2022-09-09 更新
富山県庁:松山ケンイチ、荻上直子監督、新田八朗(富山県知事)
JMAX THEATERとやま:松山ケンイチ、北村光授、松島羽那、荻上直子監督
富山県でオールロケが行われた、「おいしい食」と「心をほぐす幸せ」を描く荻上直子監督最新作『川っぺりムコリッタ』(9月16日公開)。公開に向けて、主演の松山ケンイチと荻上監督が富山県知事を表敬訪問。2年ぶりに訪れた富山で、映画の完成を報告した。
クランクアップから2年、いよいよ公開を迎える本作。新田八朗知事が「クランクアップはもう2年前のことなんですよね。全国公開、おめでとうございます」と祝福すると、荻上監督と松山も「ありがとうございます」と感謝しきりだった。
富山県を舞台にした理由について、荻上監督は「主人公の青年が、イカの塩辛工場で働いているという設定。『塩辛を作っているところはどこだろう』と調べたら、函館が一番で、その次の次くらいが富山県だった。富山にロケハンに来たら、大自然の山も川も海もあって、人々は優しくてあたたかい。これはもう、富山にしようと思いました」と惚れ込んだことを告白。
松山は、富山の名産でイカの塩辛にイカ墨を入れて黒くした、“イカの黒作り”を大いに気に入ったそうで、「富山に来て、初めて、黒作りに出合って。富山の幸や文化にも触れることができました。来てみないと分からないことってたくさんあるなと思いました」とコメント。「富山って、掘れば掘るほどいろいろなことが出てきそう。今日来ただけでも、ロケでも知らなかったことがあって、来るたびにいろいろな発見がある。これからもまた来たいなと思いました」と希望を口にすると、新田知事は「ぜひいらしてください」と大歓迎した。
劇中には、おいしそうな炊き立ての白いご飯も登場するが、新田知事は「富山県へ、おかえりなさい。富山県は今年も新米が実りました。映画の大ヒットを祈願して、富山県産の新米を進呈いたします」と気持ちを込め、「一升ますに入った新米」を松山に、荻上監督には「実った稲穂」を進呈した。荻上監督は「富山という土地が助けてくれて、この映画の底力を上げてくださった。自分が脚本を書いて想像していた以上に、この風景が助けてくれた」と富山の空気も、ささやかな幸せを見つめる本作の力になったことを明かしていた。
また表敬訪問後は、富山市の映画館、JMAX THEATERとやまにて富山凱旋舞台挨拶が開催された。富山の観客に大きな拍手で迎えられた松山と荻上監督は、会場を見渡してうれしそうな笑顔。撮影は2020年9月上旬から10月上旬にかけて行われたが、コロナ禍で公開延期となっていた本作。ようやくお披露目の日を間近に迎え、松山は「台本を読んだのは5、6年前。ずっとその間、自分の中で(演じる)山田が熟成されていった。今でも熟成され続けているような感じがする」と役柄への愛情を吐露しつつ、「お客さんの手に渡った時に何を感じていただけるのか、すごく楽しみにしています」と晴れやかな表情で語っていた。
2年前に富山で行われた撮影を振り返った松山は、「富山の美しい風景の中、人工的な音が限りなく少ない自然の中で撮影をすることができて、僕たち俳優の背中を押してくれた。そういった空気感を受け止めながら、みんなで作品をつくり上げた」と富山の空気を吸い込んで映画づくりに臨んだといい、「そういった意味でも、すごく印象に残っている作品です」と特別な作品になったという。
さらにこの日は、富山でのオーディションで選ばれた子役二人が会場に駆けつけ、松山と荻上監督に花束を贈呈する一幕もあった。登場したのは、主人公が住む“ハイツムコリッタ”の住人、溝口(吉岡秀隆)の息子・洋一役を演じた北村光授と、“ハイツムコリッタ”の大家、南(満島ひかり)の娘・カヨ子役を演じた松島羽那。
二人の子役も撮影をとても楽しんだ様子で、北村は「松山さんはたくさん遊んでくれました。“しゃべったらダメゲーム”が一番おもしろかったです。撮影が終わってしまう日、すごくさみしくなりました。荻上監督はよく僕の頭を触っていました。演技が初めてでよく分からなかったけど、『光授いいよ!』って言ってくれたのでだんだん楽しくなりました」と振り返り、松島は「松山さんとムロさんは、飛行機を飛ばして遊んだり、どんな時でも遊んでくれてうれしかったです。監督の双子のお子さんと同じ歳と聞いて、うれしくなったし一生懸命頑張ろうと思いました」と背筋をピンと伸ばして語り、二人のかわいらしいコメントに会場も思わず笑顔に。松山も「ちゃんとしゃべっているね! 完璧!」と大絶賛だったが、撮影中には、彼らの一挙手一投足が笑いや癒し、そして新鮮な驚きをくれたとも話し、「すばらしい子どもたち」と称えていた。
荻上監督は二人を起用したことについて、「富山で撮影することを決めた時に、富山の子でオーディションをしたいと思った。そんな中でこの丸坊主がすごく印象に残って。目力もある」と北村の頭をなででにっこり。さらに「羽那ちゃんは、存在から明るさを出していて、こんなに小さいのにオーラがあった」と説明し、「映画の空気にも作用している」と伸び伸びと演技をした二人に感謝していた。
最後に松山は「富山の雄大さに圧倒されて、撮影をしていた」と口火を切り、「富山在住ではない僕たちが見た富山の風景は、皆さんにとっては地元の美しさを再認識するものになるのではないかと思う。ぜひ楽しんでいただきたい」とメッセージ。荻上監督は、コロナ禍の撮影も「富山の方が温かく迎えてくださった」と改めてお礼を述べ、「この大自然と同じような心の大きさを持った、富山の方たちの優しさも、映画の空気感として込められていると思います」としみじみ。二人の心のこもった挨拶に、会場からは大きな拍手が上がっていた。
(オフィシャル素材提供)
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