2022-08-20 更新
林家たい平
人気落語家・林家たい平主演映画『でくの空』がユナイテッド・シネマ ウニクス秩父及びユナイテッド・シネマ ウニクス上里にて先行公開中。8月26日(金)からのアップリンク吉祥寺での公開を前に、主演の林家たい平のオフィシャル・インタビューが到着した。
誰でもその主人公と同じような立場になりうると思いました。特に、震災などで「あの時ああやっていれば」だとか同じような想いをたくさんの方がお持ちだと思うんです。なので、映画の中の話ではなくて、本当に身近に起こりうることが題材になっていると思いました。自分でもそうなったらどうなるんだろうということも考えながら本作に取り組みました。
島監督は、いつもの僕ではないところを見てくださっていて、何かを感じて声をかけていただいていると思うので、監督を信じて演じました。もう一人の自分は、意外と普段しゃべらないで1日いても平気なくらいなんです。人付き合いも良さそうに見えるんですけれど、意外に人見知りだったりして、そういうところを監督に見抜かれていたのではないかと思います。
びっくりしました。島監督から、「お父さんはペーさんにやってもらう」と聞いた時に、「大丈夫かな」というのが第一印象でした。セリフがたくさんありますし、そういうシリアスな芝居をしているところを見たことがなかったので、最初は「えっ僕のお父さん?」と思っていたのですが、役にどんどんどんどん入っていき、終わってから、朴訥としたお父さんはペー師匠じゃなかったら描けなかったのではないかという気がします。素朴なところがすごくいいんですよね。変に「いいお芝居をしよう」としていなくて、「たい平のお父さんになりきろう」という感じがすごくよかったです。
僕自身、歌と俳句をやっているんですが、披露する歌が結構難しい歌で、何十回歌ったか分かりませんけれど、監督が「もう今のでオッケー」とおっしゃっても、自分で納得がいかなくて、何回も何回も撮り直させていただきました。
“今どういう顔をしているか”だとか、あまり形にこだらないということです。修行中、落語家の大先輩に、「鏡を見ながら落語をやるな」と言われたんです。それは、顔を作ってしまうから。「心を作れば、それが表情に表れるから」と落語の時に言われていまして、それが今回の参考になりました。きっとそこに顔の表情として表れているはずだと自分を信じて演じることが大切だと思って演じました。
美の山というところに息子と登るシーンで、秩父の夜景を望んだんですけれど、小学校以来、美の山に登りました。遠足で行ったので、昼間には行ったことがありましたけど、夜景があんなに美しいとは知りませんでした。故郷の夜景を見たのは何十年ぶりだったので、ジーンときました。
また、みかん狩りでは行ったことのある風布という場所があるんですが、日本水(やまとみず)が湧き出ているところに行く途中が、桃源郷のようなところで、こんな身近にこんな夢のような里山があるのかと感激しました。
いつも島監督は「地産地消の映画を撮りたい。地元の方でも地元の良さに気がつかないから、良さを皆さんに気づいてほしい」と言って映画を撮られているんですが、今回はそれ以上に、日本全国の人、世界中の人に観てもらいたいと思っています。何かすごい事件やアクション・シーンがあるわけではないんですけれど、市井の人間が普通に暮らしている中で直面することを周りの人たちの力を借りて乗り越え、もう一度立ち上がっていく。たくさんの人に観ていただいて、この映画を機に、もう一歩前に進もうと思ってくださる方が一人でもいたらいいなと思います。
日常の中に幸せがある、一人で生きているようで一人で生きているわけではない、ということを自分も演じながら感じましたし、そこを感じ取っていただければと思います。
当たり前の日常の中に感動や挫折や苦悩やいろいろなものが詰まっていて、それに向き合いながら生きていくのが人生だし、それがなかったら人生楽しくないし、生きていくってとても楽しい幸せなことなんだなというのを感じていただければと思います。
(オフィシャル素材提供)
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