笑)? ただ、山田君だけは参加してくれなくて、いつも携帯電話で誰かと話していたので、誰と話しているのか気になりましたけれども(笑)。そんな感じで、現場以外でも、敢えて敵対するチームごとに分かれて距離を取ったりしながら、常に作品のことを考えて過ごした2ヵ月間だったなと思います。
黒木メイサ:はい。姉が原作をすごく好きだったので、その影響で私も小学生くらいのときに読んでいました。私は坊屋春道(「クローズ」の主人公)がすごく好きで、彼は私の理想の男性なので、かなり影響されていますね。
黒木メイサ:私が好きなのは坊屋なので(笑)。
黒木メイサ:男性同士の友情や関係性に憧れを持って見ていましたので、男性同士の間柄は邪魔したくないなとずっと思っていて、うまい具合にその間に入っていけたら良いなとは考えていました。
黒木メイサ:はい、そうです。今までにないヘンな緊張がありましたけれども、現場にいた方たちも一緒に音楽にノッてくださったので、楽しくやれました。
高岡蒼甫:原作が本当に好きだったので、それが映画になり、また、出させていただけたことにすごく幸せを感じています。
高岡蒼甫:一番は、不良といっても、良いワルと悪いワルがいると思うんですが、「クローズ」には良いワルしか出てこないところですね。中には屈折したワルも出てきますが、拳を交えることで良いワルになっていく、良い方向に変わっていきます。キャラクターとしてはみんな好きです。決して不良を肯定していない作品だと思いますね。
高岡蒼甫:原作を忘れていいんじゃないかと思ったこともあるんですが、やっぱり原作への思い入れが強かったので、そこを崩したくなかったということと、「クローズ」の世界を大事にしたいということでしたね。「クローズ」ファンの方が観ても、「あぁ、『クローズ』だね」と言ってもらいたいと思ったんですが、実際にそうできているかどうかは分かりません。
高岡蒼甫:ケンカのシーンが全て雨のシーンだったんですが、ブーツを履いていたので、時間が経つにつれて靴に水がたまって重くなってしまい、重りをつけて蹴っているような感じになって、足が上がらなくなってしまったんです。だから、もう少しストレッチをしておけば良かったなと思っています (笑)。
アクション・シーンの多かった(小栗)旬君と(山田)孝之君は、本当に大変だったと思います。僕はそんなにアクションはなかったほうなので。
高岡蒼甫:大阪にいたので、行ける所は行こうと、みなみや通天閣、甲子園のほうまで行っちゃったりもしました。エキスポランド、太陽の塔にも行きました。何をしに行っていたのかな……(笑)。
小栗 旬:僕、ジェットコースターに乗れないんですが、「ジェットコースターに乗れ」と言われて、「本当に無理」と言ったら、高橋努君と(高岡)蒼甫君の二人が「あ~あ、そんなヤツについていけないな。明日から誰をトップとしてやっていけばいいんだろう」と後ろからボソボソ言ってて、結局乗せられたんですよ(笑)。
高岡蒼甫:そういう作り話を……(笑)。それでは僕らがいじめているみたいじゃないですか(笑)。
小栗 旬:完全にいじめですよ(笑)。
小栗 旬:……はい、大丈夫でした(笑)。でも、変な声が出てしまいました(笑)。
山田孝之:いや~、楽しかったですね。すげーカッコいいし、めちゃくちゃだし、とても楽しめました。
山田孝之:強いところも魅力的だし、仲間を想う気持ちなどもカッコいいし、全体的に良いと思います。
山田孝之:そうですね、すごく気を遣いました。みんながケンカする中で、芹沢がダントツに強いんだと見せるためにはどうしたら良いのかを考えまして、殴ったら3メートルくらい飛ぶとか、蹴ったら5メートルくらい滑っていくとかいろいろとやってもらったんですが、それ以外にも出来たことは、その中にいても1人だけ余裕があるというところを見せるしかないかなと思ったんで、あんなふざけた感じの半目でいました。
山田孝之:しましたね。みんな、してましたよ。焼肉ばかり食べていたので、筋肉と脂肪をつけてとにかくデカくなることを考えていました(笑)。
山田孝之:すごく楽しかったですけど、最初は自由すぎて不安になりました。今までそういう環境にいなかったので。言いづらい台詞があったときに、「監督、この台詞がちょっと言いづらいんですけれど……」と言ったら、「じゃあ、なしで」と(笑)。で、「代わりに何を言えばいいですか?」と聞いたら、「好きなように」とおっしゃって。全てを役者に託してくれるというのはすごくありがたいことで楽しいんですけど、それに慣れるまで何をしたらいいのか、何を求められているのか考えてしまいました。
山田孝之:「貧乏人は強ぇぞ」(笑)。小栗君が「貧乏人!」と言ってきたので、とっさに……(笑)。基本的に今回はみんな、ほとんどアドリブでした。小栗君なんて台本読んでないですから(笑)。
小栗 旬:いやいや、めちゃくちゃ読みました(笑)。ただ、監督から「その瞬間に言いたければ言えば良いし、言いたくなければ言わなくて良い」と言われたので、はい(笑)。
山本又一朗:ちょうど昨年の春に高橋ヒロシさんが書かれた「クローズ」を2日半で読破しまして、大変に感銘を受けました。何とか映画化したいと試行錯誤しまして、もちろん、最初に出版元の秋田書店さんにご相談しに行ったんですが、「絶対に映画化されることはないでしょう。原作者はそういう話を聞く気もないし、あなたに会う意思もありません」と言われましたから、そこから相当なドラマがあったということは想像できると思います。
それから夏になりまして、そこに座っているやべきょうすけが、情熱を持って高橋さんと映画の話をして、高橋さんも「もし万が一、映画化するようなことがあれば、やべ君と」とおっしゃっているという話を聞きまして、「1回会わせてくれないか」と、やべさんと一緒にお会いする機会をいただきました。高橋さんはオープンに何でも気さくに話をしてくださいましたが、「これを映画化するのは難しいのではないか」とおっしゃいました。もちろん、それまでにメジャー各社、プロデューサーたちが、映画化したいとお願いに上がっておりましたから、私のほうでも簡単に映画化させていただけるとは思っておりませんでしたが、とにかく「情熱はありますから」という少年っぽいアプローチも出来ないですし、やべ君と「この作品をもっと深く理解したい。この作品を映画化するということはどういうことなのか」とじっくり話し合いました。まして、この映画を大きなものにするとなると当然、出資していただく会社や、大きな宣伝力を持った方々に参加していただくことが望ましいわけです。
かつて『ビー・バップ・ハイスクール』という不良映画がありましたが、そういう系統の作品を、果たして大手の会社がメジャーな作品として受け入れてくれるのだろうか、いじめや校内暴力が問題となっている時代にあって、こういう映画を作ることができるのだろうか、と考えたりもしました。でも、原作に戻ってみると、この中では弱い者いじめをする者など一人もいないんですね。みんな、自分より強いヤツに向かっていくんですよ。高校時代は金もなければ地位も関係ありませんから、自分がどのぐらいの人間なのか、どのくらいの価値を持っているのか、どのくらいの人生を生きられるのかを模索しながら、自我の芽生えた少年たちが損得なしで、自分の居場所を鉄拳一つに求めた生き様が描かれているわけですから、悪かろうわけがないんです。
いじめとは無関係の世界がそこにあると確信し、原作の権利も取れていない段階でしたが、TBSの映画の企画担当である濱名一哉氏に「ぜひこの映画を大きなものにしたい」と話をしました。でも環境がきちんと整って、こういう映画をこういう風に作るんだという見通しを立てることによって、ようやく映画化が実現していくわけです。映画プロデューサーは時に力技を使う必要があります。大勢の読者がついている原作の権利をいただいた後に、きちんと展開できるかどうかが重要なのです。そんないきさつを経て、高橋さんとお会いすることができました。そのときも「映画化はしないよ」と言われましたが、朝4時頃まで一緒に酒を飲みながらダーツをして、何もないまま帰ってきました。ですが、「映画化はしない」という結論だったにも関わらず、私とやべ君は脚本のアイデアについて話し始めました。「どうすれば新しく面白い映画を作ることができるんだろう?」と。
ここにいる方々は一人ひとり、私と非常に関係性の深い方ばかりです。三池監督とはずっと一緒に仕事がしたいと願っていまして、当時は『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』の製作の真っ最中で、そんなときに別の映画の依頼をするのは非常識この上なかったんですが、承諾していただきました。それから、小栗、山田はどうしても揃えたかったんですね。小栗は自分の事務所の役者ですから、昨年の年末に「絶対にこれをやりたいんだ」と話していたのを記憶しています。山田孝之君はずっと仕事をしたいと思っていた一人で、これまでに3回目オファーしていて、今回はまさに彼がやってみたかった仕事ということもあって、3度目の正直にして想いが叶いました。そして、高岡君はモノホンっぽいと言ってはなんですが、この手の高校生ものをやるんだったら彼は絶対に外せないということで、早い段階で打診をしました。やべきょうすけは、まさか詰め襟を着るわけにもいきませんから、「クローズ」の世界観を背負った大人の役をやってもらうことに成功しました。それから、高橋さんの話によりますと、「全シリーズの中で、ひとコマも女性の絵を描いていない。通行人さえも、ウェイトレスでさえも女性はいない。わずかに、ヤスというキャラクターのお姉さんの写真が1枚だけ出ているかもしれない」とおっしゃるので、「どうしてですか?」と訊ねると、「俺、女描くの下手なんだよね……」と(笑)。そういうわけで、本来女性は登場しないわけですが、これは映画ですからもう少し間口を広げて、女性が出てくるというのも良いのではないかなと、紅一点を黒木メイサにやってもらうことになりました。
今日、ここにはいませんけれども、29歳の武藤将吾という脚本家にたった2ヵ月半で脚本を書き上げてもらいました。彼には死にそうな思いをさせましたけど、おかげで面白い本が出来ましたので、「あとは監督、よろしくお願いいたします」ということで、三池監督に預けてここまでやってきました。面白い作品が出来たと自負しておりますが、ぜひ皆さんのお力をお貸しいただければと思っております。今日は本当にありがとうございました。
小栗 旬:僕は本当に山田君に殴られました(笑)。それは僕の自業自得でもあります。危ないと思った瞬間には大きな声で「ストップ!」と言おうと散々僕が言っていたんですが、すっかり手を忘れてしまったにも関わらず殴りに行って、それをかわされた結果、強烈なパンチをいただいてしまいました。顔以外は、ほとんどがアザだらけでしたね。
山田孝之:小栗さんを殴ってしまいました(笑)。小栗君が悪いのが7割、僕が3割というところですかね。基本的に、二人だけじゃなく他の人を相手にするときも、顔以外はある程度入れていこうという流れになってました。ボディは入れられてもそれほど痛くないですし、少し入れられたほうが痛い演技が出来るということでやっていました。
小栗 旬:仲直りしました(笑)。……というより、もともと仲は悪くないです(笑)。
山田孝之:仲良しです(笑)。
一体いつ休んでいるのか……と思えるほど、次から次へと精力的に映画を撮り続けている三池監督。ものすごく大変な撮影だったという前作からすぐに本作に入ったのも、よほどの想いがあったからこそなのだろう。それにしても、誰よりも熱かったのが山本又一朗プロデューサー。これほどの熱弁はめったに聞かれないと思うほどの語り口で、その情熱がひしひしと伝わってきた。これは、それほどに男たちを熱くする“男前”な映画なのだ。
(文・写真:Maori Matsuura)
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