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『レミニセンス』ティーチインイベント

2021-09-13 更新

石川 慶監督

レミニセンスreminiscence ©2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
配給:ワーナー・ブラザース映画
9月17日(金) 劇場公開 IMAX®同時公開

 製作:ジョナサン・ノーラン×主演:ヒュー・ジャックマン、世界渇望のハリウッドSFサスペンス超大作『レミニセンス』の公開に先駆けた9月11日(土)、学生向けのティーチイン付き試写イベントが開催された。登壇したのは、2017年に映画『愚行録』で長編映画デビューを果たし、2019年公開の『蜜蜂と遠雷』では毎日映画コンクール日本映画大賞、日本アカデミー賞優秀作品賞などを受賞した石川 慶。今年の6月には21世紀を代表するSF作家ケン・リュウの短編小説「円弧」が原作で“不老不死”をテーマとした『Arc アーク』(21)が公開、来年は『ある男』が公開予定と日本映画界の第一線で活躍している映画監督の一人である石川監督が本作を独自の目線で語った。


 今回で2度目の鑑賞となった石川監督は映画について「2回目観たらいろいろなことが分かりました。1回観た時も面白いなとは思っていたんだけど、少し分からないとこもあったのでもう1回観たいなって思っていたんですよ。自分が初めて観た時に『あれって何だろう?』って見逃してきたものが、2回目の鑑賞でちゃんと辻褄が合ったので、発見しながら観る作品ですね」と何度も鑑賞して楽しむことができる作品だと絶賛。

 また本作は水に支配された世界を舞台にしており、石川監督もまた『Arc アーク』、『蜜蜂と遠雷』といった作品で台詞よりもビジュアルを用いた演出が印象的であることをMCから聞かれると「冒頭のオープニング・ショットを日本でやろうとすると鼻で笑われて実現しないカットなので、『良いな』と思いながら観ていました。SFにおける“記憶”と“水”との関連性って、最近は密接に繋がってきているような気がしますね。SFって堅い無機質なものというイメージだったのに、最近はもう少し有機的で柔らかいものに結びついているような気がしているんですよね。“水”と“記憶”の親和性はあると思っていて、たぶん母親の羊水のイメージとして人が原始的なところで持っている記憶と結びつくのかなって思いますね」と劇中印象的に描かれている“水”と“記憶”についてコメント。

 そして、本作に製作でジョナサン・ノーランが参加していることも含めて、ノーラン一家の作品について聞かれると「ノーラン作品に出てくる発明品って、従来の考え方だと絶対に結びつかなくなってしまうくらいに空間的にも時間的にも隔たたったとしても、『まだ繋がれるよね』っていうのを映画の後半にやってのけるのが凄い。『なんという物語の構築方法なんだろう』って感心してしまいます。本作でもあるシーンがすごく“ノーラン作品っぽさ”があってエモーショナルに結びついているのですごいんですよ。あとプロダクション・ノートを読んでいて、リサ監督のこの作品を書くきっかけが『人はいろいろな物事の良し悪しを決める際に終わり方ばかりを見る。人間関係なんて終わり方だけを見るとハッピーエンドなんて存在しない。最終的にはどちらかが死ぬか、別れるか』ということがきっかけだったと書かれていて面白かったですね。でもそれはどこを切り取るかでハッピーエンドにも変わり得る。それって“記憶”の話でもあるし、映画の作り手としても思うところがあって、そうしたコンセプトの段階で物語を紡ぎ出す腕力がすごい。『こういうコンセプトで面白いものができるかも?』というものを志高く作っていく姿勢に一番共感しますね」とノーラン一家が作る作品の凄さを説明しつつ、本作で初監督を務めるリサ・ジョイの監督としての姿勢に共感したと明かした。


reminiscence

 そして学生からの質疑応答では“石川監督がノーラン映画を観ているときに何を考えてますか?”という質問に対して、「ノーラン映画って本当に難しいんですよね。ついていくので精一杯で。『TENET テネット』は途中で考察している間がなかったですね。自分は元々物理が好きで、多次元宇宙って科学的にあり得て、SFとして面白いので、いつかチャレンジしたいなって思う分野なんです。でも、どうにもこうにもストーリーにならないんですよ。けど、そこをちゃんとキャラクターを動かしながらストーリーにして、最後エモーショナルに仕上げるお手並みが鮮やかだなって思いながら観ていますね」と映画監督であるからこその視点で回答。

 最後に石川監督は「SFっていうものって昔は遠い世界の話をするのが定義だったけど、今は現実が追いつき始めていて、SFってもう未来の話じゃないんだなというのをこの映画を観て感じましたね」と挨拶しイベントを締めくくった。



(オフィシャル素材提供)



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