2020-07-04 更新
原題:TOUCH ME NOTカンヌ、ベネチアと並ぶ世界三大映画祭のひとつ、ベルリン国際映画祭2018で無名の女性監督が脚光を浴びた。ルーマニア出身のアディナ・ピンティリエの初長編映画が、金熊賞(最高賞)と最優秀新人作品賞をW受賞したのである。ウェス・アンダーソンの『犬ヶ島』、ガス・ヴァン・サントの『ドント・ウォーリー』など、話題作がひしめくコンペティション部門での名もなき新人監督の快挙は、世界で賛否を巻き起こす事件となった。
本作は、欧州で実在する障がい者やトランスジェンダーなど、“マイノリティ”と呼ばれる人たちの“性”生活にカメラを向けた衝撃作だ。〈現実〉と〈虚構〉が入り交じりながら、赤裸々に描かれる彼らの自由な生き方は、価値観が多様化している日本でも受け入れられていくだろう。
主人公・ローラには、フランスの女優ローラ・ベンソンを迎え、強迫性障害をもつ孤独な女性の苦悩を演じ切った。ローラが好意をよせる無毛症のトーマスには、『ブレードランナー2049』などハリウッド超大作にも出演するアイスランドのトーマス・レマルキス。そのトーマスとカウンセリングで交流をする車椅子の身体障がい者には、脊髄性筋萎縮症(SMA)を抱えるクリスチャン・バイエルラインがドイツから参加し、赤裸々なセックス・シーンにも挑戦している。また、ローラがインターネット上で発見するセックス・ワーカーのハンナ・ホフマンも、50代で性転換をした実在するトランスジェンダーだ。ローラの心と体が解放されるとき、あなた自身もカウンセリングを体験したかのように、世界との見えない壁が取り除かれていく。
ローラは父親の介護で通院する日々を送っているが、彼女自身も人に触れられることに拒否反応をおこす精神的な障がいを抱えていた。
ある日、病院で患者同士がカウンセリングする不思議な療養を目撃するローラ。病により全身の毛がないトーマス、自由に四肢を動かせない車椅子のクリスチャンなど様々な症状を抱える人たちが、互いの身体に触れ合うことで自分を見つめていく。
ローラは彼らを興味深く観察する中で、自分と同じような孤独感を持つトーマスに惹かれていく。街でトーマスに導かれるように秘密のナイトクラブへ入ったローラは、そこで欲望のままに癒し合う群衆を目の当たりにするのだった。
(2018年、ルーマニア、ドイツ、チェコ、ブルガリア、フランス、上映時間:125分、R-18)
キャスト&スタッフ
監督・脚本・編集 :アディナ・ピンティリエ
出演:ローラ・ベンソン、トーマス・レマルキス、クリスチャン・バイエルライン、グリット・ウーレマン、ハンナ・ホフマン、シーニー・ラブ、イルメナ・チチコワ、アディナ・ピンティリエほか
配給
ニコニコフィルム
7月4日(土)よりシアターイメージフォーラム、大阪シネ・ヌーヴォ、アップリンク京都、大分シネマ5にて公開。
7月10日(金)より福山駅前シネマモードにて公開。ほか全国順次公開
■ オフィシャル・サイト: tmn movie.com (外部サイト)
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