2021-10-16 更新
サンディー海、川添ウスマン、川添ビイラル監督
純粋な目線で、どこにでも居るハーフの日々の生活を通して、アイデンティティーや日本社会に対する複雑な気持ちを誠実に描いた『WHOLE/ホール』。10月16日(土)の公開記念舞台挨拶には、主演のディー海、脚本・主演の川添ウスマン、川添ビイラル監督が登壇し、日本に住むハーフの葛藤や、大坂なおみ選手や八村 塁選手の発信によって、どのように変わってきたかなどを語った。
冒頭、脚本・主演の川添ウスマンが、「本作は僕らの初中編映画で、それがアップリンク吉祥寺で上映されるというのは夢のような感じで、めちゃくちゃ嬉しいです」と感極まって挨拶。
日本に住むハーフについての映画を作ろうと思った理由を聞かれたウスマンは、「兄と映画を作るのが僕の夢でして、世の中にプラスになるような映画を作りたいと思いました。ハーフの苦悩を映像化した映画がなかったので、2~3年かけて兄と相談しながら脚本を書き、2019年に撮影をしました」と制作経緯を説明。
ビイラル監督は、「撮影後に敏感になりまして、『撮影前は無意識に聞き流していたんだな』と、気づいていなかったことに気づき始めました。例えば、電車の中で自分の横の席が最後まで空いているということに撮影後になってから気づいたりしました。そういう違和感もあるんですけれど、ネガティブなことだけでなく、例えば、外国人のような顔をしているので、『助けましょうか』と言ってくださる人の優しさが見えることもあるので、ボジティブなところにも目を向けるようにしています」と実体験を話した。
春樹役のサンディー海を見つけたのはウスマンとのこと。「一旦、Googleで『ハーフ・タレント』で検索して」と話すと、会場からは笑い声が。「いろいろな事務所が出てきて、スクロールしていくうちに、海くんの素敵な笑顔が出てきて、一目惚れして。Facebookで検索したら、共通の友達が一人いたので、その人に繋げてもらいました。東京に行って、3時間くらい映画と関係ない話をして、仲良くなり、『春樹役を見つけた』と兄に電話しました」と、現在は“べスト・フレンド”になった奇跡的な出会いについて語った。
サンディー海は、「台本を読んだ時は、日本ではまだ見たことがないマルチカルチャーやバイレイシャルの人たちの描き方だなと思い、関われることにワクワクして、めちゃくちゃテンションがあがりました。『キター! これだー!』と思いました!」と回答。
最近では、大坂なおみ選手や八村 塁選手などハーフの方が差別に対しても声を上げたりしている。監督は、「昔と比べると、彼らが声を出すことによって、差別や区別に注目が集まっているけれど、そんな彼らでも差別的な言葉を浴びせられたり、バッシングもされたりしているので、まだまだ理解が足りていないと思います。ミックス・ルーツの方々が、様々なプラットフォームを使って声を上げていくことによって、良い方向に向かっていくのではないかと思います」と話した。
本作のどこに注目して観て欲しいか聞かれ、サンディーは「川添兄弟の美しく繊細な物語の描き方を、ぜひ楽しんでください」、ウスマンは「春樹と誠の成長していくプロセスが注目ポイントだと思います」と回答。
最後にビイラル監督が、「この映画はミックス・ルーツの方々の経験や葛藤を描いているんですけれど、ハーフの方、ミックス・ルーツ、マイノリティの方でなくても、何かしら感じ゙取れる作品を撮りたいと 思って作りました。深く考えず、楽しんでいただければと思います」とメッセージを送って、舞台挨拶は終了した。
(オフィシャル素材提供)
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