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『この街と私』
オフィシャル・インタビュー

2022-02-06 更新

永井和男監督


この街と私konomachitowatashi
©2019地域発信型映画「この街と私」製作委員会
配給:アルミード

 バラエティ番組を作るために制作会社に入社したのに、深夜に街の良さを紹介する番組「この街と私」を担当している23歳のADの葛藤を描く映画『この街と私』は、監督・脚本・編集を務めた永井和男の実話を元にした成長物語。この度、3月4日(金)よりアップリンク吉祥寺にて公開されるのを前に、監督・脚本・編集の永井和男のオフィシャル・インタビューが到着した。


永井和男監督

 1990年9月22日生まれ。大阪府出身。
 テレビ制作会社を経てフリーに。初監督作『くさいけど「愛してる」』は、国内外20以上の映画祭にて上映され、したまちコメディ大賞2015勝手にサポーター&観客賞、京都国際映画祭2015クリエイターズファクトリー劇映画部門優秀賞等を受賞。2018年、『霞立つ』が第1回滋賀国際映画祭グランプリ等を受賞。磯部鉄平監督作品では『予定は未定』『ミは未来のミ』等で脚本を担当している。


本作制作の経緯をお教えください。

 併映される『霞立つ』で映画祭に入選した際に、本作のプロデューサーから「よしもと制作で、葛飾区で撮影が決まっている沖縄国際映画祭で上映される地域発信型映画を作りませんか」というオファーをいただいて、「やりたいです」と答えたのがきっかけです。


葛飾をロケハンして、いかがでしたか?

 「ザ・PR動画」にするかどうかの葛藤がありました。最初(PR動画感は)「0でいい」と言われたので自分が以前から温めていた企画を持って行ったら、「もうちょっと葛飾らしさがいります」と言われました。その時に「確かにそうだよな」と思い、もう1回葛飾に行った時に、「この街の良さってなんだろう」とずっと考えながら劇中の主人公のようにいろいろな人に「オススメはどこですか?」と聞きました。(聞いているうちに)「行ってみな、分からんな」という気持ちになって、全部行ってみたんですよ。で、その中で面白いなと感じたところを切り抜いたので、絶対自分にしか切り取れない形になったなと思います。「あそこのお寺にプラネタリウムがあるんだって」と聞いて、行ってみたら、インターフォン越しに「今日やっていないです。それ全部ブログに書いてあるんで」って言われました。インターフォン越しにそのお寺の(狛犬の代わりの)恐竜とライオンの説明をされたその空間が一番面白いと思いました。普通の人だったら、「次来た時にプラネタリウム見せてください」と言うんですけど、インターフォン越しが面白いなと思えたのが、自分の中ではいい切り取り方だったなと思います。その感覚は今後も大事にしていきたいと思いました。
 (柴又と対岸の千葉県を結ぶ渡し船である)「矢切の渡し」も、実際にロケの日にやっていなかったんですよ。撮影の4日間の中で、「この日しかロケに行けない」となった日に、実際行ってみたら、船頭さんもいないし「本日休業です」っていうの状況だったんで、それをそのまま切り取ろうなりました。クランクアップ後に実景撮りで営業日にもう一度撮りに行って、エンドロールのバックに入れさせてもらいました。


“「あんま、ムリすんなよ」みんなそう言うけど、ムリしないと終わらないし、終わらないと怒られる”というセリフも、共感できたのですが、普段から思っていたことなのでしょうか?

 テレビ関係者には、「ディレクターとかプロデューサーによく言われる言葉ですね」と言われます。お芝居の技術も含めて、「こういうことを言いそう」ということで、ディレクターっぽいなと感じた宮田佳典さんとプロデューサー然としている伊藤慶徳さんをキャスティングしたので、それはすごく出せたし、実際に「早く帰れよ」「無理すんなよ」と言いながら、無理しないと終わらない仕事量を押し付けてくると自分が感じたのですが、「めっちゃ分かる」と聞く度に、「業界あるあるなんだな」と実感します。


彼氏がヒモでありながらすごくいい人ですが、監督の理想も入っているのでしょうか?

 主人公に感情移入させるために出てくる悪人というのは作りたくないと思っていて、彼氏も、人によっては今まで働いていなかったヒモの男だから、「それで大丈夫なん?」って思う人もいるだろうし、欠点と両方ある描き方だと思っています。めちゃくちゃ優しいいい人に描いたつもりはないんですけれど、その一面はいろいろな人にある一面なので、描きたいと思いました。理想というのは確かにそうで、恋愛関係だけじゃない、仕事だとかお互いの人生に影響し合える関係を理想としていて、彼氏が内定が決まったのは絶対主人公がいたからだし、主人公も彼氏に言われたことが刺さって行動していくから、影響し合える関係を描きたかったんだと思います。


本作でADの主人公が天竺鼠の川原克己さんに遭遇するように、監督も実際に川原さんと遭遇したことがあるというのは本当ですか?

 はい。僕がADをやっていた時に、実際に川原さんとエレベーターで二人っきりになったことがあって、ドキドキした時の感情をそのまま映画にしました。川原さんにオファーして、撮影の日に「こういうことが実際にあって映画にさせてもらいました」って言ったら、「覚えてるか!」って言われました(笑)。


主演の上原実矩さんと彼氏役の佐野弘樹さんのキャスティング理由を教えてください。

 オーディションをさせてもらって、脚本をそのままやった後アドリブで続けてもらった時に、二人は役のままで、脚本以上のものを出してくれたのが印象に残ったので、この二人だなと思いました。


第11回沖縄国際映画祭にてワールドプレミアとなりましたが、観客の反応はいかがでしたか?

 いろいろな映画祭に行く中で、もともとテレビ業界にいた人たちから、「めちゃくちゃリアルで嫌な思い出を思い出しました」という感想は結構聞きます。僕が実際にADをやっていたということもあって、テレビ関係や業界関係の人たちには響いているなと思います。


本作の見どころはどこだと思いますか?

 新人ADのリアル、業界のあるあるが見えるというのと、自分に実際に起きたことをすくっていっているんで、観光PR映画ではない葛飾という街の切り取り方が見どころだと思います。


読者の方々へのメッセージをお願いします。

 予告を見ていただいて、テレビ業界に興味があったり、テレビ業界で働いていたり、お笑い好きだったり、お笑い業界で働いている人たちにはリアリティがあって、感情移入できるポイントも少なくないと思うので、そういう方々に観に来ていただければありがたいと思います。



(オフィシャル素材提供)




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