2020-11-29 更新
「動機はそちらで見つけてください」。アナウンサー志望の女子大生が父親を刺殺するという衝撃的な導入で始まる島本理生の小説『ファーストラヴ』。事件を取材する公認心理師の真壁由紀(まかべ・ゆき)は、担当弁護士・庵野迦葉(あんの・かしょう)と共に容疑者・聖山環菜(ひじりやま・かんな)と面談を重ね、二転三転する供述に翻弄されながらも彼女の心理へ迫っていくが、やがて由紀自身の過去の記憶にも結び付く、意外な真相が浮かび上がる……。
予測不能な結末と、『ファーストラヴ』というタイトルの裏に隠された濃密なヒューマンドラマは2018年に発表されるや多くの話題を呼び、これまで恩田 陸『蜜蜂と遠雷』や東野圭吾『容疑者Xの献身』など数々の映像化話題作が受賞してきた第159回直木賞を受賞。その後も重版を繰り返し、早くも累計発行部数30万部を超えるベストセラーとなっている。松本 潤、有村架純で映画化された『ナラタージュ』をはじめ、登場人物の奥底まで掘り下げた心理描写に定評のある島本理生が放つ、‟稀代の問題作”とも称された傑作サスペンス・ミステリーが衝撃の完全映画化! 2021年に全国公開される。
主演を務めるのは、人を惹きつける芝居と端麗な容姿で幅広い層から絶大な支持を誇り、テレビドラマ「家売るオンナ」シリーズや映画『スマホを落としただけなのに』の大ヒットも記憶に新しい北川景子。女子大生による動機なき殺人事件の真相に迫る、主人公の公認心理師・真壁由紀(まかべ・ゆき)を演じる。ミステリアスな容疑者に翻弄されながらも、彼女の心理を解明していくうち、自身が心の奥底にしまい込んでいた<ある記憶>も暴かれていくという複雑な役どころを体当たりで演じ、女優としての新境地を見せる。監督は『十二人の死にたい子どもたち』をはじめ『TRICK』シリーズや『SPEC』シリーズなど数々のスタイリッシュなサスペンスで熱狂的なファンを生み出してきたヒットメーカー・堤 幸彦。北川景子と初タッグを組む。さらに脚本は、「八日目の蝉」(NHK)や『彼女がその名を知らない鳥たち』の浅野妙子が手掛ける。
川沿いを血まみれで歩く女子大生が逮捕された。殺されたのは彼女の父親。
「動機はそちらで見つけてください。」
容疑者・聖山環菜(ひじりやま・かんな)の挑発的な言葉が世間を騒がせていた。
事件を取材する公認心理師・真壁由紀(まかべ・ゆき)は、夫・真壁我聞(まかべがもん)の弟で弁護士の庵野迦葉(あんのかしょう)とともに彼女の本当の動機を探っていく。
二転三転する供述に翻弄され、真実が歪められる中で、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た「何か」を感じ始めていた。
そして自分の過去を知る迦葉と環菜の過去をきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの<ある記憶>と向き合うことになるのだが……。
なぜ、彼女は父を殺さなければならなかったのか?
(2021年、日本)
キャスト&スタッフ
監督:堤 幸彦
原作:島本理生『ファーストラヴ』(文春文庫刊)
脚本:浅野妙子
出演:北川景子、中村倫也、芳根京子、窪塚洋介ほか
配給
KADOKAWA
2021年2月11日(木・祝) 全国ロードショー
■ 公式サイト: firstlove-movie.jp (外部サイト)
この物語における“ファーストラヴ”は「初恋」ではなく「初愛」なのだ。受けるべき「初愛」に恵まれなかった者たちの人生は過酷だ。自分自身を肯定できず、悲しみと恨みが心の奥底に燻り続けている。
でも、だいじょうぶ。きっと、だいじょうぶだ。「初愛」を経験できなかった者も「初恋」の人は必ず現れる。懸命にひたむきに生きてきた自分の悲しみも苦しみも丸ごと受け止めて、黙って優しく抱きしめてくれる。
様々な「子どもたち」の悲しみが詰まった物語だ。でも、その生は絶望のままに朽ちるのではなく、いつの日か心を溶かす愛に出逢ってほしいという希求がこめられている。
ショートヘアーになった北川景子が渾身の熱演を見せる。代表作の一つになるだろう。また、彼女に寄り添う窪塚洋介の温かな佇まいが深い印象を残している。
(Maori記)