2020-11-02 更新
坂田栄治監督
大相撲11月の本場所を1週間前に控え、ドキュメンタリー映画の聖地であるポレポレ東中野で映画『相撲道~サムライを継ぐ者たち~』の初日舞台挨拶は行われた。力士たちの迫力ある取組や稽古の様子、普段は見ることの出来ない日常生活の姿などを収めた本作。上映を終えたばかりの会場は、国技館さながらの熱気に包まれお客さんは大興奮の様子! そんな興奮冷めやらぬ中、映画初監督を務め、人生初の舞台挨拶に挑む坂田栄治監督が登壇した。
坂田監督はまず「こんなに早く満席が出て感激です! みなさん『鬼滅の刃』ではなく『相撲道』を観ていただきありがとうございます!」と冗談を交じえながらも力強く挨拶。そして早速、本作制作の経緯について聞かれると、「僕はTBSの社員で、『マツコの知らない世界』や細木数子さんの『ズバリ言うわよ!』という番組で総合演出を担当していたんです。それで40歳を過ぎたときにTVの世界で培った技術を生かして、日本のために何かしたいなと考えていました。その時に『マツコの知らない世界』の相撲メシの回でゲスト出演してくれた琴剣さんに、お相撲の朝稽古に連れて行っていただいて、あまりにもお相撲のことを知らないんだなと思いました。冒頭の稽古のシーンはまさに僕が最初に見た景色でした。次々と強い力士が出てきたりが本当に衝撃的で、これを何とか作品として残したいなと思ったのがきっかけです」と話し、さらに「TVではなく映画として残したいと思ったのは、両国国技館に行ったことある方は分かるかもしれませんが、音の響きやお祭りの雰囲気、力士がぶつかり合う音をTVでは伝えきれないなと思って、大きなスクリーンと大きな音で再現したいなと思いました」と制作に至った経緯を明かした。
次に、本作で密着している境川部屋と髙田川部屋の話題に移り、数ある相撲部屋の中からなぜ2つの部屋を選んだのかという質問に、「最初に境川部屋を選びました。今回コーディネートプロデューサーを務めてくれた琴剣さんに、相撲の文化を撮る上で一番昔ながらの稽古をしている部屋はどこですか?と聞いたら境川部屋を紹介されて、稽古を見に行ったんです。境川部屋は空気が張り詰めていて、技術チームが一度カメラを入れると、もう動けないような雰囲気で、これはなおさら記録として残す必要があるなと感じました。その後に、髙田川部屋を紹介されたんです。そしたら髙田川親方は稽古中ずっと名言を話しているし、竜電関とお会いした時はニコニコ笑っていて僕が思う力士のイメージと違ったんです。この作品をお相撲のイメージが覆えすような映画にしたかったので髙田川部屋に決めました。2部屋にしたのは境川部屋だけだと境川部屋のドキュメンタリー映画になってしまうので、いろいろな角度から相撲を捉えたかったんです」と2つの部屋に決めた理由を明かした。
そして坂田監督から「面白かったですか?」という問いかけに、会場は大きな拍手で応えていた。続けて「相撲ファンは観てくれるだろうなという自信はあったものの、ただやりたかったのはこの映画を世界へ発信したいと考えていて、日本人として相撲に興味がない方、相撲の文化を知らない方に観て欲しいなと思っています。本編ではカットしているんですが、両国国技館で外国人の方にインタビューもしていて、そうするとだいたいの人が“太っている人でしょ?”とか返事が返ってきて、いや、そういうことじゃないんだよ!って思ったんです。この作品は相撲に知識がない方にも分かるように作ったので、もし機会があれば相撲をよく知らない方にこの映画を勧めてください」と強く勧める一幕も。
あっという間に時間は過ぎ、ここで最後に坂田監督から会場の皆さんにどうしても伝えたいことを自作のフリップを持って披露。泣く泣くカットしたお気に入りのシーンがあると言い「オープニングで引退した力士もすごい力があるんだよと言うことを伝えたくて、浅香山親方がインタビューを終えて去っていったあとに、リンゴを潰すシーンがあったんです!」と裏話を明かすと、会場からは驚きの声が上がった。坂田監督の人生初の舞台挨拶は10分間のノンストップマシンガントークで大盛り上がりのままイベントは締めくくられた。
(オフィシャル素材提供)
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