2021-10-30 更新
犬山紙子(エッセイスト)
『ドリームガールズ』でアカデミー賞🄬受賞のジェニファー・ハドソンが歌姫アレサ・フランクリンを演じる、音楽エンターテインメントの傑作『リスペクト』(11月5日公開)のプレミア試写会&トークイベントが10月29日(金)に都内で行われ、本作で初めてアレサ・フランクリンに触れたというエッセイストの犬山紙子がゲストとして登壇した。
先んじて本作を鑑賞した犬山は「ダイレクトに染みわたるような歌声に圧倒された。ライブを見たような高揚感と共に、映画を観終わった後には、自分で自分をリスペクトできる作品。鳥肌の立つ映画でした」と大絶賛。差別と偏見蔓延る1960年代アメリカで自ら道を切り拓いたアレサ・フランクリンの強さにも共感し「映画を観た後に自分の中に小さなアレサ・フランクリンを召喚したら、きっと勇気をくれる存在になりそう。映画からは自分を肯定するポジティブなパワーがダダ漏れ。観たら必ずパワーをもらえるので、これはいい連鎖になる!」と太鼓判だ。
アレサ・フランクリンには、父親や夫という、最も身近にいる男性からの束縛やDVという不運もあった。しかし犬山は「DVを振るわれる関係性になると、共依存になってそこから抜け出せなくなるケースもある。それなのに彼女は自分の力で自立する決意を固めた。この映画は単なるサクセス・ストーリーではなく、困難から脱出しなければいけない辛さや、女性の戦いが描かれているので深く共感できる。そんな彼女の人生と地続きで生まれた楽曲の歌詞がより刺さる!」と自立に目覚めたアレサの姿をリスペクト。その強さの源については「自分の中に『歌うこと』という聖域があったからではないか。自分にとっての『ナチュラル・ウーマン』になれる場所がしっかりと確保されたから強くなれたのだと思う」と分析した。
2018年に76歳で亡くなったアレサ・フランクリンは、生前「映画で自分のストーリーを描くならジェニファー・ハドソンに演じて欲しい」と指名していたという。『ドリームガールズ』でアカデミー賞🄬助演女優賞を受賞し、本作で見事アレサ・フランクリンを演じたハドソンはアレサ・フランクリンの代表曲『リスペクト』『シンク』『ナチュラル・ウーマン』『アメイジング・グレイス』などを劇中で熱唱する。
これに犬山は「言語が違うのにこんなに楽曲が染みるのはなぜか……。それはジェニファー・ハドソンがアレサを心からリスペクトし、彼女の人生の文脈を自分の中に落とし込んで、かつハドソンの技術が奇跡みたいに重なり合ったから。生で聞いているような迫力がありました。どの曲も骨身に響いてくるし、『アメイジング・グレイス』にはどんな人にも響く普遍性すら感じる。もはやアレサ・フランクリンとジェニファー・ハドソンによる相思相愛の魂のセッション!」と時代を超えたシスターフッド感に大興奮していた。
アレサ・フランクリンの逞しさは、現代に生きる私たちにも響くものがあるという。「コロナ禍で女性の格差が可視化された今、差別と戦うアレサ・フランクリンの姿からはパワーがもらえる。今こそ必要な映画であり、私にとっても今最も欲しい養分のような作品でした」と熱く語る犬山。「パワフルだが優しく寄り添ってくれるようなストーリー。ゴスペルを歌いながらアレサ・フランクリンが自尊心を取り戻していく様にはカタルシスがあり、心が浄化される」と確信する。
犬山は現在4歳の子どもを育児中で「この作品を通して楽曲『リスペクト』に込められた意味と歌詞を知ったので、4歳の娘と一緒に親子で聴きたい。娘にはこの楽曲にあるように、自分自身のことを“リスペクト”する人になってほしい」とも話す。日本公開に向けて「観終わった後に自分で自分をリスペクトしたくなるし、自分自身を受け入れることの重要さが、いろいろな形で表現されている映画。楽曲の素晴らしさもさることながら、自尊心がぺちゃんこになったところから、それを取り戻していく物語でもあるので、辛い思いを抱えている方、しんどい方、元気が欲しいと思っている方にテキメンに効く映画だと思います」と終始『リスペクト』をリスペクトしていた。
(オフィシャル素材提供)
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