インタビュー・記者会見等、映画の“いま”をリポート!

Cinema Factory

Cinema Flash





広告募集中

このサイトをご覧になるには、Windows Media Playerが必要です。
Windows Madia Player ダウンロード
Windows Media Playerをダウンロードする

インタビュー

トップページ > インタビュー > 『バウムクーヘン』柿本ケンサク監督 単独インタビュー

柿本ケンサク監督 単独インタビュー

2007-10-08 更新

カワイイ系の話にしたかったので、タイトルは後からノリで決めました

バウムクーヘン

柿本ケンサク監督

1982年香川県生まれ。学生時代から自主映画やMVで活躍、注目される。バンタン専門学校卒業後は、中野裕之の映像ユニットに参加。現在では、映像作家として多岐にわたり活躍中。『バウムクーヘン』は、『スリーピングフラワー』『colors』に続く長編映画3作目に当たる。

9月29日より渋谷Q-AXシネマにてレイトショー公開
(C)2007バウムクーヘン製作委員会

 ユニークなダメ3兄弟とキュートな3人の女の子の恋模様を描いた『バウムクーヘン』が公開される。監督は弱冠25歳ながら長編映画3本目の柿本ケンサク。PVやCMなどでも活躍するマルチ映像クリエーターに、不思議な魅力の本作について聞いてみた。

-----映画監督になろうと思ったきっかけは?

 子供の頃から『インディ・ジョーンズ』とかビデオで映画をたくさん見ていたので、中学の頃にはいつかは映像や映画の仕事をしたいなと思っていました。何度もそう言っているうちに、馬鹿だから自己暗示にかかってしまい、実際にやってやろうと思ったわけです(笑)。

-----バンタン専門学校出身の映画監督の方は珍しいですね?

 新しくできた学校なので僕がやっと二期生です。この先は増えてくるかもしれません。

-----学校を卒業されてからは?

 もちろん映画はそんなに頻繁に撮れるわけではありませんから、常に撮れるような体制にしつつ、生業としてはミュージック・ビデオやスチール 写真やCDジャケットの制作などをやっていました。

-----今回の映画は何本目ですか?

 3本目で、皆公開しました。規模は小さいですが。

-----『バウムクーヘン』のストーリーを考えたきっかけは?

 発端は、最初に撮った映画『colors』に出演していたマメ山田と山本浩司と本多章一の3人兄弟は馬鹿だよねぇといった話です。この3兄弟で映画を作るのならどうしようかなという妄想から入り、出来上がったわけです。

-----『バウムクーヘン』というタイトルは、ユニークですね?

 ストーリーは一生懸命考えますが、この3人兄弟のビジュアルから、“ちょっとダサくてカワイイのは何か?”を何となく考えました。カワイイ系の話にしたかったので、登場する世界が重なっていて、まるでバウムクーヘンのようだというところからつけました。バウムクーヘンを見ていると幸せになるような気がするし、実際に結婚式でもよく引き出物として使われますからね。この映画のテーマは“幸せ”ですから。

-----ロケ地となった江ノ島近郊のいい感じの町並みやお店が出てきますが、ご自身がなじみのある場所なのですか?

 特になじみはありませんが、あの辺には独自の緩さがありますよね。友人のサーファーなども住んでいますが、独特な空気感が好きですね。この映画も肩肘張っている作品ではないですし、どちらかといえばカッコ悪いので、全体の空気感は合っていると思います。

-----ストーリーは緩い感じで進んでいきますが、撮影で一番大変だったのは?

 コンビニのシーンが一番大変だったかな? 今となればもっと考えて撮ったほうが良かったなと思うのですが、撮影当時は22、23歳でしたから。役者も大変だったと思います。

-----いくつかのストーリーが並行して進んでいく脚本ですが、判り辛くならないような苦労などはありましたか?

 役者の人は複数のキャラクターを演じないといけないので大変だったと思いますが、僕は(一人の役者が演じ分ける複数の役の)ギャップを考えたりしたので、逆に楽しかったですね。

-----今回の映画でも、マメ山田さん、山本宏司さん、本多章一さんを主役に選ばれた理由は?

 マメ山田という人とはプライベートでも仲がいいのですが、何に対してもフラットで気取っていないし、スケベ親父だし、世界に対してひねくれた見方をしていない人です。たぶん修羅場を潜ってきていると思いますが、単純に尊敬できる人です。僕が言っても伝わらないことでも山田さんの言葉ならすんなり伝わることがある、そんな人です。
 山本君にはすごい才能がありますね。天才的です。ファッションモデルではないですが、どんな変な服でも着こなしてしまいます。まるで漫画のキャラクターみたい。本人はえらく真面目なのですが、周囲の人は幸せになるほど笑えます。そういうのもひとつの才能ですね。 本多は『バウムクーヘン』で演じたヒロトみたいな人間で、まんまなんですよ。すごく良い奴ですが、ひねくれていたりします。若い俳優はたくさんいますが、彼はすごく頑張っているし、期待もしています。彼とはスタートラインが一緒なんですよ。僕にとって初めての商業作品『Straw Very Short Films』という短編で、彼も初めての主演をやりました。山本君もそうですが同じ事務所なので、プライベートでも腐れ縁ですね。

-----3人の女性については?

 (一色)紗英さんとは初めてですが、実際にお会いすると本当におしゃれな方で、沙希の役のままだと思いました。いい意味で自分自身を持っていますし、撮影当時は29歳でしたが、精神年齢や人生経験はもっと上のような気がしました。桃生亜希子さんは、僕が手伝っていた中野裕之さんの作品にも出ているのでこちらからの影響も大きいのですが、すごく信頼している仲の良い俳優さんです。今宿麻美さんは、『colors』や『スリーピングフラワー』にも出演してもらいました。皆知っている人たちですから、脚本の段階から半ば当て書きのような感じでした。

-----間もなく公開を迎える今の気持ちと、今後の予定は?

 公開といっても、撮影してから1年半ぐらい経っていますが、やっとデビューというか、本当にうれしいです。これ以降は映画を撮っていないので、そろそろ次の作品を撮ろうかな、撮りたいなという気持ちです。

-----この映画がヒットして、多くの人に観てもらってから次作のクランクインを迎えられればいいですね。

 多くの人には観てもらいたいですし、ヒットしなければ次の作品が撮れないかといえば撮れないでしょうが、だったらそれまで。そんな感じです。今までもヒットするような映画は撮っていませんから、その辺は自覚しているつもりです(笑)。

ファクトリー・ティータイム

観終わった後にはなぜか温かい気持ちになってしまう、レイトショーにはぴったりの作品。秋の夜、劇場に足を運んで見てほしい。
(文・写真:Kei Hirai)


関連記事

Page Top