2022-03-19 更新
80年代USハードコア/パンクの直撃を受けた面々によって1984年、マサチューセッツ州で結成されたダイナソーJr.。アメリカのアンダーグラウンドからメジャー・シーンまで、80年代末から90年代のオルタナティブ・ロックの巨大なうねりの中核として活動、しばしの活動休止を経て現在も新たな音楽を生み出し続けている轟音バンドだ。そのダイナソーJr.の歴史を、オリジナル・メンバーであるJ・マスキス(G./Vo.)、ルー・バーロウ(B.)、マーフ(D.)の三人の関係性にフォーカスしながら貴重な過去のフッテージを交えて描く、バンド自身が製作に関わったバンド公式のドキュメンタリー映画『ダイナソーJr./フリークシーン』がいよいよ3月25日(金)より公開となる。日本での公開にあたり、ダイナソーJr.のメンバーであるJ・マスキス(G./Vo.)、そしてJ・マスキスの義理の兄弟でもある本作の監督フィリップ・ロッケンハイムから日本のファンに向けた喜びのメッセージ動画が届いた。
この度解禁のJ・マスキスのメッセージ動画は、とても彼らしい、言葉少ない動画であるが、そもそもJ・マスキス本人がセルフィーでメッセージをくれるということ自体が非常に貴重で驚きである。本人のバックで振る雪がとてもいい雰囲気を演出している。また、フィリップ・ロッケンハイム監督のメッセージ動画は、J・マスキスとは打って変わって、モノクロ、フィルム風の加工がされた、力の入ったものが届いた。「“機能不全の家族”の3人の波乱万丈な人生を見てほしい」「大音量の映画館で楽しんでほしいね」と語っている。
J・マスキスのギター音があまりに巨大だったため、リズム隊の二人は自らの音が聴こえるべくボリュームを上げるしかなかったというダイナソーJr.の凄まじい轟音は、ニルヴァーナやサウンドガーデン、パール・ジャムなどのグランジ・ムーブメントが勃発するより前にソニック・ユースに見出された。2ndアルバムはUSハードコア界の総統ともいうべきグレッグ・ギン(ブラック・フラッグ)運営のSSTレコードからリリース。巷に溢れたハードコア・サウンドとは一線を画す、暗く、ヘヴィでギターまみれな音の洪水でありながらもポップでキャッチーさを備え、そしてニール・ヤングやニック・ケイヴ的とも云われる無気力極まりない唯一無二のボーカルが欧米の地下世界で絶大な支持を得た。しかし、ツアー中のある出来事をきっかけに三人の関係性は崩壊。ルーとマーフは次々と脱退、新メンバーを迎えて活動を継続したダイナソーJr.はJ・マスキスのソロ色を強めていった。
ダイナソーJr.の音楽は、売れようとするものでもなく、他人に聴いてもらおうとするものでもなく、ルー・バーロウは「どのぐらい客が集まるか、どれだけの人が聴いてくれるのかと考えたことがない。俺たちは客を襲うためにライヴをやっていた」と語る。人気を獲得するためにギラギラするロックスター然としたバンドとは対極、音楽以外には一切関心がない三人のコミュニケーションは唯一、音楽を通じて図られる。そんな音楽だけで結ばれていたオリジナル・メンバー三人それぞれの正直な証言を引き出し、そして2005年以降再集結した現在までを、華美な演出を許さない愛情溢れる視点でまとめたのは、J・マスキスとは義理の親族にあたるフィリップ・ロッケンハイム。これまで100本以上のミュージックビデオを手掛け、ジム・ジャームッシュ監督作『ギミー・デンジャー』(16)にも撮影素材が使われるなど長年音楽映像の世界で活躍するベルリン在住の監督。またバンドの歴史を補完する証言は、キム・ゴードン(ソニック・ユース)、ヘンリー・ロリンズ(ブラック・フラッグ)、ボブ・モールド(ハスカー・ドゥ)、フランク・ブラック(ピクシーズ)、サーストン・ムーア(ソニック・ユース)、ケヴィン・シールズ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)などダイナソーJr.に近しいミュージシャンたち。80年代末から90年代にかけてオルタナティブ・ロックという巨大な渦の中心にいたダイナソーJr.の約30年にわたる心情、メンバーの関係性、として音楽をタイトに、丁寧に、誠実に描いた本作は、同時に人間の成長と友情の在り方も映し出すものとなった。
※『ダイナソーJr./フリークシーン』公開記念、『実演!バグ/ダイナソーJr.』が『ダイナソーJr./フリークシーン』と同日の3月25日(金)よりシネマート新宿にて1週間限定で公開決定!
ダイナソーJr.、5年振となる新作が完成。J・マスキスとカート・ヴァイルの共同プロデュースによる12枚目のアルバム『スウィープ・イット・イントゥ・スペース』、リリース
■品番:JAG366JCD
■定価:¥2,400+税
■発売元:ビッグ・ナッシング / ウルトラ・ヴァイヴ
■その他:世界同時発売、日本盤ボーナス・トラック2曲収録、解説/歌詞/対訳付
■More info:http://bignothing.net/dinosaurjr.html(外部サイト)
(オフィシャル素材提供)
関連記事