2022-05-08 更新
サハラ・カリミ監督(ZOOM出演)、南 圭介(MC@劇場)
ヴェネチア国際映画祭に正式出品された、アフガニスタンの3人の女性の試練を描く『明日になれば~アフガニスタン、女たちの決断~』がアップリンク吉祥寺にて公開中。5月7日(土)の公開記念舞台挨拶には、ローマよりZOOMでサハラ・カリミ監督が登壇。「宇宙戦隊キュウレンジャー」鳳ツルギ役やNHK高校講座「地理総合」出演の俳優・南 圭介がアップリンク吉祥寺で司会を務め、本作に込めた想い、昨年カブールがタリバンに制圧された際にウクライナに助けてもらった話、日本人に期待することを聞いた。
冒頭、現在ローマにいるカリミ監督が「本日は来ていただいて本当にありがとうございます。このように私の映画が日本で上映する機会ができたことを本当に幸せに思います。過去20年間、日本人や日本政府がアフガニスタンの発展のサポートをしてくださり、アフガニスタンと日本は良い関係がありました。現在アフガニスタンではタリバンが権力を掌握してしまったことで状況は悪くなっているんですが、日本の皆さんには、無視せずに、今まで達成してきた様々なものを見捨てないで、アフガン女性に手を差し伸ばしていただくという意味でも、私の映画が上映されることは大変重要なこと、喜ばしいことだと思っています」と挨拶。
「現在アフガニスタンで大きな闘いとなっているのが女性の権利問題です。制限に関して、宗教団体のリーダーたちが女性の権利管理の新しい、さらに厳しい制限を検討している最中だそうです。日本の人々にこの映画を観ていただいて、アフガニスタンの状況を考えていただいて、声をあげていただければと思います」と想いを語った。
本作を作った理由を聞かれた監督は、「私はどんな国であってもどんな人であっても物語を語るということは大事なことだと思います。アフガニスタンに関する映画というのは、ステレオタイプが多いんですけれど、もちろんその中に真実もある程度含まれています。けれども、母性や妊娠や堕胎についてのテーマに関してはまだ語られていませんでした。私はアフガニスタン出身ですけれど、幸い物語を語るという機会に恵まれたので、アフガニスタンの女性のストーリーを語るというのは自分の義務だと思いました。今まであったステレオタイプではない別の視点を提供するのが私にとって重要だったのです。アフガニスタン国内で作られた映画はとても少ないんですけれど、幸い私がアフガニスタンにいた際にこの映画を撮ることができました。本作は全てアフガニスタン国内で撮影されています。出ていただいた役者さんたちも全員アフガニスタン人です。新しいストーリーを世界にお届けできると思いました」と回答。
本作の日本での上映での収益の一部は人道支援、復興支援のためにウクライナ大使館に寄付される。監督は、「本作がウクライナに少しでも助けられることは大変嬉しいことです。というのも、カブールにタリバンが入ってきて、アフガニスタンから逃げなくてはいけなくなった時に私の脱出を手伝ってくれたのは、ウクライナ政府の飛行機だったからです。そのため、感謝の気持ちも込めて、少しでも恩返しができればと思います。アフガニスタンではタリバンと直接的な闘いとなっているわけではないのですが、そういうことが起きている国で女性や子どもが生き延びるのは大変なことです。ですので、女性や子どもたちをはじめとした人々が生きながらえるよう手助けをしていただければと思います。私たちのペルシャ語では、『少しの水が一滴ずつ集まると海になる』というようなことわざがあります。少しかもしれないですけれど、手助けをしていただければと思います。誰かの人生を変えることができるかもしれないですし、自分の周りの方にも手伝おうと語りかけることで、小さな力も大きな力に変わることがあります。アフガニスタンやウクライナなど苦労している人たちには必要なことです」と熱いメッセージを送った。
(オフィシャル素材提供)
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