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ドイツの怪優ウド・キアー主演『スワンソング』、8月26日(金)より公開!

2022-08-23 更新

スワンソングswansong
©2021 Swan Song Film LLC

 人生に悔恨を残さぬために、伝説のヘアメイクドレッサーが親友のための最後のメイクへ――。実在の人物をモデルにしたハートフル・ロードムービー『スワンソング』が、8月26日(金)より全国順次公開となる。主演は、エキセントリックな美貌で数々の監督に愛され、ラース・フォン・トリアーのほぼ全作に出演しているほか、世界中で活躍するドイツの怪優ウド・キアー。実在したゲイのヘアメイクドレッサーをエレガントかつゴージャスに演じて本領を発揮、キアーの新たな代表作になることは間違いない。

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誰もが向き合う人生最後の決断を胸に、白鳥は飛び立てるのか?
勇気や愛に後押しされ、人は人生を歩み続ける――。

 ヘアメイクドレッサーとして活躍してきたパトリック・ピッツェンバーガー、通称“ミスター・パット”にとっての「スワンソング」は、はたしてわだかまりを残したまま亡くなってしまった親友であり顧客のリタを、天国へと送り届ける仕事になるのか?

 ヘアメイクの現役生活を遠の昔に退き、老人ホームでひっそりと暮らすパットは、思わぬ依頼を受ける。かつての顧客で、街で一番の金持ちであるリタが、遺言で「パットに死化粧を」とお願いしていたのだ。リタの葬儀を前に、パットの心は揺れる。すっかり忘れていた生涯の仕事への情熱、友人でもあるリタへの複雑な思い、そして自身の過去と現在……。


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 ゲイとして生き、恋人との生活も送ったパットだが、最愛のパートナー、デビッドを早くにエイズで失っていた。リタの遺言によって、パットにはさまざまな思い出が去来していく。人生の最後に、人は何を残すことができるのか? そんな疑問に突き動かされるように、老人ホームを抜け出したパットが、多くの人と出会い、過去の自分と向き合うことで決意を固めていく。それは、ささやかな決意かもしれない。しかし、いつか誰もが向き合うことになる、人生最後の決断でもある。

 何かと話題になる「終活」というトピックを描くのはもちろんのこと、多くの人が人生で迷いを感じた時に背中を押してくれる、そんな勇気を与える感動作、それが『スワンソング』である。


実在の人物をモデルにしたハートフル・ムービーの誕生!

 パトリック・ピッツェンバーガーは実在の人物がモデル。監督のトッド・スティーブンスは17歳の時にオハイオ州サンダスキーのゲイクラブで、ミスター・パットが踊っているのを見て、衝撃を受けたという。映画の道へ進んでから、いつか同郷のこの人気ヘアメイクドレッサーを題材にしたいと思い続け、その念願を叶えたのだ。自身もゲイであるスティーブンス監督による本作は、エイズが蔓延した1990年の時代から現在に至るゲイカルチャーを真摯に見つめ、ゲイカップルの描き方にも愛が満ちあふれている。社会的な立ち位置や相続問題などリアルなトピックも物語に取り込むことで、LGBTQ+映画の一本として、この『スワンソング』は誠実な仕上がりが達成された。


パットを演じるのは映画界の秘宝、ウド・キアー。
まさに“スワンソング”ともいうべき新境地!

 自身の内面と葛藤しながら、観る人に感情移入させる、まさに俳優冥利につきる主人公のパット役。これを託されたのは、ドイツ出身でハリウッド作品でも活躍する世界的名優、ウド・キアー。初期の『悪魔のはらわた』から、近年はラース・フォン・トリアー作品まで怪優ぶりも発揮するキアーが、その強烈な個性はそのままに、人生最後の仕事への逡巡をエモーショナルに表現。時には激しく感情をあらわにして、時には静かに哀感を漂わせ、共感を誘う名演技を披露する。共演は『プロミシング・ヤング・ウーマン』のジェニファー・クーリッジ、TVシリーズ「アグリー・ベティ」のマイケル・ユーリーら。ユーリーはゲイであると公言した俳優、TVプロデューサーとしても知られる。


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 この『スワンソング』は、サウンドトラックも魅力。「あなたしか見えない」という日本語のカバー曲も生まれた、メリッサ・マンチェスターの「哀しみは心に秘めて(Don’t Cry Out Loud)」をはじめ、ジュディ・ガーランド、シャーリー・バッシー、ダスティ・スプリングフィールドなどの名曲が使われるのだが、その歌詞がストーリー、およびパットの心情に見事にシンクロしている。観終わった後も、歌詞とメロディが頭の中でリフレインするという、ニードルドロップ(既存の曲を映画音楽に使用すること)の成功例と言える一作だ。

 人は誰もが年齢を重ねる。そして時代とともに社会や生き方、価値観は大きく変わっていく。その中にあって、不変な何かもある。自分の使命が終わったと思っていたパットがもう一度、実力を示そうと決めたように、命が続く限り、人は新たな出会いと発見を繰り返し、希望を見出すことができる。そして知らず知らずのうちに、誰かの人生を変えることだってできる。『スワンソング』は、観る人すべてが“変わる”ポテンシャルをもった映画である。




(オフィシャル素材提供)



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