2022-09-30 更新
寺島しのぶ、広末涼子、廣木隆一監督
瀬戸内寂聴、井上光晴、そしてその妻。実在した人物をモデルに、男女3人の特別な関係を井上夫妻の長女である作家・井上荒野氏が綴った傑作小説を映画化。『あちらにいる鬼』(11月11日公開)の完成披露試写会が9月29日(木)に都内で行われ、主演の寺島しのぶ、共演の広末涼子、そして廣木隆一監督が登壇した。
ともにビビッドな赤色のファッションで登壇した寺島と広末。文学に導かれ求め合う主人公・長内みはる(のちの寂光)役の寺島は「撮影は今年5月で髪の毛を剃ったのも5月。こんなにも髪の毛が伸びてしまうなんて……。生きているんだなあと思いました」と笑わせつつ最速のお披露目に大喜び。白木篤郎(豊川悦司)の妻・笙子役の広末は「とても素敵な映画で自分としても挑戦をさせてもらった役。ぜひとも本編を楽しんでいただきたいです」と新境地に手応えを得ていた。
出家を決意し、頭を丸める場面では実際に地毛を剃髪した寺島。「私は挑んでいる感じだったので大丈夫でしたが、メイクさんやプロデューサーは剃る前から泣いていて、私が『頭を剃るひと時をみんなと味わえるのは幸せ』と言ったらみんな号泣して、試合前に国歌斉唱で泣いている選手みたいでした。変なアドレナリンが出ていたと思います」と当人はケロッと回想して笑いをとっていた。
廣木監督は「寺島しのぶさんは『ヴァイブレータ』で出会ってそれから何本かやって、今回もご一緒できて良かったです。広末さんは初めてですが、二人の間にいて怖かった……。それがいい感じに出ていて抜群のバランスでした」とキャスティングに大満足。「怖い」と評された広末は「笙子は耐え忍ぶ妻のように見えるけれど、怖く見えるように演じたつもりはありません。でも男性から見たら怖いと思われるみたいです……」と苦笑いだった。
虚言を弄しながらみはると本妻・笙子の間を行き来する篤郎について寺島は「普通、浮気相手には奥さんの名前を言わないというルールがあるはずなのに、篤郎は言う。それが凄い。最初はイライラしたけれど、撮影が進む中でだんだん篤郎は奥さん込みで浮気にやってくるみたいに感じました」と感想を述べた。妻である広末は「豊川さんからは一度『ごめんね』と言われました。申し訳ない気持ちになったとおっしゃっていました」と反省する豊川の姿を明かしながら「この映画を観ると『ウチの旦那さんが豊川悦司さんじゃなくて良かった……』と思うはず。女性から非難される役ですが、豊川さんは悪くはありません」とフォローしていた。
完成した本作を観た際には「昼と夜2回観たけれど平常心ではいられず。自分の粗ばかり目についてしまい内容も1/3くらいしか入ってこなかったです」という寺島だが、「その後に広末さんが涙を流して会場から出てきて『映画に感動した!』と。どうしてこの人はこんなに切り替えられるのかと思いました(笑)」と客観的に本作を鑑賞した広末の反応に驚き。それに広末が「本当に寺島さんが素晴らしくて3ヵ所は号泣します!」と訴えると、「一世を風靡したスーパースターだから底力に溢れている!」とポジティブな資質を絶賛。すかさず広末は「撮影が終わったらもういいんです! 映画は監督のものなので私は振り返らない!」と、秘訣を明かしていた。
また、今回体調不良で欠席した豊川からは「恋愛映画であり伝記ものではありません。一人の男と二人の女の不思議な恋愛映画です。観終わったころには心地よい雷に触れたような気分になっているはずです」とのコメントがサプライズで寄せられた。これに寺島は「いい文章を書くね!」、広末は「手紙でも色気がある!」と大喜びだった。
最後に主演の寺島は「人の縁(えにし)というものは尊くて美しいもの。縁は切れるものでなくて、別れたり出会ったりが人生なのかとさらっと映画として成り立たせている廣木監督の映像はとても素敵」と胸を張り「11月11日の初日にたくさんの方々に来ていただき、大きな出発ができるよう、応援をよろしくお願いいたします」と大ヒットを祈念しイベントを締めた。
(オフィシャル素材提供)